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14話 農家の敵

「野菜泥棒……ですか?」


 ミゼリーさんの話の後、依頼を探してみることに。

 すると、ギルド職員からぜひ、とお願いされた依頼があった。


 それが、野菜泥棒を捕まえてほしい、というものだった。


「はい。最近、野菜泥棒が現れて、複数の農家が被害に遭っているんです」

「んー……」


 説明を聞きながら依頼書を確認する。


 報酬は、犯人を捕まえた場合のみ。

 金貨五枚。


「金貨五枚!?」


 破格の報酬だ。

 普通、こういう依頼の報酬は銀貨五枚前後だ。


「あの……これ、間違いじゃないですか? 金貨になっていますけど……」

「いいえ、それで合っていますよ」

「野菜泥棒に金貨五枚って、どういうことですか?」

「実は……」


 ギルド職員曰く、犯人は相当厄介な相手らしい。


 罠を作っても全て回避されて。

 寝ずの番を立てても捕まえることができなくて。

 被害が増加するばかり。


「……なるほど、それは厄介ですね」

「ご存知の通り、今のウチは人材不足で、他に対処できそうな方がいなくて……」

「ちなみに、犯人が動物とか、そういう可能性は?」

「ないと思います。農家の方が人影を見た、と言っていたので」

「……わかりました! その依頼、請けます!」




――――――――――




「……と、いうわけで。私達は張り込みをして、野菜泥棒を捕まえることになりました!」


 野菜泥棒が現れるという畑の近くに移動した後、シンシアとスズカにそう説明した。


 シンシアはやる気を示すように、ぎゅっと拳を握り。

 スズカは苦い表情に。


「私、がんばるよ!」

「野菜って嫌いです……やっぱり、肉ですね!」


 スズカはなんの話をしているのかな?

 泥棒を捕まえるんですからね? 今夜のメニューを考えているわけじゃないですよ?


「犯人は夜に現れるみたいです。なので、ここに隠れて見張ります」

「アズ、ごはんは?」

「これを」


 ポーチから、小さな豆を取り出した。


「……豆?」

「普通の豆じゃないですよー。すごく栄養があって、カロリーもあって、これ一粒で、数日は体が保つんです」

「「……」」


 なぜか二人が微妙な顔に。


「私、お腹いっぱい食べたい……」

「私もです……」

「気持ちはわかりますけど、見張りなので、たくさんの量は……」

「お姉さまは、たったこれだけの豆で問題ないのですか?」

「ないですよ? むしろ、ごちそうですね。これだけあれば、一ヶ月はいけます」

「「一ヶ月!?」」


 なぜか二人が驚いていた。


「水があれば、三ヶ月はいけますね」

「「三ヶ月!?」」


 やっぱり驚く二人。


 なんでしょう?

 私、そんなにおかしなことは言っていないような……?

 故郷では、これが当たり前だったのだけど……


「アズ、ものすごく鍛えているね」

「さすがお姉さまです」

「???」


 二人から尊敬の視線を向けられて、でもその理由がわからなくて、私は小首を傾げた。




――――――――――




 夜。

 野菜泥棒を捕まえるため、私達は茂みに潜んで畑を見張っていた。


「すぅ……すぅ……」

「くぅ……くぅ……」


 シンシアとスズカは、眠気にやられてダウン。

 共に穏やかな寝息を立てていた。


「ふふ、仕方ないですね」


 二人の寝顔は天使みたいだ。

 起こすつもりになれなくて、そのままにしておいた。


 見張りは私一人で問題ない。


「じっとすることとか、慣れていますからね」


 そういうことを故郷で学ばされた。

 訓練させられた。


「……」


 ふと思う。

 シンシアやスズカの反応を見る限り、私の常識はおかしいのだろうか?


 素手で魔物を倒す。

 飲まず食わずで一週間活動することができる。

 道具を使わずに、遠く離れた魔物を感知することができる。


 他にも色々なことができるのだけど……

 それは普通じゃない?

 冒険者なら当たり前のスキルだと思っていたけど、そうじゃない?

 私の故郷がおかしい……だけ?


「……だとしたら、ものすごく心当たりがありますね」


 私の故郷は変わったところだ。

 訂正。

 ものすごく変わったところだ。


 なにしろ……


「……っ……」


 気配を感じて思考を中断した。


 目を凝らす。

 それだけで闇夜でも視界が確保された。

 これも故郷で習った技術だ。


「……犯人でしょうか?」


 現行犯でないとダメだ。

 間違いでした、なんてことになったら目も当てられない。


 流行る気持ちを押さえつつ、様子を見て……

 少し経ってから人影が現れた。


 その正体は……


「……人形?」

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◆ お知らせ ◆
新作を書いてみました。
【家を追放された生贄ですが、最強の美少女悪魔が花嫁になりました】
こちらも読んでもらえたらうれしいです。


もう一つ、古い作品の続きを書いてみました。
【美少女転校生の恋人のフリをすることにしたら、彼女がやたら本気な件について】
現代ラブコメです。こちらも読んでもらえたらうれしいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] アズの故郷は一体どんなところなんだろか??
[一言] >「野菜って嫌いです……やっぱり、肉ですね!」 正義の味方と言っていたのに好き嫌いするのかスズカよ?
2022/08/01 19:00 退会済み
管理
[気になる点] ※まさか? part2(NG) その正体は…… 「……人形?」 >> カナデ達「・・・えっ?"(-""-)"」 「ジー(⚭-⚭(⚭-⚭( ⚭-⚭ )⚭-⚭)⚭-⚭) ---」と今度…
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