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マギア・ギア・オンライン


 21世紀後半。

 十年前に存在していた技術が古いものとして捨て去られ、今日も新たな技術が次々に現れる時代。

 そんな中、五十年代から現れ未だに廃れない、否、廃れていないコンテンツが存在する。

 その名は、VR。

 最初は医療技術として作成され、瞬く間に様々な技術に転用されていった。

 特に目を見張る物があったのはゲーム。

 最初こそは稚拙なグラフィックと、単価の高さで論外との評価がなされていたが今では、VRゲーム以外がほとんど存在しないレベルである。

 その中で、本日新しいゲームがサービス開始をしようとしていた。

 その名は


『マギア・ギア・オンライン』


 このゲームの謳い文句は「終わりがないのが終わり」であり、ベータ版でも出来ることの多さに各方面に手を出し続け、ろくに強化されていない機体が完成したと言うのはよく聞いた話である。

 また、ベータ版の時点で世界最高レベルのグラフィック、最高レベルの物理演算、最高レベルの設定量でいながら公開された内容物は「最高ではあるがこれ以上がある」とベータ版プレイヤーは口を揃えて言っているのだ。

 期待しない方がおかしいだろう。

 それならば、このゲームの料金は高いのだろう、と思っている人物も多いはずだ。

 何せ、その全てが世界最高レベルなのだから。

 しかし、現実はそうではない。

 1年間の使用料金は最大で1000円という破格の金額。

 まさに、規格外。

 そのサービス開始が本日なのだ!!


「後、1分!! 1分だ……!!」


 仮想空間の中、興奮を隠しきれず貧乏ゆすりをしている少年がここに一人いる。

 彼の名は、黒木真。

 この物語の主人公である。


「30……29……28……まだか、まだかよ……10…9…8…7…6…5、4、3、2!! 1!! ゼロ!! ログイン開始!!」


 時計のタイマーがゼロとなった瞬間、宙に浮いている半透明のパネルを押す。

 その瞬間、世界は一瞬色を失い瞬く間に白色に染められたのだった。


**


『ーーーこれより、チュートリアル:《マギア・ギア》を開始しますーーー』


 機械音声が白い空間に響く。


「あくしろよ!!」


 思わず大昔のネット用語を出す真。


『ーーーマギア・ギアを選択してくださいーー』


 その音声が響くと同時に目の前に合計四つの素体が現れる。

 その下には、説明欄がありそれぞれに説明が書かれている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『マギア・ギア素体 α−1』

 汎用型。

 器用貧乏ではあるものの冒険をしないのであればこれがベスト。


『マギア・ギア素体 β−1』

 攻撃特化型。

 そのかわり生産系の補正は低く、生産系追加パーツの殆どを装備できない。


『マギア・ギア素体 γ−1』

 生産特化型。

 そのかわり攻撃系の補正は低く、攻撃系追加パーツの殆どを装備できない。


『マギア・ギア試作素体 δ−1』

 試作型

 成長性が非常に高く、あらゆる追加パーツを無制限に追加できるが素体は Lv.システムの恩恵が受けられない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「へえ、ここは無難にαでもいいけどネタプでδもいいな。クッソ悩むなぁ。」


 ブツブツと独り言を呟いた後、決心する。


「よし、ここはδだ!! どうせ初見だしネタプの方が面白いだろ!!」


 そういうと、δの選択ボタンを押す。


『ーーーセレクト終了しました。アバターを作成してくださいーーー』


 そういうと今度は、真の体が目の前に現れる。


「いつも通り、セット1で」


 そういうと体のパーツが幾つか変化して凡庸な姿から凡庸な白髪の姿になる。


『ーーーこれでよろしいでしょうかーーー』


「オッケーだ。」


『ーーーニックネームを作成してくださいーーー』


「シンっと。」


 浮かび上がったキーボードにそう打ち込む。


『ーーーニックネーム登録完了しました。これより、チュートリアル:《新たな星の開拓》を行います。諸注意、このチュートリアルは行わなくとも問題ございません。行いたくない場合はスキップと発声してくださいーーー』


「了解〜!!」


 そういうが早いか、世界がまた塗り替えられる。

 そう、無数の色に彩られた新たな空間へと。


**


 真っ青な草原、その中にある一つの墜落した宇宙船、シンはその前に立っていた。


『ーーーチュートリアルを開始します。まず、左手首にマギア・ギアシステムの追加パーツを装備してくださいーーー』


 そういうと真の手の中に腕時計が現れる。

 腕時計と言っても旧型のデジタル式などではなく、昔流行したスマートフォンの小型の物が文字パネルのあるところに現れた物だ。

 下側にはベルトが二つ付いており、安定性は抜群となっている。


「久々に見たな、この腕時計。っと、付けたぞ〜」


『ーーー追加パーツの中に存在するステータスを起動してくださいーーー』


 その音声が聞こえるが早いか、腕時計の電源がつき現れた一つのアプリに矢印が示される。


「こいつを起動すればいいのか、ってうわっ!? 後ろにこんなもんあったのかよっ!?」


 かなり遅くなったが、彼は宇宙船に気づいたようだ。


「え、ということはあの話的にも、俺たちプレイヤーは宇宙から新しい星を開拓するためにここに来たって感じか? うん、考えるまでもなかったな。」


『ーーー追加パーツの中に存在するステータスを起動してくださいーーー』


「あ、そうだった。」


 そういうと、シンはアイコンを押す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ステータス

 Lv.1(固定)

 容量:50/1000(上限)


 スキルデータ:

 インベントリ

 クロック

 マギア・ギア


 追加パーツ:

 新型マギア・ギア付属腕時計


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あんまり細かい数値は描かれてないんだな。」


 そう呟きながら、様々なところを押してみるが変化はない。


『ーーーホーム画面に戻り、マギア・ギアを装備してくださいーーー』


「オッケー」


 いうが早いか、手早く操作しアイコンの中からそれらしきものをタップする。

 タップした瞬間、体が浮遊感に包まれ直後体に近未来的な武装を纏った状態が現れる。


『ーーー敵性マギア・ギアが現れました。討伐しましょうーーー』


 そう言った途端、視界の先にこれまた流線的で近未来的な動物を模したマギア・ギアが現れる。


「よーし、いっちょやりますか。」


 ぴょんぴょんと飛び跳ねてくるウサギ状のマギア・ギアに向かって拳を握りしめて殴りつけようとし……、ピョンと避けられた。


「くっそ、もう一発……。」


 フッ


 音が聞こえた方を見ると、ウサギが馬鹿にしたようにこちらを見ている。


「あんにゃろう!! ゼッテーに倒す!!」


 拳を握りしめ、ウサギと格闘すること約20分。

 ようやく、倒すことに成功する。


『ーーーアイテム取得、自動的にインベントリに送信します・・・、完了しました。これにてチュートリアルを終了します。ーーー』

『ーーーネットワーク回線を接続します ーーー接続完了、オープンワールドへようーーー』


「ゼエゼエ、ちょっと待てよ!! ハアハア、時間を置いてくれ!!」


 そう言いながら、地面に座り込み息を整える。


『ーーーゲーム内バイタル正常値化確認、ストーリー説明を行います。ーーー』


「よろしく。」


 そうレイがいうと、目の前に大きな半透明のウィンドウが現れる。

 そこには、髭を蓄えたダンディな男性がいた。


『ーーー我々の母星が廃れて二百年。新たな母星となる場所を見つけたのは、君たち探査官も承知のはずだ。その母星の探索を君達探査官に任せたいと思う。ーーー』


 そういうと、画面が消える。


「説明無しじゃねえかよ!!」


 ウィンドウを殴りつけようとした瞬間ウィンドウが消え空振るシン。


「こんちくしょうがあーーーー!!」


 こうして、シンのMGO生活が始まった。

更新開始 2022/06/28

見切り発車ですがどうぞお付き合いを

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公がどんなを成長をするのかみものですね。
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