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ラノベ作家は楽に稼げるって言ったよね!?

 私の名前は軽部説(かるべせつ)。23歳。というかもう享年23歳。


 高校生の時にラノベ作家は楽して稼げる職業第1位だって聞いて、私の名前も(ライト)(ノベル)だし運命じゃん!と思って早5年。


 初めて小説投稿サイトに連載した異世界転生ものがそこそこ人気になり、あれよあれよという間にラノベ作家としてデビューすることに。


 そこから地獄が始まりました。デビューしたは良いものの、売り上げはさっぱりで収入は雀の涙、締切に追われて体も心もボロボロ。


 ついに出版は打ち切り、見事無職になりました。


「ラノベ作家は楽して稼げるって言ったよね!?」


 そう叫んだのを最後に私の意識は途切れました。






 そして現在、私は真っ白な空間に寝っ転がっています。


「知らない天井だ……」


 というか天井すらないんですが。これがラノベでよく見る神様がいる空間でしょうか?


「その通り」


 !?

 びっくりしました。神様いました。ナチュラルに思考を読んできます。


「という訳で、私が管理している世界に転移してもらう」


「ちょっと待ってください!何が"という訳で"なんですか!もっとこう使命とかチートスキルとか無いんですか!?」


 私は転移させようとしている神様を慌てて止めます。


「使命もチートスキルも無い。娯楽が少なくて暇していたところに、ちょうど地球でラノベ作家が死んだって聞いてこっちの世界でラノベ書いてもらおうと思って。じゃ、頑張って」


「ちょ待っ、まだ聞きたいこと……」


 話の途中で転移させられてしまいました……






 目が覚めると青空が広がっていました。


「知らない天井だ……」


 さっきもやりましたね、これ。

 さてこれからどうしましょうか。神様にラノベ書けって言われましたが、まずは人が住んでいるところを探さないといけません。


 辺りを見回してみると、あっ、ありますね。めっちゃ近くに集落がありました。さすが神様、そこのところは考えてくれていたのでしょう。


 集落の外から観察してみると、門番や衛兵らしき人物はいないようです。


 ちょうどいいので勝手に入っちゃいましょう。


 ずかずかと集落に踏み込むと、第一村人を発見!おじいさんなので色々と知識がありそうです。あってください。


 まずは何を聞くべきでしょうか。やはり定番の冒険者ギルドでしょうか。ついでに本屋や図書館も聞いてみましょう。


「おじいさん、こんにちは!お尋ねしたいことがあるのですが、よろしいですか?」


「おや、お嬢さん見かけない顔だね。旅の人かい?わしは見ての通り暇しているので何でも聞いとくれ」


 優しそうなおじいさんで助かりました。


「冒険者ギルドと本屋か図書館の場所を教えてほしいのですが」


「こんな小さな集落に冒険者ギルドはないわい。一番近い冒険者ギルドでもここから馬車で数日はかかるかのぉ。それとなんじゃ?本屋?図書館?とはなんじゃ?」


 冒険者ギルドはないのか、残念。ってちょっと待って本屋を知らない?まさかこの世界には本が無いの?まさかね……


「本屋っていうのは本を売っているところで、本っていうのは紙が何枚も束ねられてて、文字がたくさん書いてあるものなんですけど……他の街でも見たことありませんかね?」


 私はすがるような気持ちで尋ねます。


「本……?紙……?文字は木の板なんかに書くもんじゃろ?あそこの看板みたいに。わしは他の街にも行ったことがあるが、そんなものを売っている店は見たことないわい」


 嘘でしょ……

 神様、こんな世界で私にライトノベル書かせる気だったの……?


 紙も無ければ、印刷技術も無い。

 私に紙から作れって言ってるの!?

 技術革命起こせと!?



 ラノベ作家は楽に稼げるって言ったよね!?


 異世界転移してもラノベ作家は楽して稼げないようです。




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