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第三話 騎士候補生の実力

 俺たちのチームは案内に従いながら、山道を進んでいった。冗談をかわしながら歩いていくと、ひらけた場所が見えてくる。よく見ると四人の大男たちが待ち構えていた。


「一組目のお出ましだな!」

 大男のうちの一人が声をあげた。


「おいおい、誰かと思えば剣聖と名高いレイヤさんじゃないか! こりゃ驚いた!」

「まさか本日最初の相手が有名人なんてよ!」

 あざ笑うような笑みを浮かべた大男たちが挑発をしてくる。

 

 レイヤは彼らの安い挑発を聞き流しているようだ。


「レイヤはスピード重視で力はあまりないようだから、このエリアであいつら倒しちゃおうぜ!」

 大男たちの中で一番下っ端のような男も挑発をしてくる。


 相手は一般の兵士と聞いていたが、どこからどうみても賊のような連中だった。大男たちの後ろに審判のような人影も見えたが、俺たちの戦いを記録するのだろう。


「もう初めていいのか?」

 挑発を無視していたレイヤが一言を放つ。


「いつでもいいぞ、坊主! 踏みつぶされねぇように注意しろよ!」

「ぷぷぷ……。ご自慢の剣技を見せてくれよっ!」

 大男の一人は大袈裟な身振りで、腹を抱えて大笑いを始めた。

 

 その瞬間、レイヤが一気に間合いをつめた。

「――バカなっ?」


 大男の声が聞こえた時には、すでにレイヤの攻撃を浴びて吹っ飛ばされていた。

 

 レイヤが次の相手との間合いを詰めようとしている時にアレンも動く。


「レイヤ! 俺の分も残しておくのも忘れるなよ!」

 

 アレンはそう言いながら、自慢の槍を一番強そうな大男の頭部へ振り下ろす。

 

 他の二人もあっという間にレイヤに倒されてしまった。

 

 一つ目のエリアの決着は一瞬の出来事であった。審判が慌てて駆け出すのが見える。

 

 どうやら、一瞬で勝負が決まってしまうとは想定していなかったのだろう。次のチームが来る前に他の一般兵を補充しないといけない。スケジュールがずれると試験のスムーズ進行の妨げとなる。


「僕の分も残しておいてくれて良かったのに!」

 俺とスバルはこのエリアでは何もしていないからか、スバルが残念そうに言う。


「一般兵のレベルはこんなものか。最終エリアまで楽しめそうにないな」

 レイヤが剣を確認しながら言う。


「俺とレイヤだけでだいぶ進めそうだな!」

 アレンも自慢のパワーを見せれて満足している様子だ。


「レイヤとアレンの力だけでも最後までクリアできるんじゃないのか?」

 俺はできる限り目立ちたくないので、この二人でクリアしてもらえると助かった。二人の力は一般の兵士レベルでは太刀打ちできないようだ。


「まだ初戦だ。それに騎士試験で最終エリアをクリアしたものはいないとも聞く」

 レイヤは冷静で、その姿はさすがの振る舞いだ。


「レイヤ、アレン、君たちがいるだけで前代未聞のクリアまで行けちゃうかもね!」

 スバルが茶化しながら言う。


「俺たちと同じチームになったのがラッキーだったな!」

 アレンは満更でもない表情で言った。


 レイヤを見ると少し顔がほころんでいた。普段はあまり表情を変えないレイヤだったが、剣聖の名に恥じない鮮やかな戦いを披露して、その顔つきは誇らしげだった。


 その後も俺たちは、最終エリアを目指して進む。二、三エリアと次第に相手も強くなっていったが、一般兵のレベルではレイヤとアレンの二人だけで簡単に倒すことができた。本当に最終エリアまでクリアしてしまうのではないかと期待できる破竹の勢いだった。


 俺たちは早朝から山を登っているが、戦闘はレイヤとアレンだけで終わっていたので、俺はハイキング気分でお腹も空いてきていた。


 山頂が近くなってきた所に四エリア目が案内されていた。

「四つ目のエリアも、僕の出番はないかもなーー」

 スバルは退屈そうに言う。


「いや、次のエリアから実際の騎士が相手になるんだ。これまでとは違うだろう」

 そう言うと、レイヤは大きく息をした。


 『騎士が相手になる』これだけでこれまでのエリアとは格段に難易度が変わってくることを意味していた。この国で騎士と言うとGCの付与があるからだ。


「GCがどんなものか、見せてもらおうか!」

 アレンは騎士が相手と知っていても、いつも通りの楽観的なノリだった。

【お読みいただきありがとうございます】


いつも読んで下さっている皆様、ブックマークへの追加や評価をいただいた方、ありがとうございます! より面白い話を書こうという励みとなっております!


新しくお読みいただいた皆様、ブックマークへの追加や、画面下の「☆☆☆☆☆」から評価をして読み進めていただけると幸いです!創作活動の励みとなります!


何卒、よろしくお願いいたします。

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