第一部 -占い2-
皆様こんにちはこんばんは。
珍しく今週は2回目の投稿となりましたー!
頑張った!自分!
今回も最後までお付き合いくださいませ。
「それでさ、占いの話なんだけど…」
その言葉はさっきまでのほのぼのとした空気をピンっと張り詰めたものに変えるのに十分だった。
それはさっきの彼のあの雰囲気を思い出したからに他ならない。
事情は分からないが、曜は目の下にクマをつくり、顔色も決していいとは言えない。ここまで消耗している彼が占いたいと言っていたのは、雅ちゃんの件ではなかったのだろうか。
雅ちゃんに憑かれていることに納得し、このままでいいと言っている蓮をまだ占いたいというのだろうか。
「実はさ、蓮のイメージが頭から離れないんだ。」
「オレの…イメージ…?」
「そ。
僕は占うときに、相手を見るんだ。
よく見る。しっかり見る。
視覚的というよりは相手の中身を覗くような感覚に近いと思う。
それが上手くいくとさ、まれにイメージが頭に流れ込んでくることがあるんだよ。」
「つまり、そういう感覚でオレのイメージが頭から離れない、と?」
「そそ、おかげで僕はこの通りの寝不足だよ。」
言って彼は頭を押さえるようにしてみせる。
なんだか、勝手に能力を暴走させてしまって、因果応報的に困ってる人にしか見えないけれど…まぁ、細かいツッコミはしないでおこう…
曜の顔みたら本気でツラそうなのは事実だし…。
「でさ、そのイメージってどんななんだ?」
「きみが…」
尋ねる蓮に、曜は言いにくそうにする素振りを見せたが、やがて意を決したように言った。
ハッキリと。
「きみが…喰われる。」
わたしたちは何も言えずに曜を見つめることしかできなかった。
その口調から彼の話が冗談でないことは分かっていたから。
「そのままの意味だよ。
喰われて、食われ続けて、手を失って足を失って、助けを求めるように顔を向ける蓮には目も耳も鼻も口も何も残っていなかった。
そんなイメージが頭に流れ込んでくるんだよ。」
「そんなんだからさ、ぼくはこの通り寝不足なんだよね…。
正直さ、もうしんどいんだよ…」
彼は話し終えた。
彼の語った言葉に嘘はないんだと思う。
ため息交じりに発せられた最後の言葉は彼の本心なのだと思う。
蓮を占いたいのも蓮を救いたいとかじゃない、自分が助かりたい、その一心なのだろう。
その気持ちは分かる。
痛いほどによく分かる。
彼のツラそうな様子、なんとか出来るならなんとかしてあげたい。
多分、それはわたしも、蓮も一緒だろう。
雅ちゃんだって同じように思っているかもしれない。
でも、でも…
わたしは気付いてしまった。
彼の視線、彼の口ぶり、彼の意識、その全てが雅ちゃんに向けられていたことを。
彼はほぼ間違いなくこの状況の原因が雅ちゃんにあると思っている。
さっき納得したような素振りを見せていたが、多分、これは深層心理のことなのだろう。
曜は間違いなく納得できてはいない。
でも、曜がそういうイメージを感じ始めたタイミングを考えれば、そう思うのだって理解できる。
理解はできるけど…
「あのな、お前の気持ちも分かるよ。
お前の為だ、オレだって協力してやりたい。
オレだってあんな話を聞いたら、不安が無い訳じゃない。
でも、お前が雅が原因だってことを前提にするなら、オレは協力できない。」
蓮は言った。
ハッキリとキッパリと。
自分のことより誰のことより、友達思い、仲間思い。
今、わたしはそれが心から嬉しかった。
『蓮、るい…
あのさ、あたしは大丈夫だよ…?』
ずっと黙って聞いていた彼女は、どんなに息苦しかっただろう。
わたしは彼女の言葉にただただ頷くしかできなかった。
「なぁ、曜…
それを承知したと思ってさ、オレから頼んでもいいか?」
「え…」
「え、じゃねーよ。
占い師から不気味なイメージが見えるなんて言われたら、オレだって怖いんだからよ。
な、頼む。」
蓮の言葉に、曜はよろしくとお願いするように深々と頭を下げたのだった。
その時、かすかに「ありがとう」と聞こえたのは聞き違いではなかいとわたしは思ったのだった。
読んで頂きありがとうございました(*'ω'*)
わたしの友達には画家さんや歌手さんがいます。
画家さんは絵を大事にしていて、その絵でもって自分の気持ちとかを伝えていくんだと思います。
また知り合いの歌手さんはその手段が歌や演奏なんじゃないかと思う訳です。
自分も小説を書くことで、物語を作ることで何かを伝え、何かを感じ取ってもらえればと思います。
ではでは、また次回の更新の時にお会いしましょう!
感想などなどお気軽にどうぞ!
誤字脱字もお知らせ頂ければ幸いです。