第一部 -雅2-
おはようこんにちはこんばんは。
さぁさぁ、雅ちゃんが蓮と瑠唯といろんな体験をしていきますよ。
子供の頃ってなんでも初体験でしたよね。
これってどんなだろうとワクワクしながら、新しいことを体験していきたいものです。
「ねぇねぇ、蓮、帰りクレープ食べいこー?」
「えー、いらねーよ。
オレ、あんまり好きじゃねーし。」
わたしの提案に、嫌そうな顔で返答する蓮。
「えーーーー、いこうよー!
1人でいってもつまらないしさー。
雅ちゃんもいきたいよね?食べたいよねーーー?」
クレープを諦めきれないわたしは、そう言って雅ちゃんに視線を送る。
『クレープ…
あーーー、クレープね!
うんうん、知ってる知ってる!
クレープ、おいしいよねーーーー』
「………」
「雅ちゃん…クレープ食べた事ないでしょ…?」
『…う、うん…』
わたしのツッコミに、どもりながらも頷く雅ちゃん。
因数分解は出来るのに、クレープは知らない雅ちゃん。
なんてアンバランスな知識の女の子。
「ねね、もしかしてさ、雅ちゃんて学校から出たことない?」
『うん。
あたしね、物心ついたころから学校にいたの。
なんでって言われるかもしれないけど、学校の外に出るって考えもしなかったの。
だから、わたしは外のことは知ってても経験したことないんだ…。」
そう言った彼女の顔はどんよりとした曇り空のようだった。
それは自分はわたしたちとは違うんだと改めて感じているような、そんな様子だった。
「大丈夫。気にするな。
知らなければこれから知ればいい。」
「そうそう、わたしたちだって似たようなものだし。
世の中に知らない事なんてたっくさんあるんだから。」
「そうそう、こいつは因数分解も出来ないしな。」
『あはは、数学、教えてあげようか?』
「うっさい!蓮のアホ!」
わたしたちは笑い合った。
帰りの教室、周りからの視線を集めるくらい笑いあった。
わたしは雅ちゃんには笑っていて欲しいと思う。
今までずっと寂しい思いをしてきた分を取り返すくらい、ずっと笑顔でいてほしいと思う。
見た目が小学生なだけに、悲しい顔しているのは耐え難いってのもあるかもしれないけれど、それでもやっぱり笑顔でいてほしい。
「ちなみにクレープってのはねー、薄い生地にアイスとかフルーツ、果物をのっけて、くるくるーってして食べるの。
とーっても甘くて、とーっても美味しいの。
雅ちゃんも行きたいよねー?」
『うん、行きたい!たべてみたい!』
わたしと雅ちゃんで蓮に視線を送ると、ゴネても無駄なのを悟ったのか蓮は「はいはい、オレも行けばいいんだろ」とため息交じりに頷いたのだった。
クレープ屋さんはわたし達のような放課後の学生グループで賑わっていた。
「オレさー、この女子だけの列に並ぶの嫌なんだけど…」
蓮は女子だけの列に目をやって首をうなだれた。
確かに全員が女子。
たまに彼氏連れのカップルが居たりもするが、今日は残念ながら列の全員が女子だった。
「いいからいいからー。一緒に並んであげるから。」
「当たり前だろうが…オレに並ばせて奢らせる気だろ…」
バレたか…。
相変わらず変なところで察しがいいんだから…。
『ねぇねぇ、あれがクレープ?』
わたし達がくだらない話をしていると、雅ちゃんが商品ディスプレイを指さして目をキラキラとさせている。
「そうだよー、おいしそうでしょ。」
『うんうん、めちゃ美味しそう!』
雅ちゃんはそう言って、前のお客さんグループの間からクレープを作っているところを『わーーーー』とか『へぇーーーー』なんて感嘆の声をあげながら覗き込んでいた。
「蓮、連れてきてよかったね!」
「そうだな。」
結局、蓮は全員分を買ってくれた。
さすが男子。
かわいい女子二人に自分で買わせるなんて野暮なことをしなかった蓮をほめてあげたい。
ちなみに、わたしは生クリームとあんこの最強タッグに抹茶アイスのクレープ。
蓮は甘いものは苦手なんだよなーとか言いつつ、生ハムのクレープ。
雅ちゃんには定番のチョコバナナクレープ。
この子は他からは見えないけれど、クレープなんて渡して大丈夫だろうかーなんて頭をよぎった。
しかし、誰からも変な視線を向けられることがなかったことをみると問題はないようだった。
クレープが浮いてたら大騒ぎになるだろうしね…。
いや…失念していたとはいえ、ほんと大騒ぎにならなくてよかったわ…。
理屈は全く分からないけれど。
読んで頂きありがとうございました。
お楽しみいただけましたでしょうか?
コロナも徐々におちつき、日常が戻りつつありますねーーー!
それでもまだまだ油断は出来ない日々。
みなさんに続きを楽しみにしてもらえたらなーなんて思います。
ではではみなさん、感想おまちしております!
また、誤字脱字などあればご連絡いただければと思います。