第一部 -遭遇4-
おはようこんにちはこんばんはー!
あっと言う間の一週間…。
知ってました、みなさん。
7日ってあっという間なんですよ…
いや、ほんとすみません…!
ではでは5回目お届けいたしますっ
『ねぇねぇ、見えてるんでしょ?』
その声に、その瞬間に世界が静止したと思った。
朝のざわめきも、クラスメイトの話し声も全てが消えたように思った。
そう、登校したわたしたちを迎えてくれたのはあの少女だったのだ。
もちろん、昨日先生の後ろに佇んでいたあの少女。
『ねぇねぇ、見えてるんでしょ?』
もう一度、さっきと同じように同じトーンで聞こえるあの少女の声。
それは年相応の可愛らしい声なのだが、蓮やラスメイト達と話すのとは少し違い直接脳に響くような感じだった。
ぎぎぃとやっとの思いで首を捻ると、そこには同じように聞こえているのか、絶句して立ち尽くしている蓮もいる。
『ねぇってば!』
「え、あ…う、うん?」
三度目。
少し語気強めに掛けられた言葉に、蓮は思わず頷いていた。
頷いてしまった。
少女は、蓮の頷きを肯定と判断すると、いかにも少女らしい笑顔をこちらに向けて話をつづけた。
『ほらー、やっぱり見えてるんじゃんー!聞こえてるんじゃんー!無視しないでよー』
…って、いやいやいやいや、なんでこんなにフレンドリーなのさ!
なんでこんなに普通に話し掛けてくるのさ!
ちがうでしょ!
幽霊とかおばけとかそういうもんじゃないでしょ…!
怪奇現象にしたって超能力者にしたって、ひっそりと存在しているもんでしょうよ!
それなのにそっちからフレンドリーにこっちの世界に声を掛けてくるとか聞いたことないし!
『あのさあのさ、お兄ちゃんお姉ちゃんさ…』
「ちょ、ちょっとまった」
わたしの、わたしたちの動揺を全く気にする様子もない少女にわたしはまったを掛けた。
『ん?』
そしてわたしのまったに普通に反応する少女。
違う、違うよー。
わたしはワクワクとドキドキを求めていた。
霊や不可解な事象との遭遇。
もちろん危険なこともあるかもしれない。
でも、蓮と一緒にそれを乗り越えて手に入れる平穏。
そんなストーリーを思い描いていた…。
なのに!
なのになんで!
フレンドリーに語り掛けてくるのさ、こいつは。
いや、まぁ、勝手に思い描いてたストーリーに何を期待していると言われればそれまでなのだが、未知の存在との遭遇に期待していたわたしには酷な話だった。
「あの、率直に聞くけど…
あなたはいったいなんなの??」
がっくりと肩を落とし、頭を押さえながら問いかけるわたし。
『え?』
自分を指さしながら、きょとんとする少女。
そして彼女は「さぁ?」というように両手を広げてみせたのだった。
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
黙るわたし。
黙る蓮。
『・・・・・・・・・・・・・』
そして黙る少女。
沈黙の時間がながれ、見つめ合うこと数秒…。
『なんなのか聞きたいのはあたし。
さっき言いかけたのはさ、お兄ちゃんたちならあたしが誰かわかるかもって思ったの。』
沈黙を破ったのは彼女だった。
『わたしの事を見える人はいないって ずっとそう思ってたの。
誰に話し掛けても聞こえてないみたいだし。
だからずーっと一人だった。
気付いたときから、ずっと一人。
遊んでいる人たちを眺めて、勉強している人たちを眺めて、わたしも一緒に遊びたい、勉強したいってずっと思ってた。
ずっといたの。
ずっといたけど、誰にも気付かれなかったの。』
誰からも見えない少女。
霊なのか、UMAなのかって話していたりしたけれど…
これじゃ、この子はただのじゃない…!
寂しくて寂しくてそれで出てきたら、たまたま見えてしまったわたしたちに騒ぎ立てられて…。
わたしたちは…
わたしたちは、なんて酷いことをしてしまったんだろう…
あのフレンドリーさも、一人ぼっちと寂しいを乗り越えたものだと思ったら、同情の気持ちさえ沸いてしまう。
『だから聞きたかったんだ。
でも、分からないなら…いいや。』
彼女はさらっとそう言うと、わたしたちに一歩近づいてもう一言。
『でもさ、もう一人はいやだから、一緒にいよ!ねっ!』
「…え?」
「…は?」
とっさのセリフに、わたしたちはほぼ同時に戸惑いの声をあげていた。
『は?じゃなくてさー、あたし決めたんだ。
友達になってよ。』
今回も最後まで読んで頂き有難うございました。
相変わらず続くコロナ騒動。
GWも始まったのに続くSTAY HOME週間…。
皆さんつまらないなーと思っていると思いますが、ここをみんなで乗り切りましょうー!
そんな訳で、次回も頑張って書いていこうと思うのでどうぞお付き合いくださいませ。
感想などあればお気軽にどうぞー!
また、誤字脱字があればご指摘いただければ幸いです。
では、次回の更新をどうぞお楽しみに!