アイザックお兄様
…はぁ
クレトは詳しくは教えてくれなかったけれど、私がこのままでは破滅の未来が待ち受けてるのは事実なよう…
どうすれば破滅の未来を回避出来るのだろうか
そもそも何故私の未来がそんな事になるのか
昨日からそればかりが頭の中を支配している。
「どうしたんだいヴェロニカ?何か考え事でも?」
「…あぁ、すみませんお兄様。…大丈夫です」
しまった、アイザックお兄様とのせっかくのお茶会中になんてことを
「ヴェロニカにはそんな曇った顔は似合わないよ」
そう言ってお兄様は私に微笑んだ。
「…っ!やめてくださいお兄様そんな台詞を妹に言うなんて。そういうのは将来の妻にしてくださいな」
しまった、恥ずかしくて思わず突き放すような事を言ってしまった。お兄様は悲しくなっただろうか?
しかしお兄様は相変わらずニコニコと微笑んでいた。
「フフッ ヴェロニカは相変わらず可愛いなぁ」
「だから!そういうのやめてください!もう私も12歳のレディなのですよ!」
「ゴメンゴメン、ついね」
「『つい』でからかわれたら困るのです!」
お兄様は昔からこうだ
お兄様は体が弱く、私が小さい頃に病で死にそうになった時もあった。それであまり会う事はなかった。
しかし峠を越えてから何故か元気になり始め、文武両道の騎士へと成長した。
お兄様が病の頃は父も跡継ぎが居なくなる事をを覚悟していたらしいけれど、今ではお兄様を次期当主として認めている。
そしてお兄様は幼い頃に私と会えなかった反動なのか今ではこうやって私を溺愛しているのであった。
「ヴェロニカ、いいかい?何かあったらすぐにこの兄に言うんだよ?わかったかい?」
そうやってお兄様は私の頬に手を当てて言った。
恥ずかしくて思わず私はその手を払いのけて
「…っ!!!お兄様が!恥ずかしい事をしなければ!考えますっ!」
部屋を出ていった。
…しまった…こういう尖った行動が私の未来を…破滅へと導くかもしれないのに…
部屋に戻った私はベッドに突っ伏して「私の馬鹿…」と1人つぶやいたのであった。
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ヴェロニカは今日も冷たい。
特にあの手を払いのける仕草
あぁ、なんて、なんて、
「興奮する…っ!!!!!!!!!」
アイザック・モルティエ
ヴェロニカの兄。そして前世は『アリス・クラウン』のプレイヤーでありツンデレ妹属性萌えのドMの変態大学生。所謂そういうお店で首閉めプレイ中に死んで転生した。
本来『アリス・クラウン』では病に倒れそのまま目を覚まさないのが運命だったが、病に倒れ峠をさ迷っている時に前世の記憶を思いだし『ツンデレ妹の未来を幸せな未来にするまでは死ねない!』と覚醒。気合いで病を治し、体も自力で鍛え上げて健康体にする事に成功。
今ではヴェロニカのツンデレを楽しむのが毎日の楽しみになっている。
変態お兄様