願いタバコ
「…ガチャン」
タスポをかざして、ボタンを押す。
自分のお気に入りの銘柄を購入し、ペリペリとビニールの封を切る。
最近、友達に「願いタバコ」というおまじないを聞いた。
「1つ目に抜き取ったタバコをおでこに当てて、
願い事を思い浮かべ、逆さまにして、タバコを元の位置に戻す。
そして、その逆さまにしたタバコを最後に吸い終わった時に、
願い事が叶うんだって」らしい。
僕は、基本的には占いや迷信を信じない。
信じたところで何になる、と思っているからだ。
なにかにすがりたい気持ちは誰にだってある。
もちろん、信じる信じないは人それぞれなので、
誰かに「おい、占いなんて信じるな」なんてことも強要しない。
でも、
それを裏切られた瞬間の悲しみや怒り、絶望感に打ちひしがれた時の辛さは
尋常ではない。
そんなおまじないに否定的な考えをを持っている僕だが、
今回だけは、こんなものにもすがりつきたい気持ちなのだ。
そう、最近、考えが変わってきた。
「願い事をしただけでは何も変わらない。」
「願い事をして、それに向かって突き進んでいく心だ大事なのだ」と。
僕にとっては、どちらかというと目標に近い。
銀紙を引きちぎり、1本目をひたいに当てる。
お願いします。
今度こそ、
今度こそ、タバコをやめられますように!!
そう念じて、
僕は、タバコを1本吸い始めた。