五月雨と紫陽花
私が歩く街はいつも騒々しい。
車の音、信号機の音、飛行機が空を駆ける音。
五月雨は全てを掻き消してくれる。
嗚呼、私は雨を掌で受け取ろうと手を天へと向ける。
嗚呼、嗚呼。見上げる空は灰色で味気ない。
アスファルトに溜まる水溜りには、微弱に映る灰色の雲。
無色透明にも近い街を紫陽花たちは色付け始めようとする。
早すぎる紫陽花がまた一つ、また一つと雨音に誘われ花開く。
私も誘われ花開かせる。灰色の空は青色の花弁に覆われる。
五月雨に誘われる傘は、まるで紫陽花のようであると思い書いてみました。
最後の『灰色の空は青色の花弁に覆われる』は開いた傘が青色だから、見上げる空も青くなっちゃたね。てことです。