表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

9

かんかんかんかんかん・・・


警報器の音が聞こえる。眼を覚ますと、僕はまた踏切の中で寝っ転がっているのだった。


「・・・」


僕は仰向けになったまま、夕焼けが終わり、夜が近づいてきている空を見た。そうしてむっくりと体を起こした。そのまま立ち上がり、無言のまま、慌てず、しかし素早く踏切の外に出た。踏切の前で、電車が通り過ぎるのを待った。電車はごおーっ、たたんたたん、たたんたたんという音をたてながら、僕の前を通りすぎた。僕は電車の車両の中にいる人々が、こちらを見もせずに去って行くのを眺めていた。


(死ねなかったな)


帰り道、僕はそんなことをぼんやり思った。


(死ねなかった・・・)


線路沿いの道を戻り、住宅街を歩いて、商店街へと帰った。やがて家に辿り着いた。そっと玄関の扉を開けると、出る時と変わらない両親の話し声がリビングから聞こえた。その声の主に感づかれないよう、僕は静かに二階に上がり、自分の部屋に入った。自分の部屋に入ると、部屋の電気をつけるよりも早く、パソコンに電源を入れた。


(さてと・・・)


僕はパソコンが立ち上がるのを待った。何でもいい。早く小説が書きたかった。そこに救いがあるのか、自分でも半信半疑だったが、とにかく、やれるだけはやってみようという気持ちになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ