一粒の光明
―――――この世界に来てから95日目
さすがに3ヶ月もぼっちだと発狂しそうなものだが「せいれいの友」によると
・精霊はぼっちにつおい!
だとさ…はぜろ!!
―――――この世界に来てから112日目
ついにこの膠着状態に一筋の光明が見える。
昨日起こった砂嵐で運ばれてきたらしい、黒い粒を拾ったのだ。
ちなみに半透明でも八坪内なら物を持つ事は可能なのだ。
この光沢と質感からして、何かのタネに違いない!
と思います!思いたい…
早速全力で緑化をタネらしきものにかける!
「ぬわー!」
ちなみに掛け声とかはスキルの効果に関係ない、気分だ。
「オレ…このタネから花が咲いたら、結婚するんだ…」
と、よくわからんフラグを立ててみる。
タネらしきものに変化が訪れる。
「やったか!?」
と、よくわからんフラグを(略
タネがうっすらと緑色に変化した。
「緑化って、そっちかよ!」
―――――この世界に来てから115日目
あれから三日。
他にMPの使い道もないのでひたすらこのタネらしきものに緑化をかけ続ける。
緑化の消費MPは1なので一日10回は使える。
「くらえ、緑化!緑化!緑化!緑化!緑化!…フフフ、今日もまたつまらぬものを切ってしまった。」
別に何も切ってない。
最初の日に比べてかなり緑色が濃くなってきた。
「フン、今日はこのくらいにしておいてやるか…」
MPが0になったのでこのくらいもクソもないのだが
「おっと!」
持っていたタネらしきものをうっかり落としてしまった。
「何…だと?」
地面に落ちたタネらしきものから根が生え地面にモリモリ潜っていく、そしてぷっくりと厚みのある緑色の葉っぱのようなものが生えてくる。
そこまで一分も掛からなかっただろう、まるで早送り再生を見るように一気に10センチほどの大きさの丸い物体が出来る。
そして、成長が止まったと思ったら頭頂部にトゲが何本もにょきにょき生えた。
「サボテンの種だったのか…」
どうやら初日からずっと手に持って緑化を掛け続けていたせいで、根をはることが出来なかったようだ。
やっと手に入れた僅かな光明を逃さない為に必死すぎたようだ。
チャラララチャッチャッチャーン!!
つぼはちはレベルが上がった!
MPが5上がった!
精霊ポイントを1手に入れた!
しかし、かしこさは上がらなかった!
「上がらなかったんならわざわざ言わなくても良いよ!!」
脳内アナウンスにツッコミを入れつつ「せいれいの友」の表紙を確認する。
精霊名: つぼはち
精霊Lv: 2
精霊MP: 0/15
精霊スキル: 緑化
精霊ポイント: 1
どうやらレベルアップでMPが完全回復するシステムではないようだ。
しかしこのつぼはちって名前にしても今のアナウンスにしても、そこはかとない悪意を感じるな…
「まあいい。レベルが上がったって事は、このサボテンがオレに感謝してるって事か」
つまり緑化は間違いなく効果があったって事だ。
でなきゃ、あんなスピードの成長は異常だしな。
「ちゃんと感謝するなんてなかなか義理堅いサボテンじゃねーか」
そう思うと愛着が湧いてきたのでイブと名づける事にした。