Ⅳ土曜日の回想
お待たせしました!
久しぶりなので文章が少々変わっているかもしれません…
日の光が眩しくて、仰向けに寝ていた姿勢から体を横に向けた。
目を擦りながら、なんとなく今は何時だろうかと思い、そもそも寝る前は何をしていたのかと記憶をたどる。
「あれ、夕方…?」
半開きの目で赤みがかった光に照らされた部屋を見渡すと、寝ぼけていた頭が急速にまわりはじめた。
それと同時に、今までの出来事を思い出して熱が顔に集中してしまう。
―――あれは反則だ、普段のあの人がイエローカードなら、アレはレッドカードで即退場だっ!
この熱をなんとかしたくて、頬に両手をあてながら寝台の上で脚を曲げてうずくまるが、逆効果だった。
視界が遮られたことで、こちらに向けられる優しい眼差しや額に触れた大きくて冷たい手、時々砕ける口調……、それらを映像と音声付きでまざまざと思い出してしまうのだった。
そうだ、帰らなきゃ。
唐突にそう思って腕を上にのばすと、軽く節々の音がした。
おそれ多くも昨夜も今朝もお世話になった身である。さすがに二日も泊まるわけにはいかない。
というかいたたまれなくていられない。お粥を手づから食べさせてもらったことなんて記憶から抹消してしまいたいくらいだ。
昼を過ぎてまで寝ていたせいか少し頭は重いが、体のほうはそうでもないようだった。
借りていた(城川さんの妹さんの)ワンピースから自分のスーツに着替えた。汗でべたつくがこの際気にしない。
荷物を確認し、寝台を整える。
気付かれないようにそっと出ていこう。
書置きを残して部屋から出て、リビングから玄関へ行こうとしたときだった。
「どこに行くの?英里さん」
自室と思われる扉の前で、あの麗しい笑顔を浮かべた彼がいた。