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Ⅲ金曜日の動揺(2)

そして固まった。


城川さんは着替えている途中だったらしく、上半身裸で肩にタオルをかけていた。

「…っごめんなさい!」

きゃぁぁ私ったら何やってるの!


すぐさま出て行こうとするが止められた。彼の腕と思わしきものが右から私の前を通り、左肩を押さえる。


後ろにいる城川さんの気配が近くに感じられ、私は再び固まってしまった。


「待って。どうかした?風呂ならさっきの部屋から直行だけど」

上から聞こえた声にはっとして振り向く。

「お風呂は城川さんが先です!」

彼は一瞬ぽかんとして、すぐに納得がいったような顔になる。

「あぁ、俺は着替えれば平気。榊原さん入っていいよ。顔赤いし、大丈夫?」

それはあなたが色男だからですっ。


まだ乾ききっていない艶やかな黒髪に均整のとれた引き締まった身体。そしてなにより至近距離にある整った顔。

振り向いたときにしっかり見てしまったのだ。


男に免疫がなくてすいませんね、赤くなって当然です!


「…でっでも私」

「……榊原さん」

「えっはい何でしょう!」

「早く入ろうね?」

笑顔。

逆らえない何かが確実にあったと思う。


「はいぃっ!!」



叫ぶように返事をしながら出ていく私だった。



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