Ⅲ金曜日の動揺(1)
気がついたら人様の家のソファに座って、ホットミルクを戴いていた。
さっき頭を拭いてもらってたような…その前に雨の中を歩いて、あれ?私何した?足がふらついたから近くのものにつかまって、でもってそれはあったかくてつい抱きつい…うわぁやばい!
どうやら私は酔って記憶が曖昧で、ホットミルクという刺激で覚醒した、と。
「榊原さん、まだ酔ってる?」
「わぁっ」
「覚めたみたいだな」
びっくりした。隣りに座ってるのに気付かなかったよ。
ここまでの道のりを覚えているかと聞かれて、頷いた。とてもじゃないが堂々と答えられない。
恥ずかしすぎて、穴があったら入りたいとはこのことかと実感する。
「これで拭いて」
そういえば頭は拭いても身体はまだだったのでありがたく頂戴する。
「ありがとう」
「風邪引くから風呂入っていって。着替えは妹のがあるから気にしなくていい」
ここに置いとく、と言って別の部屋に行った。
「…お風呂?」
待って、着替えがどうとかいう話じゃないよ!お、お風呂って!ていうか妹さんいたんですかってあぁ!普通城川さんが先でしょうが!
とにかく丁重にお断りしなくては、と彼の後を追う。
「城川さん!」
私は勢いよく彼が入ったと思われる部屋のドアを開けた。