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Ⅱ金曜日の偶然(1)
一話一ページで投稿してます。
「榊原さん、こっち」
会場に着いてすぐ、我が社の三大美形の一人である城川さんが奥の席から手をあげて教えてくれた。
相変わらずの笑顔は悩殺モノだ。あ、今のお姉さん落ちたな。私も殺られそうです。
今回の会場である駅前のバーは、こじんまりとした落ち着いた雰囲気がどこか西欧風の田舎を思わせる。
ほぼ時間通りに着いたのに城川さんを除いて誰も来ていないようだった。
先に飲んでましょうという城川さんの意向に賛成する。
その間は仕事の話とか、宮野さんの話をしたりした。なんでも彼女の未来の旦那様は城川さんの悪友(そう言っていた)で、結果的に仲をとりもったことになったそうだ。
城川さんを恋のキューピッド役にしてしまうなんて、何者なんだ宮野さんの彼氏。
話すことがなくなってきて、ただ静かに飲んでいた。
そこに気まずさはなく、不思議とその人がいるという安心感があった。
城川さんって癒しオーラでもあるのかなぁ…
そんなオーラが見えるはずもなく、ふと彼の顔が涼しげなことにずるいと思った。