**《Fionna & Cake: Multiverse Fracture — 外伝〈扉の隙間のネコ〉》
返事はなかった。
代わりに、扉の隙間のような暗がりから、小さな鳴き声が聞こえた。
*ニャア—*
フィオナはそっと近づいた。
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《Fionna & Cake: Multiverse Fracture — 外伝〈扉の隙間のネコ〉》
(日本語版)
フィオナは目を覚ました。
マルチバースの扉をくぐってから、どれほど時間が経ったのか分からない。
光も影も時間も混ざり合う空間で、
彼女はケイクの名前を呼んだ。
「Cake…? どこにいるの?」
返事はなかった。
代わりに、扉の隙間のような暗がりから、小さな鳴き声が聞こえた。
*ニャア—*
フィオナはそっと近づいた。
そこにはケイクがいた。
しかし、それは彼女が知っているケイクではなかった。
姿は同じ猫のままなのに、
その瞳はまるで **無数の世界を見てきた存在** のように深く揺れていた。
**Cake**
「…Fionna?」
声はケイクのものだったが、
どこか遠くから響く残響のようだった。
フィオナは手を伸ばした。
ケイクは逃げなかった。
だが、指先が触れた瞬間——
ケイクの身体は *散った。*
光の欠片のように。
**Fionna**
「ダメ… Cake!」
欠片は空中でゆっくり回転しながら、
別の世界の光景を映し出し始めた。
氷のない王国。
燃える森。
逆流する川。
そして——
涙を流すサイモン。
フィオナは息を呑んだ。
**Fionna**
「…これ、何?」
欠片のひとつが彼女の手のひらに落ちてきた。
その中にはケイクの声が閉じ込められていた。
**Cake(残響)**
「Fionna…
私たち、扉を越えるたびに少しずつ…
バラバラになってるんだ。」
フィオナは欠片を強く握りしめた。
すると欠片は温かく光った。
**Fionna**
「大丈夫。
私が全部集める。
どんな世界でも…
どんな欠片でも…
全部取り戻すから。」
その瞬間、
散っていた光がひとつ、またひとつと集まり、
ケイクの姿が再び形を取り始めた。
ケイクはフィオナの腕に抱かれながら言った。
**Cake**
「…だから言ったでしょ。
あんたと一緒なら、どこへだって行けるって。」
フィオナは微笑んだ。
マルチバースの闇の中でも、
その言葉だけは揺らがなかった。
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「Cake…? どこにいるの?」
返事はなかった。
代わりに、扉の隙間のような暗がりから、小さな鳴き声が聞こえた。




