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前世を思い出した社畜は元大魔導士の力でダンジョンを無双する  作者: プラントスクエア


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第5話 章司のアドバイス

「「「ゲッゲッゲッゲ!」」」


章司がランク2のミノタウロスを討伐した後に訓練用ダンジョンを進んでいると出てくるのはランク1のモンスターのみ。今回も集団で出てきたのはランク1のゴブリンだった。


「火系統魔法≪燃え盛る火(イグニス・アルデンス)≫」


ボウ!


自身のほうへと向かってくる複数のゴブリンに対して章司は手のひらを向けて火炎放射。


「「「ゲギャアアア!?!?」」」


それだけで複数いたゴブリンは全滅。これは章司が強すぎるのかゴブリンが弱すぎるのか。


「まあ……訓練用ダンジョンだからこんなものか……」


まだ来て一撃もダメージを負ってないしなんだったら30分が経過した程度。だがすでに章司は飽きてしまっていた。


「こんなことならキントと戦っていたほうがいい訓練になりそうだな……帰るか……」


そうして章司が部屋を出るために引き返そうと思っていた時に目に入った女の子がいた。年のころは高校生にも見える若い女の子。その子は左手に小太刀を右手に大太刀を持ちゴブリン1体と戦闘をしている。しかしその扱い方があまりにも素人すぎた。


「えい!やあ!」

「ゲッゲッゲ!」


今も小太刀を振るい大太刀を振るい。しかしそれのすべてをゴブリンに避けられている。


「ずいぶんと不慣れというか……あんな子もいるんだな……」


訓練用ダンジョンに来る人物は能力に目覚めて冒険者を志す者たち。それゆえにそこそこの訓練を積んだ者が多い中、章司が目にした女の子の(つたな)さはだからこそ目立った。


「ゲッゲッゲ!」

「ううっ!どうしたらいいの!全然攻撃が当たんないよ~!もう死ねないのに!」


若干涙目な女の子。どうやらすでに2回死んでいるようであと1回死んでしまうとアウトのようだ。そんな泣きべそをかいていた女の子にしびれを切らせた章司がアドバイスを送る。


「小太刀は相手の防御に使え!攻撃は大太刀でいい!」

「へ?」


後ろからの突然の言葉に女の子は後ろを振り向いた。しかし現在は目の前にいるゴブリンと戦闘中。その女の子の行為はゴブリンから目を離すという戦闘で最もやってはいけないこと。


「バカッ!?ゴブリンから目を離すな!?」

「あっ!?」


慌てて前を向くとすでに目の前でゴブリンが剣を振り下ろす寸前だった。


「ゲギャ!」


ザン!


こうして女の子は3回目の死を経験し訓練用ダンジョンを強制離脱となった。


「……これってもしかして……俺のせい?」


自身が声をかけたために女の子が死んだ。それに少しの罪悪感があったため章司は女の子に謝罪をするためにも女の子を探す。

/////

部屋の入り口には女の子がいなかったことを確認した章司が部屋を出ると今まさに施設から出ていくところだった。章司も料金を払い女の子を追いかける。


「ちょっと待ってくれ!」

「へ?」


この時に章司は明らかに20歳になってるかどうかの若い女の子に32の男が話しかけることに対しての別の恐怖が少し(よぎ)った。


「あ……さっきの……」

「さっきはあんな声のかけ方をして悪かった。俺の名前は九十九章司」

「あ、いえそんな……私が弱いのがいけないので気にしないでください。 私は春夏冬(あきない)美笑(みえ)です」


明らかに意気消沈している女の子が放っておけず自身が死なせたという罪悪感も消えていなかったので章司は話を聞くことにした。近くの公園へと行き女の子にジュースを奢りベンチへと座る。ちなみに年齢は19歳と答えた。


「……私……今度の冒険者国家試験に出ようと思ってて……でも全然うまくいかなくて……」

春夏冬(あきない)さんはどうして冒険者に?」

「……私……子供の頃に憧れた人がいて……その人みたいになりたくて……でも能力がないから諦めてたんです。だけど半年前に能力に目覚めたからあの人と同じ舞台に立てると思って……」

「そうか……憧れの人を追いかけて冒険者に。ちなみに無理して言うことはないけど能力がどういうものはか聞いてもいいかな?」

「ありがとうございます。九十九さんみたいに強い人からアドバイスがもらえるのはうれしいです」


どうやら春夏冬(あきない)美笑は章司の戦闘シーンを見ていたらしくその強さも知っているためアドバイスをうれしく感じている。


「私の能力は『運命の武具召喚(フェイト・アームズ)』といって武器の召喚なんですけど、毎日どの武器が出てくるかはわからないんです。それにその日は一日中その武器しか使えないし」

「能力にはそんなのもあるのか。つまり今日は小太刀と大太刀の二刀流ってことか」

「はい」


そう返事をすると春夏冬(あきない)美笑は二刀を召還した。


「名前は孤葬月(こそうげつ)。こっちの小太刀が孤月でこっちの大太刀が葬月です」

「召喚する武器は普通の武器なの?」

「いいえ。それぞれの武器に能力があってこの孤葬月なら孤葬飛斬(こそうひざん)と言ってこう両腕をクロスさせると斬撃を飛ばすことができるんです…けど……」

「けど?」

「溜めが必要でなかなか使えなくて……強力ではあるんですけど……」


ため息を吐き落ち込む美笑。しかしすぐに顔を上げて章司に相談した。


「どうしたら!九十九さんみたいに強くなれますか!」


美笑はあまりの必死さに章司の顔に数センチ単位で接近していることに気が付いていない様子。章司はさすがに気恥ずかしさを感じるし、なによりそこは外で周囲にも人目がある。


「……とりあえず離れてほしいかな……人目もあるし……」

「は!?す!?すいません!?」


美笑はそこで理解したのか章司から顔を赤くしながら離れる。それを見て章司は何もなかったという(てい)を装って見ていて感じたことを美笑に伝える。


「ゴホン……春夏冬(あきない)さんはそもそもが二刀流のやり方を知らなすぎる。小太刀は防御主体で攻めるのは大太刀だ。まずはその武器の扱い方を動画なりで調べてみるのもいいかもしれない。何事もがむしゃらにやればいいというものでもないしね」

「そうだったんですね……小太刀が防御……」


美笑は二刀を見ながらそれでも顔は晴れない。


「……私……強くなれると思いますか?……」

「……春夏冬(あきない)さん……」

「私は特別に身体能力がすごいとかスポーツが出来るとかじゃないのにこういう能力になっちゃって……上手く扱えるとは思えなくて……」


どうやら訓練用ダンジョンでの失態で自信を無くしているらしい。そこで章司が言葉を送る。


「俺は学者じゃないから正しいことは分からないけど……自分が上手く扱えない能力が目覚めることはないと思ってる……。 春夏冬(あきない)さんには様々な武器を扱うだけの才能があるんじゃないかな?」

「……九十九さん……」

「それを知るには春夏冬(あきない)さんが正しい努力をして検証するしていくしかない」


その言葉で多少は吹っ切れたのか美笑の表情が少し晴れやかになった。


「美笑です。美笑って呼んでください章司さん」

「わかった。 それじゃあ美笑ちゃんももう大丈夫みたいだからもう行くよ。お互い試験を頑張ろう」

「はい!頑張ります!ありがとうございます!」


美笑はそう元気よく返事をしてお辞儀をし再び訓練用ダンジョンへの施設へと向かっていった。


そして数日後・・・冒険者国家試験の日がやってくる。

読んでくださりありがとうございます!


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