第12話 不人気ダンジョン
昨日章司はダンジョンから帰宅したら異界へと行き金のマジックスクロール"ザ・ノヴァ"を使用してみた。エリュシオンの面々やラグナが見ている前で使用したそれは戦略級に迫るほどの威力を擁していた。
『誰でもあの紙さえあれば戦略級に迫る魔法を無詠唱で扱えるということですか……ダンジョンには恐ろしいものが存在するのですね……』
エリュシオンのリーダーであるミューリがその光景を見て"誰でも扱える"という部分に恐ろしさを感じていた。そして今日また章司はダンジョンに向かう。
「どうせなら昨日とは違うダンジョンに行きたいよな」
ということで章司は家の近くにあるダンジョンへ行ってみることに。そのダンジョンは洞窟タイプであり出現モンスターランクは昨日と同じく1~2。しかし不人気と噂のダンジョンでもある。
「あんまり調べなかったけど……なんで不人気なんだろ?」
目的の場所に到着した章司。昨日と比べてもそこには冒険者らしき人は誰も存在せず政府の人が暇そうにしていた。
「やってる……よな?」
なんだか雰囲気が閉店しているお店のように感じた章司。ダンジョンに閉店などがあるとは思えないが。とりあえず章司はダンジョンに入るために受付へ。
「すいません?ダンジョンに入りたいんですけど?」
「あら?珍しい。こんな昼間からもう2人も来るだなんて」
そのスタッフは50代ほどの女性。人が来たことに驚いているあたり本当に不人気だというのがわかる。
「どうしてこのダンジョンは不人気なんですか?」
「あなた知らないの?このダンジョンは洞窟タイプなんだけどね?暗いから敵の接近に気づけにくいし暗殺を仕掛けてくるモンスターが多いのよ。しかもダンジョン資源はあまり多くないし宝箱なんて今まで見つかったことがないんだから。冒険者にとってはうま味がないのよ」
「そうだったんですね。ありがとうございます」
章司はライセンスを見せて許可を得た。
「本当に入るのかい?あんたさっきの男の子と同じく弱そうだから心配だよ」
「あはは……大丈夫ですよ。多少腕には覚えがありますから」
多少どころか邪神を討滅し世界を一個救った大魔導士という前世を持っているのだが。そんなこんなで章司はダンジョンへと入っていく。
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章司は目を開けると周囲は薄暗く数m先の光景が見えないほどだった。
「なるほど……この暗さに暗殺タイプか……そりゃあ危険だな。特に能力が目覚めたばかりの素人だとそういった能力でもない限り暗殺され放題だな……」
しかしもちろん章司はその限りではない。
ボン!
「ウキっ!?」
章司は背後から近づいてくるモンスターの気配に気が付いていた。それゆえに無詠唱で後方に火系統魔法≪燃え盛る火≫を発動。ナイフを持った猿のようなモンスターを撃退した。
「アサシンモンキーの尻尾?名前がまんまだな」
モンスター素材を鞄に入れて章司は洞窟を歩く。
「念のために火は極力使わないようにするか」
章司は明かりとして火の玉を浮かべながら戦闘では土系統魔法を使用することにした。洞窟の中は広くなっており暗さもあってどっちに道があるかはわからない。すると数m歩いた章司は足を止めた。
「さっきのやつの仲間か?」
そのつぶやきがトリガーとなったかのように一斉に章司の全方位からアサシンモンキーたちが襲い掛かってきた。
「土系統魔法≪鉄の武器群≫」
ザン!ザシュ!ドゴッ!バギ!
「「「ウキーー!?」」」
章司は全方位から襲い掛かってくるアサシンモンキーに対してこちらもとばかりに剣や槍やハンマーなどのいくつもの武器を生み出して対抗。それらを手も触れずにいくつもある武器を巧みに扱いアサシンモンキーを撃退した。その間の章司自身はなにも行動しておらず立っていたまま。
「回収回収っと」
土系統魔法≪鉄の武器群≫とは武器を召喚し操作可能な魔法ではあるがその操作には個人の力量に左右される。普通は2個を巧みに扱えるだけですごいと言われていた前世で章司は一瞬でアサシンモンキーの数を把握してそれに対応する武器を誤差なく生み出し、それぞれで扱いの違う武器を巧みに操作する。まさに大魔導士だからこそできることだった。
「ここにはほかのモンスターとかっていないのかな?」
現在はアサシンモンキーとしか出会っていない章司はほかのモンスターと出会いを楽しみに洞窟を歩く。
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