第10話 ダンジョントレイン
初ダンジョンに挑戦中の章司。荷物持ちとして空間拡張がされている鞄を所持しているエリュシオンを召喚しアンシュと共にダンジョン内を歩く。
「───で!そこでラグナがキレちゃって!龍の形態になって暴れるから世界を守りながらラグナを鎮めるのが大変だったんですよ!」
「そんな大変なことがあったのか。キントとツィールは相変わらずだな」
「相変わらずで済まないですよ!終末龍が暴れたんですから! でもその時はご主人様の作った世界が壊れるって言ったら鎮まりましたけど」
そんな感じで章司とアンシュは会話をしながらダンジョンを散歩していた。時々あまり見ない資源を採取したり、襲ってくるモンスターを討伐し素材を獲得しながら。するとどこを見ても草しかなかった草原に突如として丘が見えてきた。
「いかにも何かありそうだな」
「行ってみましょう!ご主人様!」
アンシュに手を引かれながら見えた丘に向かって進む。すると10分少々歩いて丘の下までやってきたタイミングで丘の上から4人の男女が下りてくるのが見えた。しかも大慌てで後ろに4mはありそうな巨大な一つ目のモンスターを引き連れて。
「「「「ぎゃあああああ!?!?」」」」
「「「ゴアアアアアアア!!!」」」
そんな光景に章司とアンシュは立ち止まる。そして4人の男女の冒険者が逃げる方向は狙ってかたまたまか章司たちの方角だった。多くのモンスターを引き連れて他者のいるほうに逃げることをダンジョンではトレインと呼ぶ。
「なにか持ってますね?」
「巻物か?」
絶体絶命の勢いで逃げる4人の冒険者と自身たちの方向に危険が迫ってきているにもかかわらず観察している章司とアンシュ。そしてほどなくして逃げている冒険者は章司たちを発見した。
「逃げろ!!!」
短くけれども必死にそう伝える1人の男の冒険者。しかしいくら彼ら彼女らの目の前にいるのは弱れども前世にて邪神を討滅した大魔導士とそんな大魔導士と共に邪神に挑んだエリュシオンの1人。
「アンシュは手伝ってくれるか?」
「その質問はエリュシオンにとって侮辱ですよご主人様!」
「悪かった。それじゃあ1体は残しで行こう」
「イエス・ご主人様」
そう言って章司に対して片膝をついたアンシュは立ち上がりモンスターに対して飛んでいく。
ギュン!
高速で飛んで行ったアンシュの手の中には光から作られるエリュシオンの武器が握られていた。
「光器"棍棒"」
その光の棍棒をモンスターに勢いよく振りかぶりぶつける。
ドーン!
「ゴギャアアアア!?」
アンシュは棍棒を巧みに扱いモンスターを吹き飛ばす。そして横たわったモンスターに対して棍棒を放った。
「光棍!」
ビュン!
光の棍棒は超高速で放たれると横たわるモンスターの大きな目玉を貫いた。
「ゴギャアアアアオオオオオオ!?!?」
こうして速くもアンシュは1体を討伐した。そしてそれを見ていた章司も奮起する。
「やるなアンシュ。俺も負けてられないな」
章司はその場から動かずに魔法を放つ。それは一撃で3体のモンスターを討伐するために。
「青き氷の竜よその顎より放つ咆哮で他者を蹴散らせ!氷系統魔法≪青龍の咆哮!」
それは氷により青い龍を形作り咆哮として水の奔流を放出する戦術級魔法。
ブアアアアア!!
「「「ゴギャッ!?」」」
その水に触れたモンスターたちはたちまち身体を凍らせて砕け散る。
「ふう……戦術級程度を放つためにいちいち詠唱をしないといけないってのは窮屈だな……」
かつてのアークであれば詠唱を必要とするのは禁忌魔法のみで、戦術級魔法も戦略級魔法も無詠唱にて放つことが可能というありえない偉業を平然とやってのけていた。
それ故に章司は戦術級魔法にさえ詠唱を必要とすることに窮屈さを感じポツリと呟いた。
「そのために私たちがいるんですよ!ご主人様!」
章司の呟きを3体のモンスターを討伐して帰還したアンシュが耳に入れそう宣言した。
「そうだったな」
そんなこんなで章司とアンシュは2人が圧倒したモンスターに4人がかりで苦戦している男女を観察。
「(ヤバそうなら助ける気はあったけど……この様子だとなんとかなりそうだな)」
苦戦しながらもリーダーの男の指示により章司たちが終わってから約10分後にモンスターは倒された。
「これで終わりだ!ダブルアップ!」
ザン!
最後はリーダーの男がモンスターを切り倒し勝利した。しかし喜びも束の間、4人は章司とアンシュを視認した謝罪する。
「助けてくれてありがとう。そしてトレインという形になってしまって申し訳ない」
リーダーらしき男がそう言って頭を下げると他の3人も謝罪する。
「どうしてあんなことに?」
章司は7体もの一つ目のモンスター=サイクロプスに追われていた経緯を尋ねる。ちなみにサイクロプスはランク2のモンスター。
「実は丘の上には宝箱があるんだが……」
「それが罠だったんです」
「中にはマジックスクロールが入っていて喜んでいたら」
「それが罠だったってわけ」
要は欲をかいた結果ダンジョンが繰り出す罠にまんまと引っかかってサイクロプスを呼び寄せたということらしい。
「お詫びとしてこのマジックスクロールを全部渡そう」
リーダーの男がそう提案するが1人の軽薄そうな男が渋る事態に。結局は章司はたくさん抱えているマジックスクロールの中から適当に2つ選び分かれた。4人はダンジョンを出るために入り口へ。章司とアンシュは丘の上を目指して。
読んでくださりありがとうございます!
もし少しでも面白いと思ったら評価・ブックマーク・感想をしてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!




