2、YouTuberが伯爵令嬢になるまで
瀬川柚子18歳。今Z世代に人気の大食いYouTuberである。柚子が大食いに目覚めたのは、五歳の頃だった。
小さい頃から食べることが大好きな柚子は、親戚の集まりではしょっちゅう大人達から「よく食べるね」「いっぱい食べて偉いね」と皆柚子を褒めていた。
その言葉が柚子の大食いに拍車をかけ、柚子の食べる量は成長すると共にどんどん増えた。しかし、不思議なことに食べる量は増えたが、柚子の体型は変わることはなく、細身な体をキープしていた。
そう、柚子はいわゆる『食べても太らない体質』だったのだ。
柚子がYouTubeを始めたのは高一の夏。友人達と一緒にカフェに行った時、
『巨大パフェ 三十分以内に完食したら無料』
という貼り紙を見た友人に乗せられて挑戦した柚子。見事完食したら、それを見ていた人達がSNSに挙げたことで柚子の大食いが予想以上にバズったのだ。
すっかり人気者になった柚子は、友人の勧めでYouTubeを始めた。内容は勿論『大食い』だった。最初は乗り気じゃなかった柚子だったが、沢山食べられることと自分の食べっぷりを「すごい」「こんなに食べてるのに太らないなんて羨ましい」と称賛してくれる声が嬉しくて、どんどん大食いにのめり込んでいった。
しかしある日突然、柚子の短い人生に幕を閉じる時が来てしまった。
正月ということもあり、柚子はYouTubeの企画で餅百個食べていた。しかし完食間近というところで、柚子は餅を喉に詰まらせてしまったのだ。助けを呼ぼうにも餅が詰まって声が出せず、自室でYouTube撮影をしていたため、家族は柚子の異変に気づくことが出来なかった。
(…私の人生こんなあっさり終わっちゃうなんて…。せめて来世は長生きしながら沢山食べる人生を送りたい…なぁ…)
薄れゆく意識の中、柚子はそう思いながら息絶えてしまったのだ…。
…遠くで誰かの声がする。
…少しずつ視界が明るくなっていく。
「……お嬢様。リリーシアお嬢様!!」
「リリーシア!!」
「あ〜良かった。目が覚めたのね!!」
「…………へっ?」
気がつくと見覚えのない天井、見覚えのない中年夫婦と若い女性がいる。
そして鏡に映るのは…見たことのない金髪の美少女だった。




