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短編×恋愛

サンタクロースの恋人

作者: 仲町鹿乃子

深く考えず、サクッと読んでいただける方どうぞ~

 わたしの恋人は、サンタクロースだ。

 とはいえ、365日サンタクロースをしているわけではない。

 普段はわたしも働く会社で働き、12月23日から25日までの3日間だけ、サンタクロースとしての務めを果たしているのだ。



「ぼくは配達部門だからそれぐらいで済むけれど、調達部門の人たちは結構長い期間拘束されるんだ」

 恋人曰く、他にも受付部門や商品開発部門などがあるらしい。







 12月22日の午後。

 恋人は明日からの泊りがけの準備をせっせとしている。

 サンタ仕事は彼の性にあっているようで、その背中はうきうきとしている。

 そんな彼の背中に向け、わたしは言い出せず延ばし延ばしにしてきたことを話し始めた。

「忙しいところ、ほんと申し訳ないんだけれど、わたし、あなたとは別れることになると思う」

 恋人がパンツを持つ手を止めた。

「え、ええええ??? は? なんで」

「2週間ほど前かな。母から電話があったの。ほら、わたしの実家、酒屋をやっているでしょう。兄夫婦が継いでくれていたんだけれど。お義姉さん、都会っ子だから。やっぱり田舎は、おしゃれな生活ができないって爆発しちゃったみたいで。で、夫婦そろって都会で暮らす、みたいな話になって。母が、店を潰すのはもったいないんで、兄の代わりにわたしに後を継いでほしいって言ってきたの」

 わたしだって不本意ではあるけれど。

 なんか……断れなかった。

「そんな話、聞いてないよ」

「そうね。でも、あなたに相談する内容でもないしね」

 恋人に話したところで、どうにかできる話でもない。

「田舎に戻るって決めたってこと?」

「わたしさ、今までお兄ちゃんに頑張ってもらったっていう後ろめたさがね……やっぱりあるんだよね。とまぁ、そんなわけで、クリスマスプレゼントの配達から戻ってきたら、うちにあるあなたの荷物を自分の家に持って帰ってね」

 恋人は返事もせずにそのまま支度を済ますと「少し早いけど行くね」と、サンタクロースになるために家を出て行った。










 12月26日の早朝。電話が鳴った。母だ。

「あぁ、早くにごめんね。早く伝えなくちゃって思って」

 ごめんねと言いいつつ、母の声は明るい。

 それに、早くが二回もあるのだから、相当なニュースなのだろう。

「どうしたの?」

「あなたに店を継いでもらうの、なしになったから」

 なんでも昨晩のニュースで、実家の側にとーってもおしゃれな複合施設ができることが突如発表され、それを聞いた義姉が家を出て行くといった話を撤回したそうなのだ。



 その日の夜。

 わたしは帰って来た恋人を玄関で迎えると、仁王立ちになりおもむろに両腕を組んでみせた。

「ぜーったい、なんかやったよね」

 ぐっと睨むわたしに対し、恋人はバレたって表情を隠そうともせず笑う。

「だってサンタクロースは、人々の願いをかなえるのが仕事だからね」

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