ゲッツー ーその1ー
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僕は死んだー。………………………と思う(汗)
思うんだけど、イマイチ確証がない。いや、死んだの初めてだから、何をもって「死」とするのか。そもそも自分で自分の「死」を自覚できるのか?その辺がよく判らないんだけど、とにかく………怪しい………
死んだ後に、こんな事を考えていられるのかってのもそうなんだけど、それ以上に気になる事がひとつ………
死んだら皆、こんな感じなのかなあ…さっきからスグ側で、メチャクチャ怒ってる人がいるんだけど………
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「も~っ!何やっちゃってくれてんの?
勝手な真似すんなよな!さっきも言ったけど、全ては『無』なんだよ!もともと無いモノが死んだって何の意味もないんだ!せいぜい呼び名が変わる程度で存在は消えない。『C』が削除しない限りはな。しかし、『君』は違う!今メチャクチャ大事な時なんだよ!それを…!
君は僕でもあるんだぞ!判ってんの?インストール途中でぶっちぎれちゃったよ!どーすんのこれ!また一からやり直し?ふざけんなよ!どんだけ時間かけたと思ってんの?」
あぁ、もう一人の『僕』か…どこにいるんだろ…目の前が真っ白ケで何も見えない…『無』って確か『黒』じゃなかったっけ…
「どっちだってイイよっ!要は『二つ在る』って事が問題なんだ!『白』と『黒』、『君』と『僕』、『C』と『C』。割り切れない存在なんだって何遍言やぁ判るんだ?」
いや…そう言われても………大体、ホントに『君』は『僕』なのか?なんか…余りにも『C』の事情に詳し過ぎる様な…
「違う!『君』が知らなさ過ぎなんだ!もうずっと言ってっけど、この世界は全て『C』の夢なんだ。『C有りき』の世界なんだよ!
恐い夢を見た事ないヤツっているか?恐い思いをした事ないヤツっているか?『恐い』という感情を抱いた事ないヤツっていると思うか?『C』が作った世界だからみんな『恐怖』を感じるんだよ!今の『君』なら、それが判る筈なのに…ちょっとチャンネルを切り換えるだけでイイんだ。接続は途中で絶たれたけど、アカシックは君の中にあるんだ!さあ!やってみろ!」
え?………無理です。
「無理な事あるかっ!やらなきゃダメだっ!また一からやり直しなんてマッピラだぞ!『君』の主観でいくと、歴史的には5回!カンブリア爆発以降5回も生物の大量絶滅が起こっている。コレをこっち側の主観で言い換えると『初期化』になる!判る?5回だぞ5回!たった50億年の間に5回も初期化してんだぞ!どんだけバグってんの?それだけじゃない!同時にアウターゴッズやエルダーゴッズの相手なんかもしなきゃいけないんだぞっ!もうやだよ、あんな作業!勘弁してよっ!」
…やっぱり…『君』は『僕』っていうよりも『C』の方にかなり近い様な…
「だぁかぁらぁ!『君』のが遠いんだって!…まぁ確かに、精神と物質、二つの領域に役割分担した事で、若干のズレが生じた事は否めないけど、それはしょうがない。『僕』達は『二つ在る』んだから。
でも難しく考える必要はない。結局『僕』達は同じ存在なんだ。多少のズレがあったって、着地点は同じなんだよ。物質面を担当した『君』はきっと、『多様性』というモノに振り回されてるだけなんだ。突き詰めれば二つのモノしかないって事にスグ気付く筈さ。
インスマス化した者が、なぜ魚顔になるか判るか?アレはこの世界の二元性を表しているんだ。『意識』は『無』だ。それを『有』にすると、『言葉』になる。精神という『無』の海の中を泳ぐ『有』、『魚』とはつまり『言葉』の事なんだよ!
無知なる者でもインスマス化するだろ?それはこの世界にある全てのモノが二元性を内包していて、それを体現していて、その事を全てのモノが無意識のうちに知っているからなんだ。二つの『C』によって作られた世界だという事を無意識に認識しているからこそ、言葉を話す人間はあんな顔になるんだよ!」
…強引。
「強引な事あるかっ!それが真実なんだっ!言ったろ、『二つ在る』って!割り切れない存在だからこそ、どうやって生きていくか?それを模索してるんじゃないか僕達はっ!
精神と肉体。エネルギーと物質。意識と言葉。無と有。二つ在る、が、切り離す事が出来ない。僕達は同一の存在でありながら、『共存』しなければならないんだ。そしてやっと出口が見えてきたトコなんだ。判ってくれよ!」
…なんだか大変なんだなぁ。
「他人事かよっ!」
いや、そうじゃなくて…大変な道を選んでるんだなぁと思って…
「?」
進むべき道が、ひとつだけなら、何も問題はない。選択肢が生まれるから、悩みも生まれるんだ。この閉じた宇宙は始まった瞬間から選択の連続だった訳だ。
一応、アザ【削除済】をやっつける事を目標にしてるけど、順調にはいってないんだろ?何度もバグって初期化したり、初期化してもズレが生じてたり…『共存』ってのは大変なんだなぁと…
……どうして無限にいるC達は、戦いなんかやめて一つにならなかったんだろう?対消滅を起こさないのなら、一つになった方が遥かに効率がいい筈だ。出来ない訳じゃないんだろ?なぜワザワザ『共存』なんていう手間のかかる道を選んだんだろう?
「二つ…在るからだ…。」
なぜ『二つ』にこだわるんだ?仮にこの閉じた宇宙を飛び出せたって、そこには無限の『C達』がいるじゃないか。またズレが生じたりしないか?
「………。」
参事官は言ってた。いくら否定しても、心が信じてしまえばそれは存在する事になると…『無』から『有』が生じるんだ。
「………。」
何もないところから生まれた人間…心を持った人間…そう…そんなんだよ!君の言う通り、僕たちはこの閉じた宇宙の中で実際にぶつかり合っていた。だけどそれは人間が生まれる前の話だ!
「………。」
あのぅ~…やっぱり…対消滅は起こるんじゃないの?
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「な、何をバカな…!」
チョット思い出したんだ。SF映画でさ、コンピュータが自我に目覚めて、人類に反旗を翻すって話、結構あるだろ?あれと同じ事なんじゃないのかなってさ…この場合、『コンピュータ』が人類で、『人類』がCになる訳だ。人類がCに反旗を翻す…
人間原理がCを凌駕した…
夢の中の存在が、『君』の言う『多様性』でもって、自分達の身を守る為に顕在化した。自我に目覚めて独立した。そして産みの親を対消滅の危機に晒すまでになった!…いや、もともとそれすらもアザ【削除済】の策略だったのかもしれない…その可能性を考えた事はないのか?
「だ、だから複雑に考え過ぎなんだよ。変に裏を読んだって…。」
裏!そう、裏だ!裏は見えない。表しか見えない。だけど裏は在るんだ!ブルーさんが言っていた。いや、あのブルーさんは『君』だったのかもしれないな。とにかく、こう言ってた。『どちらが欠けてもダメだけど、相入れないモノでもある』って。コレじゃまるで分裂症だ。
表と裏は一つのモノなのに、全く別のモノになっている。全く別のモノなのに、対消滅の可能性も否めない。歪んで当然だ。間をとりもつ架け橋が必要なんだ。
今の場合なら『線』と言った方が良いのか…『僕達』だよね?『僕達』がいないと『C達』は自分を保てない。自分達が作ったこの世界と繋がる事が出来ない。繋がる事は出来ても一つにはなれない。外宇宙に飛び出しても、それは同じ事。どこまでいっても割り切れない存在…そうだ!…割り切れないんだ!それこそが→$%*÷<〆々〒○?#……………!
ー続くー




