俺のダンジョン?
「フローディア?明日からあのダンジョンヘ行こうと思う」
『えっ!┅┅そう、とうとう行くのね』
「なんだか悲しい顔色だけど?」
『ウフフ♪そりゃ悲しいわ、だってあのダンジョンはナオトの最終試練だもの』
「最終って?」
『貴方の能力を図る事、この世界で文句なく生きていける能力になった事の証明になるのよ』
「じゃあダンジョンを攻略して来たらここを出なさいって事?」
『ウフフ、ここに来て2年が過ぎたわ、そろそろこの世界へ出ても良いんじゃないの?』
「まぁここで一生過ごしても楽しいと思うけどね、でも折角の異世界に居るのだから冒険とかしたいのも本音だよ」
『冒険ねぇ、旅をしてみて廻るのも良いわね、違った世界だから面白い発見があるわよ』
「この世界の事は本とかで知ってるけど実際に見るのは違うんだろう、それにエルフ族とか獣人とか見てみたいな」
『ナオトは魔物ばかり見て来ましたからね、ヒト族にも会いたいでしょ?』
「ヒト族ねぇ┅一番厄介なんだよね、でも今は23歳だろ?この先40年以上は生きるのにここだけってのも勿体ないよね、世界を見て廻って落ち着く場所が見つかればそこで暮らしても良いかな」
『転移魔法が使えるのよ、ここには何時でも戻れるの、それを考えて無いでしょ?』
「アハハ、そうだった!何時でも戻れるんだ、じゃあ行かないと駄目だよね?アハハ、知る事は楽しい事だからね」
『この世界は不安定な時期になってしまって┅ご免なさいね、もっと安定した世界だったら良かったのに┅』
「それは神様達の責任じゃ無いと知ってる、1部のヒト族が愚かな事を企んで不安定な事も、人間もだけどヒトって我が儘だよね?欲が深いってのは仕方ない事だと思ってる、でもだからと言ってこの世界の理を壊して良いとはならない、だからもしだよ?俺に出来るならその相手とは戦うよ」
『ナオト┅でも無理は駄目!貴方はこの世界で楽しく生きて欲しいの、煩わしい事に振り回されないで、この星が無くなっても貴方は別の星で同じように生きれるから』
「なんだよそれ?アハハ、心配無いさ、その為に能力を授かってるんだろ?それとここに戻ったらフローディアとも会えるよね?」
『そ、それはどうなるか分からないわ、貴方が無事に世に出れる迄と言われてるから┅』
「えっ?それじゃあここを出たら会えなくなる┅だって補佐役だろ?って!独り立ちしたら補佐は要らないかぁ┅クソ!」
『私は全智全能の神なのよ、間違いの責任で補佐役を申し出たの、神域では私の仕事が有るのよ、間違いが間違いでなくなったら私の役目は終わるの┅』
「俺はフローディアがいたから頑張れた、沢山教えて貰った、だから寂しいとか悲しいとか全然思わなかったんだ、だから会えなくなるのは辛いよ┅」
『まだ早いわよ、ダンジョンを攻略してからよ、それに町の教会ヘ行けば会えるの、嬉しいけど貴方は貴方の生き方を目指しなさい』
「┅┅分かったよ、仕方ない┅じゃあ行って来る┅」
『ウフフ、待ってるわ、だから早く帰って来てね』
足取り重く結界を出て目指すダンジョンヘと飛んだ┅┅はぁ、やる気が出ないよ
ダンジョンらしき洞窟が見えて来て静かに降りると直ぐにフクロウの化け物が補食しに来た
ダークネスウラル ランクSS
鋭いくちばしと爪で攻撃する 体長12m以上の巨体で顔のアンテナで超音波攻撃
魔法を使う 風魔法
チッ┅厄介なヤツだ、硬い羽は物理が利かない、やはり魔法攻撃かな┅
デカイ足で捕まえに来るフクロウ、巨体の癖に動きは早い、【ファィヤーボール】を試しに打ち込んだのだが┅
ヒュ~ルル┅ドッガガーン!
えっ!なにそれ?すげぇ火の玉が飛んでった?ぶつかって酷い事になってるぞ┅
大きな翼をはためかせ苦しそうにのたうち回ってる?
こりゃ苦しんでるんだ!可哀想だが止めを!
瞬間移動でフクロウの背に出ると手をあて雷魔法、ニードルサンダーを体内に流す!
ビカァー! ズドドォォン!
焦げ臭い臭いと立ち上る煙り、横たわるフクロウは息を引き取るとポワ~ンと霧になって消える
獲得したドロップ品はデカイ魔石と魔導書にポーションが5本エリクサーだった
それにしても┅威力が半端ねぇ!
初級魔法であの威力だから考えないと┅
収納して洞窟を見ると普通の洞窟じゃ無くて黒い結界が張られてる
手を添えると魔力を感じ開く仕組みだった
随分と手の込んだ作りだな?気を引き締めないとヤバイかも┅
スゥ~と吸い込まれる様に中へ入ると明るい洞窟?階段が続く通路には灯りが並んで足元は明るい
下りていくと広い空間へ出た、これが1階層って事か┅広い草原なんだな
見渡す限りの草原って?木は1つもない、空が有って陽射しも有る
これはダンジョンあるあるだよな?この先を真っ直ぐ行けば次の階層だろう、魔物と言うか敵は?┅┅┅いた!
キングミノタウロスって!最初がSクラスかよ!と言う事はこの先はコイツより強いのが待ってるって訳だ┅┅ふざけるな!
キングミノタウロスは森の1層と2層にもいるがこのダンジョン産はふた回りもデカイ
体長15mは有る
それに棍棒もデカクて風が巻き起こり草が土ごと飛んでいく
はぁ?ムリムリ無理ー!あんな化け物相手とは!腕だって俺の胴回りよりデカイぞ!
アハハ┅怪獣だよな?汚いヨダレなんか垂らしやがって
でもコイツは頭が悪くて棍棒を振り回すだけの脳筋だった┅意外と簡単じゃね?
槍を出して目を狙って思いっきり投げつけた、この槍は特製ミスリルで作った奴だ
シュゥーゥウウ! ビシャ!
上手く貫いた!右目に刺さり奥まで達してる、これで倒れてくれよ
ズドーン! ポワ~ン ドサドサ
ドロップしたのはやはり肉の塊、デカイ角!邪魔なんですけど┅魔石は落ちるのね┅それと?オオー!あれは宝箱!
初めての宝箱だぁ!ホントに出るんだ┅
鑑定すると罠無しでワクワクして開ける!
┅┅┅┅なんじゃこりゃー!
【キングミノタウロスの睾丸】超希少品 オーク種の100倍効果 寝てる貴方のアレもムクムク間違いなし 【マジックバッグ 特大】時間停止機能 収納量 10万×10万 獲得した睾丸も新鮮!効果抜群!
┅┅┅ってなんだよ!この説明は要らん!
それに何が悲しくて玉を喜ぶ!まあマジックバッグは貰うけど!要らんわぁ~玉は無いわぁ~
ふと見ると向こうにも彼方にも?はぁ┅玉は要らんわぁ~
仕方なく涌き出るキングミノタウロスを風魔法中級、ウィンドカッターで切り刻む!
もうヤケクソ!沈んだ気持ちを八つ当たりして霧にしてしまう
大量の肉と角┅宝箱が3つも出やがった!クソォ!開けなきゃ駄目か!駄目なのか!
3つ並べて次々に開ける?┅┅
オオー!玉が無い!(誤解しないで)
【ダイヤモンド 大】【金】【転移石】
ダイヤモンドの塊?デカイ!これで大って?ソフトボールくらい有るぞ?
金の延べ棒って!重い!30㎏はあるぞ!
転移石って?(ダンジョン内を転移出来る スタート地点にも戻れる)
ははぁん、これはもしもの時の為に有るのか、でも便利だよな┅使わないし!
キングミノタウロスを20体程倒したのか辺りには何もいない
すると奥に扉が見える?この1階層はキングだけの魔物みたいだ、肉が褒美かな?
玉は余計だった┅┅
扉を開けると2階層だと思ってたがなんとボス部屋だった┅なんで初っぱなから?
そこにはキングじゃ無くて目玉の親父!
サイクロプスだった┅それも普通じゃ無い
【サイクロプスウォリアー】って!
初めて見る相手だ、目玉は変わらず有るが何が違うんだろう?
(戦闘特化タイプ 再生能力が高く直ぐに修復する 動きが早く俊敏 弱点=〇●を潰す)
はあぁぁあ!ナニナニを潰す!馬鹿じゃ無い!あんな小さなナニナニをどうやって潰すんだ!
そうそれは悲しくも儚い、コイツのアレは豆粒くらいのナニでナニナニも同じようにこめ粒みたい┅┅残念!
デカイ図体なのに悲しいかな貧相な物をぶら下げて?じゃなく付けて┅┅
こりゃ弓で射るなんて達人じゃなきゃ無理だ
弱点は辞めとこう、うん可哀想過ぎる┅
だから首を狙って攻撃する、脳筋野郎は突っ込んで来る! ドカドカ!
剣で迎え撃つ、殴り掛かる奴の腹目掛けて斬撃を飛ばし応戦! シュ~バシャーン!
腹を切られても直ぐに修復され睨んでる?
すると目玉が開き明るくなる!
なんだと!光り光線!コイツはビームを放つのか!
ヴィヴィー!ガガーン!ガガーン!
部屋の壁に光線が当たると焦げた煙りが立ち上る
目玉を振り回すと光線が円を描き辺り一面に降り注ぐ
クソォ、メチャクチャな攻撃しやがって、光線だらけじゃ無いか!
じゃあ水でお返しだ!覚悟しろ!
水魔法を次々に放つ ゴオォォァオオ!
凄い竜巻が幾つも目玉に襲い掛かると光線が屈折して目玉自体にも当たっていく
ジュゥー ビシャー!
アレアレ?光線で切り刻まれてる?竜巻で巻き上がり光線が次々に目玉を切る
ポワ~ンと霧になって竜巻が消えると何も無くてドロップ品と宝箱が残った
フッ、馬鹿な奴だ、無闇やたらに光線で攻撃するから┅
しかし┅あれは竜巻だよね?なんかすげぇのが巻き上がってたが?
ドロップ品は目玉?はっ?目玉!メダマ!
要らねぇ!ってなんで目玉?
【サイクロプスウォリアーの目】これを食べると千里眼が取得出来る 食べ方は自由だぞ!エヘン! 【肉】【マジックバッグ大】普通┅
おい!管理者出てこいやぁ!ふざけるな!
何がエヘンだ!バッグの普通って馬鹿にしてる?でも確かに普通だと生き物も入るな?これはこれで便利かも┅
はぁ、疲れた┅なんだよあの説明、あれが無かったらこんなに疲れないんだが┅
まだ1階層だよな┅でも疲れた、癒しが欲しい、あんなササクレタ説明でボロボロ
2階層の扉前は広くスペースがあったからここで休憩、【部屋】を出して中で休む事にした
部屋で時間を見たら既に夜だった┅?もう夜?入ったのは昼前だったけど?
やはり普段より手を焼いてたんだなぁ、ダンジョンの魔物が強いのは知っていたがあそこまでとは┅
風呂に入って考えてた、2年の間にフローディアとは仲良くなって友達の様になった
精霊達とも仲良くなって、何時も目の前に写る事が普通の景色になった
こっちに来て寂しいとか無くて楽しいが多かった、面白い事ばかりで夢中だった
魔法が使えてワクワクして錬金術も面白くて、何をやっても楽しかった
それにフローディアやシルフィードにウンディーネ達は超美人でスタイル抜群、物言いも可愛くて
何の不自由も無くて美味しい食べ物も恵まれて凄く幸せを感じる
あの場所を出てこの世界に馴染めるだろうか?ヒトと仲良くなれるだろうか?
俺は有る意味で特殊な存在でイレギュラーな生き物だからなぁ
異世界人┅でもこの世界のヒトに変わりは無い、だってここに落とされたのだから
生きていく事に変わりは無い┅
スマホには優奈の笑う顔が眩しい、優奈┅
ごめん、約束を守れなかった
お前をずっと守るって言ったのに、今はこんな所に居て┅ごめんよ
知らず知らず眠ってしまった、枕は涙で濡れていた┅┅