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間違い転生者 ~異世界で素敵な仲間と生きて行く~  作者: 姫野 りぉ
第一章 間違いの始まり
5/57

別れと始まり


「坊っちゃん、家族で話し合った結果ですが有り難く賃貸マンションをお受けします」

「貸ビルはどうしますか?」

「その件は皆と話したのですが、あの銀座にある貸ビルをこの事務所名義にお願いします、あのビルは所長が最初に建てられたビルです、我々には思い出がありますから」

「了解しました、香織さんは?」

「私も直人君の提案を受けてマンションを受けますよ」

「何が提案だ、欲まみれの顔をしてただろ」


「私は直人君が貰ってって言うからですよ、決して私利私欲ではありましぇぶ、っぅ┅」

「大事な所で噛むなよマッタク」

「良かった、これで3つが片付きました、後の5件は世話になった不動産屋さんに譲ちゃいます」


「しかし!本当にそれで良いんですか?」

「いえね?もう邪魔でしか無いんですよ、使い切れないお金なんてホント邪魔なだけなんですから」

「ふむ┅確かに金ってのは欲しいと思ってる間が価値を生むんだな、必要以上になれば面倒なだけかぁ」


「屋敷と道場の代金は35億にもなります、そんなお金税金を引かれても凄く余るんです、一生使い切れない金なんてホント無駄なだけですよ」

「へぇ~そんな額になったんだ、税金を引いても15億は下らないな」

「直人君の場合は銀行に現金がたんまり有る状態だもんね、その上にそんだけの額が足されたら可笑しくなるわよ」


「香織さんの税金も払いますから、まぁ法律の専門家だから上手くやって下さい」

「ハハハ、わかった、じゃあ今は赤坂一丁目のマンションなんだね?」

「ええ、あのANAホテルの近くです、なにか有ったらそちらにお願いします」


事務所は内幸町だから銀座に近い、優奈とは待ち合わせをしてる

なるだけ一緒の時間を作って残り僅かの時間を過ごしたいから


「直人!こっちこっち!」

「なんだよ行列に並んで」

「エヘヘ、この行列はこの先のお菓子屋さんよ、新作のスイーツがテレビに紹介されてご覧の通りの人気よ」

「この行列じゃあ買えるかどうかわからないぞ」

「その時はそれで良いよ、こうして直人と並んでるのが楽しいから」

「はぁ~女子が考える事は理解不能だよ、行列自体が俺は好きになれないからなぁ」


「ウフフ、直人は面倒なのが嫌いだもんね?でも時には面倒事に向き合うのも大事よ」

「ハイハイ、世話好きの誰かさんには敵いません、あっ!お袋さんに呼ばれてるんだ、何か知ってる?」

「母さんが?何も聞いて無いわ、家の方、それとも病院なの?」

「病院の方、検査の結果かな?」


「じゃあおみやげにお菓子を買って行きましょうよ」

「仕方ないな、服を買いたかったけど」

「話が済んだら時間が有るかも知れないよ、青山辺りで買ったら?」

「そうするか?」


病院では担当のセンセと理事長の優奈ママが待っていた


「直人君、貴方の身体に異常は何1つ無かったわ、その何も無いのが問題なんだけど」

「一之瀬さんの容態は死んでも可笑しくなかった状態でした、イエ死んで無いのが可笑しいくらいです、それが目覚めたら何も無いのは異常と言えます」


「それにその姿も問題ね、全く別人に変わってしまった、体格に髪の毛に瞳もね」

「その瞳は失明と言うか陥没してたのです、それが100万人に1人のダイヤモンドアイになったのですよ!背も、骨格が変わったのも医学では説明できません!」


「っとまぁそんな訳で直人君には悪いけど貴方を観察対象に指定するわ、血液や骨髄も定期的に調べてレントゲンにCTとMRI検査もよ」

「そうですか┅それで検査に異常が無かったら?」

「それならお手上げよ、だって正常の人を調べても何も出ないでしょ?」


「はぁ~良かった、檻に入れてモルモットなんかされたら逃げますよ」

「そんな非人道的な事はしないわよ、それに後ろの弁護士さん達が怖いわ、あくまでも経過検査の一貫よ」


「直人┅良かったわね、何も無いって安心だもの」

「そうだね、健康で要られて運が良かったよ」

「直人┅」

「コホン┅じゃれつくのは他でお願い、貴方達は子供じゃ無いから分別はつけてね」


「もう!母さんはデリカシーが無いの!それに父さんは直人とは許してくれてるわ!」

「私もよ、直人君と貴女が結婚してくれたらどんなに嬉しいか、それで?どうなの?優奈を貰ってくれるの?」

「そ、それは決めてます!いずれ正式にお願いに行きます、今はまだ待って下さい」


「ウフフ♪それを聞けただけで今日のワインを美味しく飲めるわ、早く押し倒しなさいよ、優奈も待ってるのよ」

「母さん!な、何を言ってるの!バカァ!」

「あら?ホントの事でしょ?貴女は直人君を求めてる、女同士だからわかるわよ、私もそんな時が有ったからね、ウフフ」


「優奈┅何を言っても敵わないよ、年長者の意見は素直に聞いとくに越した事は無いから、じゃあ失礼します」


病院を出て買い物は明日にしてその足で不動産屋さんへと向かった、残りの物件を全部押し付ける為に


「若葉さん、大事な話が有ります」

「まぁなんでしょ?お付き合いとかですか?」

「ぶっ!違います!からかわないで下さい、物件の事です!」

「まぁ残念、私は構いませんのに、ウフフ、では聞きましょう」

「もう┅小悪魔ですか?可愛いから許します、それで賃貸マンションの2件は片付きました、貸ビルも1件、残りの5件ですが、貴女に差し上げます」


「えっぇええ!ちょっと待って!なんですかそれは?」

「だから5件は柳若葉さんに差し上げます、この柳不動産って貴女の親族経営でしょ?その店に任せるのは差し上げるのと同じですよ、それにあの家とかの代金は大きいですから纏めての代金として下さい」


「はぁ?それはあの35億が家と道場に賃貸と貸ビル全部の代金だと?」

「そうです、5件と2件を合わせてその額なら可笑しく無いでしょう、誰もが納得しますよ」

「いえいえ!安すぎます!全部だと軽く100億は越えるんですよ!それをたったの35億って┅」

「良いんです、問題は誰かが持ってる事が重要で値段はどうでも良いんです、棄てる事が出来ませんから」

「棄てる┅もう貴方は何が何だかわからない人ですね?むちゃくちゃです!」


「まぁ欲が無けりゃそんなもんですよ、邪魔にしかならない物は譲るのが一番です、それも有効な相手にです」

「私はその有効な相手だと?」

「ええ、見ず知らずの俺の事を親身になって話を聞いてくれましたし、アパートもあんな素晴らしい物を紹介して貰いました、なんたって凄い美人さんに出会えて仲良くなりましたから」


「もう┅そんな事を言われたら惚れてしまいますよ┅」

「アハハ、俺は若葉さんが好きだから譲るんです、ありがとう┅です」

「貴方は┅」


アハハ!全部丸投げ!これで後は銀行の現金だけだ、でもこりゃ大変かな?



«もぅもぅ┅あんなにハッキリと告白されたら┅ア~ンあの瞳に見詰められたら┅嫌だ┅濡れてる┅はぁ┅»


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「フローディアさん?実は現実の世界でお金が沢山になって困ってます、どうにかなりませんか?」

『それは銀行の預金ですか?』

「おお!話が早い、そうです!銀行にえらいお金が集まって動かすのが大変なんですよ」

『そうですか┅出来るなら金とかの鉱物資源に代えて欲しいですね、それでも残ったのは私がこちらへ動かしましょう あの換金口でこちらのお金に変換出来ますから』


「金とか鉱物資源┅其れなら幾らか減らせるか┅、それにしてもそんな事も出来るんですね?」

『これは特別ですよ 普通は関与出来ません 私が関与出来るのはこの結界の中だけです この場所を出たら私は神域でしかあなた様を見れなくなります』

「じゃあ俺がここを出て行ったら会えなくなるんですね?」


「そうです 私はこれでも神です 地上界に関与出来ません でもあなた様の事はずっと見守ります」

「ありがとう御座います、でもステータスや能力を完全に身に付ける迄はここを出ません、フローディアさんの合格を貰ってからですよ」


『ウフフ では暫くは一緒に居られますね?』

「ええ、スキルや魔法は凄く難しいですからね、それにこちらの世界の知識を多く知らないと駄目だと思ってます」

『それは世界樹にも手伝わせます あれでも2万年の時を生きてます わからない事は聞いたら良いでしょう』


「2万年ですか?やはり爺さんですね?アハハ、では魔物狩りに行ってきます」

『魔法に頼らず道具を使える様に試してね』

「ハイ!これからは武器を主体に訓練します!」


身体強化を掛け走る、武具の中に有った軽い鎧?みたいな服を着て其なりの格好になってる

前から5mも有るキングトロールが向かって来る

それを槍で刺し剣で首を切り落とすが直ぐに再生する┅キモッ!


胸の魔石を壊せば再生しない、弱点を弓で狙い放つと上手く射貫いた

モワ~ンと霧になってドロップ品を落とす


直ぐ次の魔物だ!ミノタウロスの上位種、ミノタウロスキング!ランクSだ!

こいつは牛の化物、ドロップ品は上質の肉と角、魔物図鑑はおおよそ頭に入ってる

魔物と薬草に果樹とか面白くて直ぐ覚えた


5m越えの巨体を相手するなら魔法が効率が良いがここは武器で勝負

デカイ斧を振り回し攻めて来る!だが交わして魔剣で斬り込む! ビシュ!

やはり胴体は血が吹き出るだけ、再生能力も有る

ここは致命傷を狙わないとヤバイ、先ずは足を切り落とす、そして心臓部の核を狙い突き刺す!


くっ┅駄目か?届かない┅やはり首を落としたが早いか?

そのまま首に斬り込む、だが相手も反撃する、斧で腹を狙って振りかざす

思わず瞬間移動してた┅そして綺麗に首を切り落とした

はぁ~やはり魔法と合わせないと難しい、剣や槍、弓の基本も何も出来て無い

確かに剣道は爺ちゃんに叩き込まれたが、実戦での剣技は皆無だ、経験を積んで習得するしか無い┅


角と肉に靴?ブーツかな?魔石はデカイ!

トロールのも魔石が大きかった、それにトロールのドロップ品はエリクサーが5本と薬草だった、万力草って┅これは完全回復薬の原料、トロールキングの斧って!要らねぇ!デカ過ぎるだろ!

これは売却っと、もう少し倒すか?


これは?スライム?なんで弱小魔物が?


【鑑定】エンペラースライム 超希少種

魔法を使う 多様な防御と攻撃をする


これは強敵なのか?って!水?魔法!

イヤイヤ!ジューウ!って強い酸!硫酸なのか!怖いわ!

スライムと馬鹿に出来ない!あの核が弱点だな┅

そうだ!あれを試そう 【アポート】よし!やった!核の魔石は手に有る

アポートとは引き寄せる魔法で空間魔法の中に有るものだ


イメージした対象を手元に呼ぶ魔法と言えば解るか?

エンペラースライムの魔石を抜き出して手元へと移動させるイメージで発動したんだ、敢えなく溶けて霧となった

ドロップしたのは魔石とフード付きのローブ、それと靴?又靴って?でもこの靴は凄い!完全防水で毒耐性で酸に溶けない

見た目もさっきのより格好良い!これは普段使いだな


戻るとフローディアさんは居なくて精霊達に囲まれた

«ナオト ナオト遊ぼ»

マテマテ、少し疲れた、風呂に入るよ

«ナオト あのね向こうで呼んでる»

«ナオトに話し有るって»«早く 早く»


なんだよ?誰だよ?

【フフン!ナオト!精霊樹が呼んでるぞ、アイツもソナタのマナに引かれたのじゃ、行って話をしてこい】


「なんだよ精霊樹って?向こうなんだな?」

«««««コッチ コッチ»»»»»


って┅この木もデカイな?


〖ヒトの子よ!良く来た、我は精霊樹、ソナタのマナで力を貰った〗

「あんたも話すんかい!世界樹と言い木が話すって俺には不思議しか無いけどな!」


〖ハハハ!我と世界樹くらいだ、ソナタは本で我を知ってるだろう〗

「ああ、精霊樹だろ?あんたの実は進化の実だったか?精霊達が食べると進化して成長するんだよな?」


〖精霊だけでは無い、全ての生き物が進化する、ソナタもだ、マナのお礼にこの実を授けよう、全部納めてくれ、放って置くと腐るだけだ〗

「そうなんだ!じゃあ俺が食べたら進化とかするんだ?」

〖そうだ!ソナタも進化する┅だがくれぐれも用心と覚悟せよ、進化したら後戻りは出来んからな〗

「わかった、フローディアさんや世界樹の爺さんに相談するよ」


〖世界樹には爺さんと言っておるのか┅では我を叔父さんとでも呼んでくれ〗

「あんたを叔父さんかぁ┅まぁ良いかな」


〖それと我の祠も使うと良い、世界樹と同じ様な物だ、だが為にはなるぞ〗

「この辺りかな?っと、ほうほう、成る程、同じだな、本が凄いけど?奥に有るのは工房なのか?」


〖そこは薬のポーションとか造る工房だ、ソナタは錬金術が使えるだろ、そこで色んな物を造ると良い〗

「へぇ~これは凄い!これが錬金釜だな?それに色んな器材が有るね、本も薬草とか素材の本が多い、あれは?薬草に?ウエッ!これは魔物の素材!気持ち悪いなぁ」


〖そこに有るのは全て薬の材料だ、後ろは木の実とかだ、参考にすると良い〗

「ありがとう、それでこの実を精霊に食べさせても問題無いんだろ?」

〖ほう!進化の実を精霊達に食べさせるか?そんなヒト族はおらんなぁ、良い良い、ソナタが思う様にすれば良い〗

「わかった、じゃあ向こうへ戻るよ、ちょくちょく来るからな、錬金術は習得したいから」

〖何時でも使うと良い、感謝する、ありがとう〗



ーーーーーーーーーーーーーーーー


現実世界に戻る、異世界との扉は借りたアパートへと代わった

なるべく多くの物を買い足してあの【部屋】へとストックする

百金の雑貨や、めぼしい物を買い漁る、それに次元収納は時間停止だから魚や肉、野菜も多く買いストックする

そんな毎日を繰り返し異世界では訓練と勉強、現実世界では来る日の為に買い物に精を出す


勿論、優奈とも毎日一緒に過ごしてる、そして毎回キスしてる┅一線は越えてない、ギリギリで耐え我慢する┅我慢!


彼女に本当の事を話せないジレンマが焦りになる

冷たいかも知れないが何も言わずこのまま消える、何が正解なのかはわからないけど、俺の気持ちは伝えたんだ┅

彼女の気持ちも良くわかった、其れだけで充分だ、それだけで┅


そしていよいよ期限が迫った、資産は全て処分出来て銀行の現金もスッカリ無くなってる様だ

スイス銀行へと移った事にしてるが全部異世界へと保管してある


結局優奈とは結ばれなかった、それは駄目だと決めたから┅我慢の賜物

俺は消える事を選んだ、自然消滅になる

飛行機でカナダへと渡り入国したら期限切れで異世界へと飛ばされる、それでサヨナラだ

もう未練は無い、思い出として残った、それで良い、其れが正しい答えだと┅



さようなら 愛する人よ さようなら

優奈┅┅



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