王都での出会い
約束通り遅く起きて眠たそうに降りて行くと昨日案内してくれた女の子が元気にお礼を言ってくれた
「お客さん!昨日はありがとうございましたです!女将さんが受け取りなさいって言ってくれましたです!」
「偉いね?ちゃんと報告したんだ、黙ってても良かったんだよ、あれは君に挙げたんだから」
「駄目なのです!お客さんから金品を貰うのはいけないのです!でも拒否もいけないのです、だから女将さんに言わないと駄目なのです」
「へぇ~そうなんだ(驚いた┅シッカリしてる、でも┅)それは悪い事をしたね?考えが足りなかった、ごめんね」
「イエ!そんな!ごめんは駄目なのです!」
「ウフフ♪あらあら♪お客様、申し訳ありません、当宿では従業員へのプレゼント等は受けない事にしてますの、貴族様などはそうして歓心を抱かせ身受けなどを為さるお方もいらっしゃいます、特に若い子ですがフフフ♪」
「えっえぇえ!そんな事を!イヤイヤ俺は単なるプレゼントと言うか褒美と言うか、偉いなぁと思っただけです!他意は有りません!」
「ウフフ♪承知してますよ?この子の荒れた手を治してくださったんでしょ?それで優しい方だと分かります、お客様が不埒な思いなど無いのもですよ、ウフフ♪」
「はぁ┅良かった、こんな幼い子が働いてるのは俺としては悲しい思いなんです、出来れば成人してからなんて思ってしまって、でも彼女の事情とか知らない俺が余計なお世話ですから、責めてお腹いっぱい食べてくれたらと思ったんです」
「┅┅まぁ!確かナオト様でしたね?冒険者でガラルドの町からいらしたと?」
「ええ、昨日都に着いてギルドで買い取りをお願いしたんです、そしてリチャードさんに言われて此方へ」
「ええ、何時もの事ですから、リチャードは何時もおふざけで冒険者を寄越すのですが、あなた様が初めてです、普通にお泊まりになられるなんて、とてもビックリしましたよ?ウフフ♪」
「おふざけで?ハハ~ン、田舎者だからからかったんですね?どうせ大した金は持ってないだろうから慌てると?それはそれは┅フフフ、なにか仕返しをプレゼントしないとですね?」
「アハハ♪面白いお方です、とても気に入りました!又王都にいらしたら是非とも当宿へ来て下さい、あなた様とお話が出来れば嬉しいですから、その時は代金を特別料金としますので、ウフフ♪」
「それはありがとうございます、とても良い部屋で満足しました、それと風呂がとても素晴らしかったです、今度はゆっくり滞在しようと思ってます、その時はお願いします」
「お待ちしていますね♪私の名前はカルラと申します、お忘れ無きように♪」
ピッタリと体を密着させるのは何故!
凄い良い匂い、そして柔らかいし胸が!
確かに気に入られたようだ┅
しかしリチャードめぇ!それとジャルドもだな!田舎者だと馬鹿にしやがって、そうだ!ククク┅あれを出すか?ハハハ!
でもカルラさんってメチャクチャ色気ムンムンだったな?
まだ若いと思うけど?貴族とか絶対欲しがるよな?女将って事はかなりお金を持ってる筈だよ、都にあんな宿を構えてるんだから、もしかしたら元貴族とか?イヤイヤ!今が貴族とか?
あの気品であの色気って┅男なら逆上せると思うよ、ウン絶対!其れにしても綺麗なヒトって多いんだなぁ
そんな不埒な事を思いながらギルドヘと着いた、例の緊急招集はまだ続いてる
討伐は終わって無かった、だからかギルド内はガラーンと静かでヒトはまばら、低ランクの冒険者だけがボードを見てた
「ヒャッホー♪Dランクの君!どうだい?お茶してかない?」
「ああ┅あのですね?黒いお茶なんですがね!粉を濾す布を変えてくれたらお茶しますよ」
「ヘッ?何言ってんの?そんな面倒な事はしないよ、なんでそんな事を?」
「はぁあ?濾して無いって!もう良いや!とにかく見せて貰うからな、ホント何も知らないで商品にするなんて!」
「なになに!こらぁ!勝手に入るなぁ!」
ズカズカとキッチンへ入ると驚いた!コーヒーを鍋で粉事沸かしてる!馬鹿か!
「なぁこれ?上澄みだけコップに注いでるのか?」
「そっだよ!」
「バカヤロー!コーヒーを馬鹿にするな!なんて失礼な事をすんだ!コーヒーはなぁ!繊細なんだ、俺が入れるからそれを飲め!そしたら考えが変わるからな」
勝手に始める、手持ちのコーヒードリッパーを出してフィルターを装着する、備え付けのコーヒーの粉を入れてお湯を注ぐ
ポコポコと優しく注ぎ豆を膨らませ、蒸らしながら湯を注ぎ容量分が出切ったら注ぐのを止めてコーヒーが落ちるのを待つ
それをカップに注いで獣人姉さんの前にトンとおく
コーヒーの薫りが辺りに漂いヒトが集まってる?なんで?
「Dランクのお兄さん?これは?」
「黒いお茶だろうが!本当はコーヒーって名前だよ!マッタク、とにかく飲め!苦いなら砂糖とかミルクを足せば美味しいからな」
「砂糖?ミルク?何の事?コーヒーって┅」
恐る恐るカップに口を付けゴクンと飲む獣人姉さん┅┅┅┅┅「何これ!凄い!」
「それが本当の味だ!苦いのがコーヒーの本質だからな、でも薫りが良くて味は苦味の中に酸味や甘味が合わさって美味しいんだ、まぁ砂糖とミルクを足せば誰でも美味しく飲める」
「ねぇねぇ!私も飲みたい!あの黒いお茶なんでしょ?あれは不味かったけどそれは美味しそう!」
「何よシャーシャは受け付けしてなさい!」
「ウフフ♪ミランは駄目ねぇ、ホント適当なんだから、お兄さんが容れたコーヒー?それが正しいんでしょ?私も飲みたいわ」
「グヌッ、シンティ迄も!」
「コーヒーの粉は有る様ですから俺が容れますね?貴女は受け付けのシャーシャさん、そちらは案内のシンティさん、そして尻尾が有るガサツなミランさんですか、俺はDランクのナオトと言います、宜しく」
2人のコーヒーを容れてカップを渡すと先ずは1口、そして2人共砂糖とミランを入れて飲んでる
「はぁ~こんなに美味しかったのね」
「ホント、なんだか落ち着くわね、薫りも良いわ」
「コーヒーには色々と効能が有ります、カフェインが含まれますから頭を活性させたり胃液を出したりします、だから食後には最適です、夜眠れなくなりますから夜遅くに飲むのは頂けません、でも眠ったら駄目な時は効果覿面ですよ」
「へぇ~物知りだね、アンタはガラルドから来たんでしょ?あんな田舎にこのお茶があんの?」
「馬鹿にするな!ずっと前からお店で飲めるぞ、フン!王都のギルド本部だってのにこんな事も知らないなんてどっちが田舎者なんだ?」
「クッ!何よ!たまたま知らなかっただけよ!田舎なんか美味しい物なんか無いでしょ?フン!」
「言ったな!じゃあこれを食べて見ろ!あっ!シャーシャさんとシンティさんもどうぞ」
ムカついたのでプリンとショートケーキを3人に出した
ポカ~ンと見つめる?クンクンと嗅いだりプリンを揺らしたり?
「それはプリンと言う玉子を使ったお菓子でもう1つはショートケーキ、プルプラの実を使ってるよ」
3人が同時にプリンを口に入れた┅┅
「「「うっまぁーい!」」」
「何よこれ!甘くてプルプル!」
「香りも甘い香り!滑らかな口あたり!」
「この黒いのも甘くてホロ苦いの!美味しい!」
「コーヒーと一緒に楽しむのが良いんですよ、ガラルドでは普通なんですが?ハハハ!」
恨めしそうな顔のミランだがケーキに首ったけでシャーシャさんとシンティさんは甘い味の虜になってる┅┅
そんな3人を放って置いて買い取りカウンターヘと向かった
「買い取りでしょうか?」
「あれ!貴女は昨日いませんでしたね?受け付けはリチャードじゃないんですか?」
「はぁ?職長は何やら忙しいので私が受け付けをしてます」
「そうでしたか┅┅(まだ終わってない?じゃあ!)それでは買い取りをお願いします」
そう言って綺麗な箱に入れたのを出した
「これは?キノコですかね?初めて見ます┅私では査定出来ません┅待って下さい」
そう言うと何人かに聞いてる、暇なのか集まって首を傾げる皆さん、思い思いに何か言ってるけど?
「おお!ナオト!査定終わったぞ!いやな?査定額で揉めてな?思ったより時間が掛かっちまった」
「リチャードの奴が吹っ掛けるもんだから時間が掛かった、だが皆喜んでたぞ!」
吹っ掛ける?なんだそれ?
「吹っ掛けるとは?」
「それな?素材を買い付ける商人や鍛冶職人、肉屋に商業ギルドの奴らに最高の品だから見合う額を呈示したんだ」
「それがな?コイツが馬鹿高く設定しやがって揉めたんだ、大揉めに揉めて今になってしまった、スマン」
「なる程、査定してそれを買うヒト達に売り附けるんですね?アハハ、それは見て見たかったなぁ」
ギルドは買い取りしたり解体したりして専門の店に売る、その儲けで運営するのは知っていたが昨日の様に1度に大量の品は簡単に裁けない、多分解体前にざっと査定して知らせたんだろう
「職長!ジャルドさん!これを見て下さい!誰も査定も鑑定も出来無いんです!それに初めて見るんです、困ってます!」
俺が置いた品を指して受け付けの子が悲痛な訴えを2人にする
「なんだよ?鑑定も出来ねぇのか?だらしねぇなぁ、お前ぇらもっと勉強しろよ!ギルド本部だぞ!」
「初めて見るだと?誰が持ち込んだ?」
「そちらの方です、ナオトさん?ですか?」
「なぁにぃ?コイツが持ち込んだだと!」
「フフ、こっちに出したってのは何か訳が有るんだろ?ドレドレ、何を出したんだ?」
2人は置いてある品を見る┅┅ジッと見る!そして顔を見合わせ口をパクパクしてる?
「おい┅これは┅」「そうだ┅これは┅」
「「ミラクルマジック!」」
はぁ?なんとかマジック?そんな名前じゃ無いんだけど?確かホーリーマッシュの筈だが?
「おい!ナオト!お前は!何でこんな物を持ってる!」 イヤイヤ!それはおかしい!
「これはとんでもない物を┅どうすんだ!」
「馬鹿野郎!こんな物、買えるか!ギルドが破産するぞ、これはオークションにしか出せねぇ!」
「オークションだが、それだとグランドマスターの承認が必要だ、おい!リチャード?お前さんマスターには顔を合わせられないんだったな?」
「くそっ、そうだよ!勝手に討伐に加わってケガ人が多く出た、そして仕留められ無かった、くそっ!何でドラゴンなんか出てくるんだよ!」
ジャルドに聞くとトロール3体の討伐でどうしても魔石が必要だった、だからリチャード自ら討伐隊に許可なく参加してしまった、そしてトロールは仕留めたがドラゴンの邪魔にあって討伐隊は壊滅、死人はでなかったがケガ人が多数と散々だったらしい
ギルドマスターはカンカンに怒り解体職長なのに勝手が過ぎると謹慎命令を出しギルドの買い取りに支障が起きた
その為に顔を合わせるのが辛いとか?
ジャルドはその間、随分とコキ使われたようだ┅┅残念!
「なぁ?なんだそのミラクルマジックってのは?そんな名前じゃないぞ」
「やはり正体を知ってやがったのか┅」
「その品は今では絶滅したとかでな?もう何百年も発見されてねぇんだ、伝説のキノコなんだよ」
「確かに、ホーリーマッシュは300年は世に出てませんね」
「あのぉ?このキノコがそんなに凄い物なんですか?」
「ああ、お前ぇ達は知らねぇだろう、コイツは王室図書館の図鑑にも載ってねぇ、多分だが記録されてるのは王室宝物庫の書棚の図鑑ぐれぇだろなぁ」
「ナオトが言う通り正式名は【ホーリーマッシュ】だ、何故ミラクルマジックって言われるのか?それはコイツだけでエリクサーが出来ちまうんだ、それに直に食べても蘇生する、あの世界樹の実と同じだ」
「「「「「えっえぇぇええ!」」」」」
「だからオークションに出したら白金貨1000枚どころじゃ済まねぇんだ!そんな品をギルドで買えるか!」
「なぁナオト?何でワザワザこんなの出したんだ?」
「クフフ!それは2人が俺を馬鹿にしてカルラさんの所を紹介したからだよ、でも良い宿だった、それにカルラさんと仲良くなれたからな」
「「なぁにぃ!あの女と仲良くだと!」」
「うん、とっても気に入られてしまった、又王都に来たら来てね!なんてね?アハハ」
「くそぉ!俺には全然なびかないのに┅って?ナオト!お前、金はどうした!あんな高い宿代払えねぇだろう?」
「別に高くも無かったよ、あの宿なら良心的な値段だし、設備も良かった、お陰でグッスリ寝れた、ありがとう」
「はぁ?畜生!恥を掻かそうと思ったがやられた!」
「リチャード?どうやら俺達とんでもねぇのを相手にしたようだぞ?」
「ああ┅確かにな、昨日と言い今日と言い驚く事ばかりだ」
「このキノコは引っ込めるよ、試しに出したんだが2人以外は知らなかった、それに鑑定力が弱い職員も何人かいるみたいだ、珠には試験とかしたら?本部だろ?ハハハ」
「そうだな┅これじゃどっちが田舎者か分からねぇ、意見してくれてありがとう、それでこれが買い取りした料金だ」
ドサッと布袋に入った物を2つカウンターに出した
「これが代金で明細も一緒だ、世話を掛けたな、面白れぇもんも見させて貰った、又、持って来い」
「いやぁ、王都へ来る用が有れば来るけど今の所予定は無いから、じゃあガラルドへ帰るよ、世話になりました」
そう言って代金はサッとしまってギルドを後にした
短い時間だったけど面白かった、それに面白いヒトにも会った、旅の内には入らないだろうけどこの出会いとか発見とかが面白いし求めた物なんだ
早く本格的に旅をしたい┅冒険の旅を┅




