間違いの後は?
「アリサ!終わったぞ!直ぐにここを放れよう!」
「ええ!どうして?」
「次期に騎士団とか来るからさ、面倒だろ?」
「そうなの?┅えっ!お兄ちゃん?そのカワイイ子はどうしたの?」
「これは捕まってたから放そうと思って連れてきた」
「捕まってたの、可哀想┅」
「どこかゆっくり出来る所まで行こう」
走ってアジトから放れ暫く行くと河原に出た、わりと大きな川で広い河原だった
「ここまで来たら良いだろう、ここで休もう」
「ねぇその子放しちゃうの?」
「どこかに親とかいるかも知れないよ?」
「わかった┅」
籠を開き外に出すと伸びをしてキョロキョロしてる
すると俺に飛び込んで来た、離れない?
ネコみたいにゴロゴロと鳴らして頭を擦り付けてくる
「お兄ちゃんに懐いてる!カワイイ!ねぇ抱かせて」
アリサに渡すと丸くなって委ねてる
眠ったようだ、コイツ?動物だとばかり思ってたが┅神獣?魔物なんだな┅
【神獣 リレイラ】 神が創造した獣
フェンリル 不死鳥 古竜が神獣とされてる リレイラは狐の似姿をしている
特徴は尾が子供では3本 成獣では9本となり能力が覚醒する 毛皮は滑らかで尾は幸運を招くとされヒトにより狩られ減少した
幻とも伝説とも言われる獣
やはりヒトはろくでもないな、神獣を狩るなんて┅神様の使いだぞ!
小さいから狙われたのか、カワイイのに┅
「アリサ?この子を召喚してみたらどうだ?」
「使役するの?私に懐くかな?」
「見た所大丈夫そうだよ」
「うん┅やってみる┅私と友達になって」
召喚陣が現れリレイラが真ん中に座る、アリサが手を伸ばしリレイラの頭に乗せると反応した
«妾はソナタの召喚に応じる、名を告げよ»
「う~んとねぇ、名前は┅┅エル!あなたはエルよ!」
«妾の名はエル!ソナタの友として仕えよう»
陣が消えアリサへピョンと飛び付く、満面の笑顔でドヤ顔のアリサ┅
「良かったな、上手く行ったようだ」
「うん!ちゃんと応えてくれたよ、妾だって!ププッ、面白いね」
「そうか妾かぁ流石は神獣様だね」
「えっ!神獣なの?あのフェンリルとかと同じ?」
«これ!あんな乱暴者のオオカミと一緒にするな!妾は正統な神獣じゃぞ!»
「そうなの?アハハ、フェンリルは乱暴者なの、面白い!」
「ふぅ~ん、念話はできるんだな、話しは無理か?」
«妾はまだ成長中なのじゃ、たんと食べさせれば話せる様になるのじゃ»
「コイツ┅なんか偉そうだな、只の食いしん坊なのか?」
「ほら尾っぽが3本だよ?子供みたい、大きくなったら話すんだよ」
「しかし?物言いが上からだぞ!ムカつくけどな」
«わ、妾は正当な要求をしてるのじゃ!仕えるのじゃから褒美として食べ物を要求するのは当然じゃ»
「アリサ?コイツ絞めようぜ」
«マテマテ!恐ろしい事を言うのじゃな!妾は神様の使いじゃ!大切にせよ!»
「やっぱ締めよう、ああ!お仕置きしよう!言う事を聞かないのは悪い子だ!毛をむしったる!」
«ひぃー!助けるのじゃ!アリサは妾を守るのじゃ!»
「お兄ちゃんもエルもケンカは駄目!エルも大人しくしなさい!お兄ちゃんはエルに構わないの!メッ!」
トホホ、アリサに叱られた、これもこの狐が悪い!な~にが妾だ!偉そうに!助けた恩を感じろ!
リレイラのエルは大人しくなってアリサの言う事に従った、どうも今まで甘やかされて育ったようだ、どこぞの貴族令嬢が可愛がってた様で我が儘し放題
構い切れなくなって売りに出されたと┅
それを奴隷商人が買ってたと言う訳
余程無理難題を言ってたんだな、だから捨てられる、所詮ケモノだな┅フッ
«なんじゃ?妾を鼻で笑ったであろう!ちょっと良い薫りがすると思ったが鬼畜じゃな!»
「フッ!つまらん生き物だ、精々威張ってろ!俺はお前に食べ物はやらん!面倒もみん!勝手にしろ!」
「お兄ちゃん┅この子寂しかったのよ、だからはしゃいじゃてるの、本当は素直な子よ?」
「分かってる、でもムカつくんだ、アリサに無理を言ったら放ってやる!」
「良い子にするから、エルも謝りなさい、助けたのお兄ちゃんだからね?」
«┅┅妾も悪かった┅嬉しかったのじゃ、優しくして貰って嬉しかった┅»
「ほら?素直でしょ?」
「な~~んか怪しい?ネコ被ってるだけじゃ無いか?正体はバケキツネかもな」
«きぃー!妾はバケキツネなどじゃ無いわ!愚か者めぇ!»
「やっぱネコ被ってた、コイツは1000年生きてるんだ、なのにまだ子供ってどんだけ低能なんだよ!神獣ならフェンリルくらい威厳をもて!」
«グヌッ┅アリサぁ!悔しいのじゃ!こやつは妾を愚弄するのじゃ!嫌じゃ嫌じゃ!»
「┅┅仕方ないわね、じゃあ使役を解いて放します、好きな所へ行きなさい、もう友達では無いよ、バイバイ」
サッサと放れて飛んで行くアリサ、唖然とみる神獣エル、見誤ったか!ヒトを手懐けようと策を講じて見破られた
エルは途方にくれる、次期に魔物が餌だと集まるだろう、戦うしか無い
仮にも神獣だから魔物には勝つ、しかし多勢だとそれも難しい、長いことヒトに飼われその性格を真似して間違えた
そもそも飼われてた貴族の娘がマトモでは無い、我が儘な娘がお手上げなのだから間違った事をするのは愚かだ
狩られて減少した種族だと何故自覚しなかったか?知能が有るだけ虚しい
「アリサ?あれで良かったのか?」
「うん、あの子にはあの子に合った生活をするのが良いと思った、それに私でもムカついたもの、やっぱりカワイイだけじゃ駄目ね、今度はフェンリルとかなら良いでしょ?」
「フェンリルを使役するのは難しいぞ、なんと言っても強いし誇りを持ってる、あんなのとは全然違うからなぁ」
「でもフェンリルくらい気高い味方がいたら良いよね?」
「そうだな、旅をしてれば必ず良い相手が現れるさ、それで仲良くなったら良い」
「そうだね、出会いは大事よね?アハハ♪」
夕方になって夜営する、でも部屋に入るだけだけど┅
何時もと変わらない生活、料理して食べて風呂に入って寝る
アリサと沢山話してこうして抱き合って寝てる、全然普通の生活、冒険でも何でも無い、そう危機感が無いのだ
普通の冒険者なら寝ずの番をして魔物に怯え眠い目を擦るのが当たり前
それがフカフカのベッドでぐっすり眠れる
風呂にも毎日入って温かいご飯を食べて┅
なんだかなぁ、贅沢な悩み?かも知れない
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マリアはナオトに言われた通りに鎧を着て被害者達を馬車に乗せアジトを出た
馬車4台となったが奴隷商人ドミニクが用意した物だ、被害者女性70人と盗賊の死体3体、捕らえたドミニクに盗賊が奪ったお金と宝石等を積んでいる
道を進むと戦闘痕の血にまみれた場所を通る、侯爵姫を襲った痕だと分かる┅
街道先から土煙を挙げて一団が来る、多分領都から来た騎士団か護衛隊だろう
「貴女はガラルド町所属のマリア副団長でしょうか?」
「いかにも、盗賊団に捕らわれてたヒト達と主犯の奴隷商人を連行している」
「おおっ!捕らえましたか、盗賊団は?」
「私が連れているのは3体の死体だが盗賊の首領達は既に討伐した筈」
「確かに報告では首領とその他の者は全て討たれたと聞いてます、私は領都騎士団所属のトールドと言います、実況検分とアジトの捜索に参りました」
「確か護衛の冒険者パーティーがいた筈では?」
「ええ、オーイ!カールはいるか?」
「はい!ここに!」
「カール、この方はガラルド町の騎士団所属でマリア副団長だ」
「侯爵様のご令嬢護衛を受けた冒険者のカールです、しかしこの様な事になり残念です」
「だが盗賊共は壊滅させたし助かった者も多数だ、姫様も無事だと聞いたが?」
「はい、其れだけは良かったと┅“すいません小声で、貴女はあの男の事は?“」
“詳しくはわからない、だが面倒事は嫌だと言ってた“
“宜しければ後でお話でも“
“承知した“
「マリア殿、我等は検分へと向かいます、貴女はカール達と本部の方へ、その奴隷商人の取調べに立ち会って貰わねばなりません、被害者の方々も安心するでしょう」
「了解した、ボールドル団長はいらっしゃるのか?」
「護衛隊本部で盗賊達の身元確認を行って居られるかと」
「アジトの盗品は積んで来た、向こうには何も無いと思うが宜しく頼む」
マリアは冷たく無表情で応対するのが精一杯だった、心の中で激しい葛藤を抑えどうにか話せた
自分は不甲斐なく捕らわれ辱しめを受けたのだ、誰も知らないとは言え自尊心から後ろめたい気持ちを拭えないのだ
(私は愚かだった┅強くも無くお飾りの副団長、伯爵の娘だからか┅フッ、娘と言っても役立たずのカスなのに┅
この身は汚れた上はもう貴族ではいられない、それにこんな私が騎士団にいたら迷惑だ、そんな事も分からなかった┅
この身はあの方に助けられ救われた、また会える筈┅┅決めた!ええ!これが私の残された道なのだから┅)
領都へ着くと直ぐに衛兵や騎士団の者が手早く被害者達を保護してドミニクを連行した、護衛隊本部へと招かれ賛辞を浴びるも無表情で辛いばかり
団長のボールドルには自分も正体不明の者に助けられたと話したが休む様に言われ少しは安堵した
ドミニクには隷属の首輪が掛けられてる、マリアは取調べでも成果を挙げこの騒動の英雄とまで言われ戸惑った
団長ボールドルがマリアを立役者として納めたかったからだ
ドミニクが洗い更い話した内容が更に事件の深層を付き多くの奴隷商人と関連した貴族達が捕らえられる事になった
そして捕らわれてた多くの被害者を救出できた、あのシャジール伯爵も捕らえられ処刑が決まり一族郎党も罪を問われた
連座制で伯爵家は取り潰しとなりその他の貴族も同じ様に取り潰された
侯爵領にいた2つの貴族、子爵家と男爵家、シャジール伯爵領ともう1つの伯爵家も罪を犯してた
この事件は王宮でも問題となり奴隷制度の見直しが検討される事となる
マリアは憂鬱だった┅事件解決の立役者とされ称えられた事が
多くのヒト達から感謝され騎士団でも勲章を授与されたのだ
マリアは強く思ったこれは間違いだと┅
称賛されるのはあのヒト、救ってくれたあの方なのに┅
その後のカールとの話で詳しく分かったのは英雄は彼だと言う事
劣勢だった冒険者パーティーと護衛の者達を助け、盗賊団の首領と幹部達を討ち壊滅させ掛けられていた懸賞金を全て被害者達へと告げ消えた
そしてアジトを一掃してドミニクを捕らえ自分を救ったのだ、彼こそが英雄で有り讃えられるべき人物なのだから┅
マリアは一旦ガラルド町へと帰還してユリシズ団長ヘ告げた
「団長、私は騎士団を辞めます、そして貴族籍を抜け平民として生きます」
「待て待て!いきなり何を言う!お前は英雄なんだぞ?この度の事でお前の実家は一躍称賛され王宮でも格を挙げる事にしたと言われてる、その立役者が何を言ってる」
「その事で団長に話があるのです、私は立役者でも何でもありません、残され後始末をしただけです」
「ん?どういう事だ?」
「冒険者のカールと言う男と話して貰えば分かります、この事件はある1人の男性が全て解決した事なのです」
「それは?┅分かった、後でじっくり聞こう、今は仕事を済ませないとな?」
「宜しくお願いします」
ユリシズは話を聞いて一応納得はした、がしかし、その解決した男の所在が不明で名前もわからない
冒険者をする為にこの町ヘ来るとだけ、未だに来て無い様だ、そして冒険者カールは領都の所属でこの町にはいない
何もかもあやふやな事で返事に困っていた、そして貴族籍云々は一生の問題だ、騎士爵で準男爵では伯爵家の事に口を出せない、マリアは娘同然に思ってる、ユウナとは親友でもある
頭を抱えるユリシズ┅┅
マリアは決心してる、全て捨て平民として生きる、その為に冒険者となり強くなる
騎士団の弱さを改めて思い知った、冒険者達は強く賢い者が多い
あのカールもB級冒険者で5人のパーティーを組んでる
実力は高く人格も申し分ない、そして何と言ってもあのヒトの影響が大きい、衝撃だった、生きる事を諦めていたその時に現れたのだ
汚され辱しめを受けたこの身を介抱して綺麗だと言ってくれた┅
そしてあの激しい口付けを浄めるかの如く交わした
そして今でも鮮やかに甦る言葉
(笑ってる方が貴女には似合ってる)
この体を全て見られ綺麗だと見惚れてたあの顔を忘れられない┅
同じ冒険者となりたいと思ったのは奥底にある恋心だったとはまだ知らないマリア
ナオトは面倒事が嫌なだけで立ち去っただけなのだが?┅間違いは既に始まっていた
「マリアちゃん!大丈夫?父さんから聞いたわ、騎士団を辞めるのね?」
「うん┅私は馬鹿で世間知らずの愚か者だったの、だから1から出直しよ」
「う~ん?良くわからないけどマリアちゃんが決めたのなら私は賛成かな、だって良く良く考えての事でしょ?だから!」
「ユウナ!もぅ!スキスキ!だ~い好き!ユウナだけね、私の事を理解してくれて優しいのは」
「父さんは伯爵様の事があるから弱腰なのよ、しがない準男爵じゃあ発言権ないから、でも騎士団を辞めるのは了承して侯爵様に頭を下げたよ」
「そうか、ユリシズ団長には悪い事をした、私の勝手を┅」
「良いの良いの、でも王様が何と言うか?マリアちゃんヘ褒美を取らすとか言ってんでしょ?どうするの?」
「アハハ、それも辞退する、だって私は本当の英雄でも立役者でもないから、それに断りは被害者が多すぎるからって言ってるの」
「そうそう!結局捕まってたヒト達は200人だって!すごいよね?そんなに奴隷に出来るなんて驚き、それと皆女の子だって、男ってケダモノね?」
「ケダモノかぁ┅確かにな、でも中には素晴らしいヒト、男もいるぞ、惚れ惚れする男がな┅┅」
「なに遠い目をして?はは~ん?マリアちゃんにもその素晴らしい男とか出来たの?」
「ば、ばかな!そんなのは無い!男なんて┅」
あの辱しめが脳裏をよぎる、でも一方で眩しい笑顔も┅┅あの口付けも┅
『ユウナはデリカシーが無い!マリアは既に恋をしてるの、あの瞳は間違いない、本人に自覚は無いみたいだけど』
(それ本当?ヘェ?マリアちゃんがねぇ、だって男勝りで恋愛とか皆無だったのよ、どこで出会ったのかしら?)
『ヒトの恋路を邪魔するのは?ってあったでしょ?静かに見守る!分かった?』
(そうだね、フフフ♪どんなかなぁ?ウフ)
マリアの思いヒトはナオト、ユウナの婚約者もナオト、はてさて?どうなる事やら
ホ~ちゃんだけが知っていた!アハハ!




