間違いで死んだのか?
ごめんなさい┅
「直人?内定貰ったの?」
「いやぁ俺は就職とかしないから」
「えっ!でもスーツ着て証券会社に行ったでしょ?」
「ああ、あれはそんなんじゃ無いよ、預けてる株券をどうするか相談に行ったんだ」
「な~んだそうなの?てっきり就職するのかって思っちゃったアハハ」
「俺はさ?爺ちゃんと婆ちゃん、それに両親の遺産で働かなくても食べて行けるしなぁ、好きな事をしたが良いと思ってさ」
「良いなぁ┅私は一人っ子だからやっぱ働かないとだもん」
「でも優奈みたいに美人でスタイルが良いなら永久就職は良いとこ行けるんじゃ無いのか?」
「そんなぁ┅そ、それはプロポーズなの?」
「えっ!それはぁ┅」
「ウフフ♪直人なら良いかもねぇ、じゃあさ?直人に永久就職しま~す!」
「そ、それは嬉しいけど┅俺なんかで良いのか?」
「┅┅俺なんかって言わないでよ、直人は自己評価が低すぎるの!私はずっと┅」
「優奈┅」
一之瀬直人 21歳 大学4年 わりと男前?
両親は5歳の時に交通事故で亡くなった、其れからは親の保険金や財産を狙って父方の親戚達が俺の養育権を争ったんだ
でも母さんは有能な弁護士だったし事務所も営んでた
その事務所の副所長さんが優秀で母さんが生前にもしもの時の為に遺書を預けてた
俺の財産一切は成人した時に受け取る、其れまでの養育は必要額だけ支払うとか事細かに指定されていた
親戚連中は話し合って年長者が引き取り面倒を見る事にしたんだ┅法律がね?はぁ~
親戚連中は目論見が外れて厄介者扱いしかしなかった、借金してた親戚は八つ当たりして俺を虐めたんだ
警察が来たり問題ばかり┅3つの親戚を渡り虐められたり乱暴されたりして┅
でも中学に上がる前に母さん方の爺ちゃんと婆ちゃんが引き取る事になってからは幸せだった
爺ちゃんは武道家なので道場を営んでいて俺も修練させられた、まぁ正体不明だが
剣道に始まって槍、弓、空手、柔道に合気道と?なんでそんなに?って思う程に多くの武術を叩き込まれた
婆ちゃんからは料理やお茶、裁縫に園芸を教えて貰った
でも爺ちゃんは俺が高校2年の時に亡くなって婆ちゃんは去年┅
凄く悲しくて涙が枯れる迄泣いた、そして俺は天涯孤独になったんだ┅
母さんの弁護士事務所は副所長の藤堂さんが引き継ぎ所長になってスタッフ30名の生活も安泰だった
なんと!爺ちゃんは幾つもの会社の相談役って!
そんなんで多くの会社と顧問弁護士になったりして事務所は前より大きくなってた
「直人坊っちゃん、お婆様からは遺書を預かっています、勿論お祖父様の時と同じです、全ての財産は直人坊っちゃんへ相続されます」
「藤堂さん┅はっきり言って俺は何も聞いてなくて┅あの世田谷の家も爺ちゃんが売ったんですよね?」
「ええ、あの家は残しても他の親戚連中がうるさいですからね、それとご両親は私共で籍を離し所長、お母様の真理亜さんの籍に貴方を入れたのです」
「爺ちゃんに聞いた時は驚いたけど死んでから離縁できるなんてね、でもあの親戚達と縁が切れたのは嬉しかった┅酷い人達だったから┅」
「すみません、法律ではあの場合坊っちゃんは親戚の誰かが養育しなければいけないので┅早く籍を抜ければ良かったのですが抵抗されまして」
「済んだ事は良いですよ、藤堂さんにはとてもお世話になってますから、それでですね?あの事務所を貴方の名義に変えて下さい」
「えっ!それは駄目です!あの事務所は坊っちゃんが相続したのですから」
「いやぁ俺は弁護士とかとても無理ですからね、頭より体で考えるタイプです、だから藤堂さんが引き継いでくれると安心なんです」
「実はお祖父様からも言われたのですが、やはり坊っちゃんの将来を考えて辞退したんです」
「俺は来年大学を卒業したらカナダヘ行こうと思ってるんです、だから藤堂さんには悪いですが、遺産の処分とかも考えてるんですよ」
「カナダですか?向こうに移住とかですか?」
「それも考えての事です、でも今の所は向こうに行ってそれからですかね」
「そうですか┅一度事務所のみんなと話してみます」
「事務所の方々は藤堂さんが正式に所長になるのを喜ぶと思いますよ」
「アハハ、それはどうですかね?では相続の一切は私共で処理しますね?」
「宜しくお願いします」
両親の遺産は保険金と事故の慰謝料に家の売却代金とかでかなりのものが俺の相続となっていた
爺ちゃんの財産は婆ちゃんが相続してその婆ちゃんが残した遺産はビックリする程のモノだった┅
この屋敷は500坪もある敷地で道場は大通りに200坪の敷地に建っている
東京のど真ん中、港区東麻布で麻布十番には歩いて直ぐだ
そして不労所得と言うか賃貸マンションが3軒(デカイ!)貸ビルが5つと月の収入は使い切れない程の額!
銀行の蓄えも凄くて┅貸金庫も銀行本店に二つもあった
相続税を支払っても凄い遺産を得たんだ、だから仕事とか┅就職とか考えられない、基本俺は怠け者なんだ、爺ちゃんには良く叱られたっけ、鍛練をサボったり道場を休んだりね♪
でも毎日朝のマラソンと竹刀1000回の打ち込み、ストレッチが日課と言うか習慣?になってたんだ
サボるのは槍とか好きになれなくて、体術も好きじゃ無かったんだ
まぁサボったら3倍の稽古をさせられたけど┅トホホ
爺ちゃんと婆ちゃんが俺に良く言ったのは
『どんな相手でも先ずは知る事、理解する事、思いやる心を持ちなさい』
『誰かが助けを求めていたら手を差しのべる、だから強くならないと駄目だよ』
『己にできる事を常に知る事、出来ない事は出来る様になれ!』
『優しさを間違わないで、時には厳しくするのも優しさだから』
『物事を俯瞰して見る、考える、ゆとりを持って行動する事』
とか┅とにかく人格者ですか!ってくらい話を聞かされた
だからか同じ同級生とかとは少し違った考えを持つ様になったんだ
篠崎優奈 21歳 大学4年 超美人でナイスバディの人気者 何故か俺に付きまとう?
«直人が転校してからずっと一緒だったけどこれからも┅»
優奈とは俺があの親戚から離れて転校した小学校で出会った
彼女の親は代議士さんでお袋さんは名家の出身、まぁ金持ちには変わらない
育ちが良くてお付きの人が何時も一緒だった、小学生で車の送り迎えとか┅
中学高校と一緒で大学も同じになったんだ、彼女の成績だと東大とか行けたのに?
まぁこの大学も親父さんの母校とかですんなり許されたらしい
俺は婆ちゃんが勧めたから入った程度で大学に興味は無かったんだ
何時も一緒だったから付き合ってると皆は思ってるけどそんな事は無い!
優奈はモデルや芸能界の仕事を高校生の時にスカウトされてファンも沢山いる
そんな彼女と俺とでは釣り合わないしファンに殺される!絶対!
まぁ家柄も有って彼女に挑む馬鹿は居なかったし、俺が防波堤の役目をしてたんだと思う┅クソッ!
そんなでまだDTです!はい┅┅
同級生の連中は高校生でシッカリ卒業してて┅DTなのは俺くらい┅
優奈が纏わり付くから他の女子が敬遠するのか彼女居ない状態が当たり前になったんだ、じゃあ優奈と?とはならない┅
まぁ幼馴染みなんだなぁ、それに可愛すぎるのも気が引けて、ドキッとするけどね┅
アイツはそんな俺をからかって喜んでる!
俺は一人暮らしなんで良く遊びに来るんだが直ぐ泊まるとか言うんだ
そして風呂に入ったらタオル一枚でウロウロしやがって!
俺も男なんだが?俺のアレは歩けないくらいにムキになるけど押し倒す勇気は無い!
俺の作る料理が好きで食べたくてチョクチョクお邪魔しやがる
まぁ可愛くて美人で明るい性格だから一緒に居たら楽しいのも有って┅
そんなで身に余る資産を持ってる俺は絶世の美少女と仲良くて其れなりに一流大学を卒業出来る男と言う訳
友達もある程度は居て天涯孤独だけど、楽しい学生生活を送っている
「あ~あ!これから放送局へ行かなくちゃいけないの、直人はどうするの?」
「俺は弁護士事務所ヘ行かないとだよ」
「ねぇ?弁護士になる気は無いの?直人なら司法試験くらい簡単でしょ?」
「弁護士なんて嫌だよ、人の世話って面倒じゃないか、俺は無職ですごすんだ!」
「又馬鹿な事を言ってる、まぁいろんな才能持ちだからなんでも出来るからね、でも肩書きは大事よ?」
「肩書きかぁ┅必要になったら適当にするさ、早く行かないと遅刻するぞ」
「うん、じゃあ収録終わったら直人ん家に行くから何か作っといてね!約束だよ!」
「ああ、わかったよ、しょうがないなぁ」
タクシーに乗って行ってしまったのを見てると変な音が響いてくる?
振り向くと目の前に高級車のフェラーリが?って┅なんで突っ込んで来るんだよ!
そして敢えなく俺は┅はぁ~
はっ?ここは?おいおい!なんだよ!
お約束の展開なのか?
『一之瀬直人さんですね?』
ええ、そうですが?貴女は?
『私は全智全能の女神フローディアと申します そしてこちらが創造神様のガルーダ様です』
えっ?女神┅創造神?って┅じゃあやっぱり死んだんだ┅其れにこの展開は知ってるけど┅本当にラノベとか漫画みたいな?
『実はあなた様には申し訳無い事になってしまいすみません!』
『儂からも謝る すまんことをした』
それって?訳を聞かせて下さい!
『あなた様の寿命と運は素晴らしいものでした 本来あなた様は天寿を全うして100歳迄生きて幸せなご臨終なのでした』
『富と栄誉を得て優しい嫁と子に囲まれて幸せな一生だったのじゃ』
それがなんで死んでんだろう?それもまだ21歳でDTだぞ!
『手違いが起きまして┅運名神のアルタレスが番号違いであなた様を┅』
『それと生命神ヴィルヤがな?名前を間違えよったのじゃ 2つの間違いがソナタをあの様な事にしてしもうたのじゃ』
間違いだって!それで?間違いが解ったら訂正すれば良いじゃ無いか
『それが┅本当に言いにくいのですが┅あなた様は死んでしまったのです それはもう取り返しが出来なくて┅』
『命が尽きると魂となるのじゃがその魂がここにおる それが戻る事は不可能なのじゃ』
じゃあ俺は死んでどうなるんですか?
『本来ならあなた様は天域へと昇天して輪廻の転生をするのですが┅』
『つまりじゃ ソナタの魂は行き場が無い状態なのじゃ 勿論じゃが元の世には帰れん それでじゃな?ソナタには別の世を用意した』
それって異世界とかですか?
『フム 元の世ではそう言うのかもしれんが間違いでは無い』
『┅あのぉ申しにくいのですが┅元の世とは比べようにならない程の文明でして 科学は一切発展しておりません その代わりに魔法とか剣とかで実勢を誇ってる世ですが┅』
剣と魔法ですか?やはり異世界ですね?はぁ~なんでそんな物騒な世界に┅
『其れには安心して暮らせる様に能力を与える事にしておる そもそも我等が間違ったのじゃ其れくらいの事をせねば申し訳無い』
『それと運名神と生命神も凄く反省しております あっ 私もです』
反省されてもなぁ、異世界って弱肉強食でしょ?そんな所にポンと落とされてモンスターとかと戦うんですよね?
あのですね!俺がいた世はそんな物騒な事は無いんですよ?争って殺すなんて昔の事です、それに動物だって殺した事は無いんです!そんな俺が簡単にモンスターとかと戦えるとは思えないんですがね!
『まぁまぁ それは問題無かろう ソナタは武術の心得がある 能力も我等が与えるのじゃからなんも心配はいらん フォホホ』
『それは保証致します 神々のお詫びを受けた能力が有れば満足に生きる事ができます』
まぁ┅もう戻れないんですよね?仕方ないじゃ無いですか?でも!でもぉ┅未練はありますよ┅
『そうじゃなぁ┅未練を残しては清らかな魂に不都合があるのぉ┅』
『では創造神様?直人さんを期限付きでは有りますが往き来する事を許されては?』
『しかしそれはのぁ┅┅┅まぁ直人が秘密を守るのであれば許そうかのぉ』
『ありがとう御座います では直人さん?あなた様を期限付きでこれからの世とこれ迄の世を渡る事の許可を頂きました ですが必ずその事を知られてはなりません もし知られたらその場で戻ってしまいます』
それは異世界から前世ヘ行ったり来たり出来るって事ですよね?それならば未練を片付けられるかも┅
『では一之瀬直人よ!ソナタに3ヶ月の期限付きで世を渡る事を許可する 後の事はフローディアに聞くが良い!』
『私があなた様の補助を致します 解らないことや困った事をお助けしますので』
はい、宜しくお願いします!
こうして俺の異世界行きは決まったんだ
はぁ~異世界転生って┅
どうなる事やら┅
えっと?ここが異世界なのかな?
凄い森の中、デカイ木が幾つも植わってる、そして遠くにはけたたましい声が鳴り響いてる、多分あれはモンスターだな┅
『直人さん?大丈夫ですか?暫くは補佐致しますので安心して下さい この大樹が世界樹と言われる木です』
「これが世界樹┅凄くデカイ木ですね?」
『この大樹はこの星に3本植わってます こことエルフの郷、それと後1本は丁度この大樹の真裏側の大陸に有りますよ』
「エルフの郷って┅やっぱそのまんまなんだなぁ、でもなんでこんな森の中なのかな?」
【少年よ!礼をさせてくれ!ソナタの身体から溢れ出るマナが儂を生き返らせてくれた、感謝じゃ!】
うわ!木が喋った!
『世界樹よ!何を勝手に直人さんのマナを奪うのですか!このお方は神々に守られたお方なのですよ!恥を知りなさい!』
【フローディア様┅どうか許してくれないか?儂は随分と弱っていたのじゃ】
『それは知ってました この星のマナが不足しているのはあの国が原因なのもです しかし許せません!』
「まぁまぁフローディア様?良いじゃないですか?俺は何も感じてませんし、この爺さん世界樹も仕方なかったと言ってるでしょ?俺は許しますよ」
【おお!感謝するぞ、なればお返しに儂の祠を自由に使うと良い、そっちの方に扉が有るからな】
「う~ん?この辺りかな?」
【そこに手を当てると開くからな、ソナタの魔力が鍵となる、中に入って見ておくれ】
『フン!直人さんにはこの中の物をあげなさいよ!それとお前の実も全部直人さんの物だからね!』
【勿論ですぞ、実は全部少年の物だ、その中の物も自由にすると良い】
「爺さんありがとう、それで俺の事は少年じゃなくて直人、ナオトと呼んで欲しいけど?」
【承知した、ナオトは異世界からの転生者じゃな、珍しい能力を持っておる、身体からマナを出すなど┅】
『ナオトさん?これでこの世界へは来ました この祠に元の世界への扉を付けましょう そうですね┅この辺りで宜しいかと 』
「どうするんですか?」
『この壁に手を当てて下さい すると扉が浮かんで来ますよ』
手を当てると確かに扉が現れた、黒い鏡の様な扉で手を出すとスゥ~ッと入る?
「こりゃなんだ!手が入ったよ?」
『その扉を通ると前の屋敷へと出ますよ さあ入って下さい』
言われるままにエイ!っと入るとなんと!そこは俺の部屋だった
『私はこちらには居れませんから直ぐに戻りますがこの扉を使って往き来して下さい くれぐれも秘密ですよ? 向こう側には居ますからね?では用心して下さい』
フローディア様はス~ウッと消えて俺はその場に倒れた┅なんで?
目が覚めると消毒薬臭い匂いと柔らかな感触?優奈の腕が?
そう!病院のベッドに包帯をグルグルに巻かれた状態で寝てるんですけど?
「うッう~ん┅えっ!直人!直人!気がついたの!誰かぁ!誰か来てぇ!直人が目を覚ましました!」
「ええーっ!ハイ!直ぐに!先生!センセ!」
はぁ~どうやら俺は危篤状態だったのかな?
って┅死んでるんだけど?そう本当に┅