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まやかしの森〜その2〜

 僕は思った。じゃあサイドの道を通ったとしてもたどり


着けないのでは……。


僕は思考を止め目を瞑りさっきのように集中させて


(僕たちが進むべき道は?)と心の中でいうとあっさり、


答えが出た。まっすぐ進めと示された。それって、湖を


渡るってことだよな。舟を作って?泳いで?と思っている


と、



《歩けばいいんだよ》



と、僕の中の奴が言った。



〈歩くって?〉



と僕は言い返す。



《そのまんまだよ》



と言い、スゥーと消えていった。僕は湖の前にかがみ、


手を湖に入れてみた。すると本当に水がある。冷たくて


気持ちいい。これを歩く? 僕はもう、一か八かそのまま


信じて進んでみることにした。僕が湖に入ろうとしている


姿を見てミロクとアバンが止める。



「どうしたミヤ、正気か? 周り道していけばいいじゃない


か!!」



とミロクが僕に言った。



「いいから、ちょっと見てて。もし、このまま沈んだ時は


頼む、助けてくれ!」



と言い、僕は一歩足を踏み出した。すると、浮いている。


本当に湖の上を歩いている。その光景を見たふたりは口を


あんぐりと開け、固まっている。僕は



「ふたりも行こう!」



と言うと



「いやいや」



とミロクは言う。でも、アバンは



「面白そう! ぼくは行くよ、ミロク」



といい、踏み出した。するとアバンも湖の上を歩いて


いる。その様子を見ていたミロクも



「おい、置いてくなよ」



といい、ミロクも湖の上を歩き始めた。そして、僕たちは


湖の真ん中まで来た。すると、あの声が聞こえた。


“さあ、次はどうかな” と。僕たちは湖に沈んでいって


しまった。気がつくと、僕は円い部屋にいた。横には


アバンとミロクもいる。ふたりはまだ、気がついて


いない。慌ててふたりに、駆け寄り声をかけながら揺り


起した。



「アバン!! ミロク!! 起きて、大丈夫?」



と言う。しばらくすると、ミロクが気がついた。



「あれ? ここは?」



とミロクが言った。



「わからない。でも、アバンが起きない!!」



と言うとミロクはアバンの所に飛んできた。



「アバン!! アバン!! 目を覚ませ!!」



とミロクは力強くアバンを揺り起こす。すると



「うぅ〜〜ん、よく寝た〜」



と言ってアバンが目を覚ました。僕とミロクは、顔を


見合わせ、ホッとした。



「アレ〜。ここどこ?」



とアバンが聞いた。そう、不思議な部屋だ。円い部屋で


13の扉がある。そして床にまるく円が書かれている。


その円の中に僕たちはいる。なんだこの床に書かれている


円は?と僕は気になった。するとアバンが



「何? 扉がいっぱいあるよ。開けていい?」



と返事を聞くより先にアバンは器用に1つの扉を押して


開けてしまった。そこには、空がある。それを見たアバン




「うわぁーー。ぼくが飛んでみたくて想像していたのと


同じ空だぁーー」



と言って入っていこうとした。僕は、慌てて扉を閉めに


行き、アバンを僕らの元に連れ戻した。すると



「何だったの、今の?」



とアバンが言う。僕は鞄からある物を取り出し準備する。


そしてふたりにこう言った。



「もし、僕が扉を開けて扉の向こうに取り込まれそうに


なったらこれを引っ張って」



と言った。そして僕はある1つの扉の前に立った。


そして、深呼吸し、扉を開けた。 すると、おばあちゃん家


が見えた。そのまま進めばおばあちゃん家へ行ける。庭で


両親と弥玖が、畑にはおばあちゃんがいる。後ろでミロク




「どういうことだ」



という声がする。でも、僕は何だか冷静でこれはまやかし


だと思っている。僕は扉を閉めて、アバンとミロクのいる


場所に戻った。そして自分にくくりつけていた紐を


ほどいた。そう、もしもの為に持っていた紐を自分に


くくりつけてアバンとミロクに引っ張ってもらうように


頼んでいたのだ。アバンとミロクも驚いている。でも、


これが僕が思っていると通りだったら……。


とふたりに説明する。


「この13の扉の向こうには、僕たちが欲している世界が


ある。アバンが開けたのは自由に空を飛びたいアバンの


欲している世界。僕が開けたのは僕の世界。たぶん開けた


者の欲している世界が反映される。で、僕はこの異世界に


来ていることで耐性がついているのか冷静に判断できて扉


をしめれた。けど、普通はそこに飛び込んでしまう。で、


物質なら欲しいものを欲しいだけ取り、持ち帰った時には


消えていたというのは、まやかしなのだから、持ち帰れ


ない」



と言った。そして続けて



「で、このまるい円が冷静に戻れる場所なんだと思う」



と言った。するとミロクが



「じゃあ、ここにもコウリンランはないってことだよね」



「ああ。きっと、この森から帰ってきた者たちは、ここで


戻されたのかも。帰ってきていない者たちはあの扉の


向こうの世界に取り込まれてしまった可能性が高いと思う


よ」



と言うと



「じゃあ、ぼくがあの空へ飛び込んだらずっとあのまま


あそこにいたってことだね」



とアバンが言う。



「うん、たぶん」



と僕は答えた。



「ありがとうミヤ。助けてくれて!!」



とアバンは言った。



「と言う事はここから抜け出す方法を探すって事だよね」



とミロクが言った。



「うん、そうなるね」



と僕は言った。何か手がかりが無いかなと思って僕は


振り返るとアバンがまるい円から出ている。



「アバン、円の中に戻って!!」



「あっ、ゴメン、ゴメン」



と言ってアバンはまるい円に戻ってきた。あれっ。違和感


を感じた。円から出ているのにアバンはいつものアバン


だった。あっ。ある事に気がついた。円の中に片足が


入っていれば冷静でいられる。僕は実験してみる事に


した。しかし、人間の(僕のだけど)足の長さでは円から


両足が出ないと扉を開ける事は出来ない。でも、


アバンならそう思いアバンに言った。



「アバン、片足を円の中に入れたままでどれかとどく扉を


開けてみて」



と言った。すると



「わかった」



といいアバンはすぐに実行してくれた。開けた扉の向こう


にはやはり、アバンの飛びたい空があった。僕は咄嗟に扉


を閉めに行った。



「ゴメン、アバンありがとう」



と言うと



「ううん。今、ぼく、扉の向こうを見たけど行きたいって


思わなかったよ」



と言った。



「じゃあ、試してみよう」



と僕たちはひとつずつ、アバンに扉を開けてもらう。


しかし、コウリンランにつながる手がかりもこの部屋を


抜け出す手がかりもつかめないまま、最後の扉となる。


アバンに開けてもらうも虚しく終わった。扉を閉める。


アバンは出していた片足も円の中に戻した。



「何もなかったね。全部、空かミロクがいるだけだった」



とアバンが言った。そう、アバンの欲してる世界は飛び


だせる空とミロクといる洞窟の風景だった。ミロクは横で


感動して泣いている。号泣だ。僕とアバンは何も声を


かけずミロクの事はそっとしておいた。するとアバンが



「なんだろう」



と言い自分が円の中に片足を固定していた所に違和感を


感じたらしく足をよけてみた。するとそこに金色の鍵が


現れた。



「なにこれ?」



と言うアバンの声でミロクがその鍵を拾った。すると円の


中央から何かが出てくる。僕たちは慌てて出てくるものに


当たらないようにでも、円から出ないようによけた。


すると金色の扉が出てくる。その扉には鍵穴がある。鍵を


入れる前にドアノブを回してみたけどしっかり、鍵が


かかっていて開かない。ミロクが鍵をさしまわした。


すると、カチャっと音がした。そして僕はゆっくり、金色


の扉を開けた。すると、そこには見慣れた風景があった。


そして “おめでとう” と声がまた僕には聞こえた。僕たちが


入ると扉はしまり消えてしまった。そこは洞窟の中。


でも僕たちが知っている洞窟とは違う。道なりに歩くと


広場のような場所に出る。何もないこの場所に出口は


ない。僕たちはボォーっと立ちすくんでいた。

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