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まやかしの森〜その1〜

 なんと僕たちは今から出かけることにした。そして僕


たちは明くる日の昼頃、ドラゴンの国へ着いた。しかし


僕とミロクはどこで待とう。周りで待てれる所を探すと、


地面が割れている場所を発見した。そこへスゥーとアバン


が降りていくと底に降りている途中に横穴を発見した。


そこへアバンが入る。



「ここで待ってて」



とアバンが言う。ミロクはアバンに消える魔法を解除する


と元の姿を現したアバンはまた、地上へと戻って、


そのままドラゴンの国の方へ飛んでいった。僕とミロクは


消える魔法で消えたままここで待った。だんだん、


日が暮れていく。



「アバン、大丈夫かな?」



とミロクが言う。



「大丈夫だよ。もう以前のアバンとは違うよ」



「そうだよな。今のアバンがきっと、本来のアバンなんだ


よな」



と言う。昨年、初めて会った時のアバンはすべて自分の


せいだと思っていた。自分を責め、自分を苦しめていた。


でも、アバンはミロクと出会い、僕と出会いたくさんの


経験を経て自分を認め、毎日をアバンらしく楽しんで


いる。それに今も村人を助けるために動いている。


すると、バサバサという羽音がする。僕たちは横穴を出て


上を見上げる。そこには夕日に照らされたドラゴンが


降りてきた。そう、アバンだ。僕とミロクは消える魔法を


解除して、元の姿に戻った。



「アバン、おかえり」



「うん。ただいま。待たせてごめんね」



と言った。ミロクは



「アバン、アバン、」



といって抱きついた。



「どうしたの?」



とアバンが不思議そうにミロクに聞く



「ううん。なんでもないよ」



と言うと



「変なミロク」



とアバンが言った。そして



「あのね……」



とアバンは歯切れが悪い。



「あるドラゴンの事はわからないと言われたんだ。


でも取り込み方は聞いたよ。コウリンランから紫のエキス


を抽出して、それをあるドラゴンに摂取させると紫の光を


放つことになりその光で邪気をはらうんだって、


教えてくれた」



とアバンが言う。ミロクが



「紫のエキスの抽出か。ボクがやってもいいのかな?」



と言うと



「大丈夫なんじゃないかな。誰かじゃないとダメとは


言わなかったし」



というアバンに



「ドラゴンはそのドラゴンじゃないとダメなの?」



と聞くと



「うん、そうみたい。ごめん、わからなくて」



と言った。重くなってきた空気を変えたくて



「話は変わるけど、長老には会えたんだね。両親にも


会えたの?」



と言うと



「うん。まずは両親に会いに行ったんだ。そしたら、


ビックリしてたけど、すごく喜んでくれたよ。元気で


いてくれただけで嬉しいって言ってくれて、ぼく、


嬉しくて泣いちゃった。で、今の事も話したんだ。


友達っていう仲間ができたんだって。そしたら、母さん


泣いてたよ。で、長老のことを聞いたら……。


実は長老=おじいちゃんじゃなかった。ドラゴンの国では


子供が生まれると必ず長老にあわせるんだって。その事を


ぼくがおじいちゃんに会ったって思ってたみたい。でも


長老には誰でも会えるんだって、そう言ってくれたから、


すぐ会いに行ったんだ。そしたらすぐに会ってくれたよ。


で、さっき話した事を教えてくれた」



とアバンが言った。本当はすぐ、済んだんだけど、両親が


離してくれなくてここに戻ってくるのが遅くなったんだと


いう。



「それからこれ」



とアバンは見たこともない果実を僕たちに渡した。



「これは、人間や猫が食べても大丈夫だって言ってた。


これを食べたら、しばらく食事をとらなくても大丈夫


なんだ。これから、まやかしの森にいくかも知れないと


思ってもらってきた」



という。僕たちはアバンが持ってきてくれた果実を


食べた。すると、なんだろう力が湧く上、すぐにお腹が


いっぱいになった。僕は貰った果実をいくつか鞄の中に


入れた。僕たちは食事をした後、少し眠ることにした。


そしてこのまま、まやかしの森に行くことにした。




 目が覚めるとまだ辺りは薄暗い。横穴から出て地上を


見上げると薄っすら夜が明けているようだった。まだ、


ふたりはスゥースゥーと寝息をたて寝ている。これから


まやかしの森へ行かなければいけない。


僕にもよくわからないけど、まやかしの森への好奇心が


湧き始めていた。どんなことが起こるんだろう。ミロクは


大変だといっていたけど、少し楽しみにしている僕が


そこにいた。


しばらくすると、ミロクとアバンが目を覚ました。


そして、僕たちは身支度を整える。消える魔法で消えた


僕たちはこの横穴から旅立った。




 その日の夕方、僕たちはまやかしの森といわれる場所へ


着いた。アバンが蜃気楼の前で止まり空中でとどまって


いる。



「これが、まやかしの森の蜃気楼?」



と僕が聞くと



「ああ、そうだ」



とミロクが言った。そしてアバンが言った。



「この蜃気楼は日が落ちる時に一瞬消える。その時を


狙うと入りやすいと長老が教えてくれた」



「有難い。そんな情報教えてくれるなんて」



と僕が言うと



「でも、具体的にどうするとかわかんないな」



とミロクが言う。そう言っている間にもどんどん日が


落ち始める。僕はジッと蜃気楼を見ながらふたりにも


言った。



「ふたりもしっかりみてて。何かヒントみたいなものが


あるかもしれない。特にミロクは目が暗闇でもよく見える


でしょ。光を調節出来るし、頼むよ」



と言うとミロクは



「わかった」



と言った。僕は全神経を集中させる。ジッと見ていると


ボンヤリと何かが見え始める。



「ねえ、あれ何かな?」



と僕はその方向を指差し言った。ミロクとアバンもその


方向を見た。すると僕には扉が開くように見える。



「ねえ、あれ扉が開いてるように見えない?」



と言うとアバンは急にその方向へ飛び始めた。気がつくと


辺りの蜃気楼が消えている。急いでアバンは扉めがけて


飛んでいく。僕の目にはもう扉は全開だ。後もう少し。


僕とミロクは



「行け!! アバン!!」



とふたり同時に叫んでいた。そして、その扉を通り


抜ける。その瞬間 “アタリ” と声がした。えっ、僕は


ビックリした。がそれ以上声はしなかった。その声は僕の


中の奴の声とは違っていた。




 そして森へ入った。その森は僕の知っている、森と


言われる森となんら姿は変わらない。草原に降り立った。


アバンから僕たちは降りた。そして元の姿にミロクにして


もらう。



「ねえ、さっき扉を通り抜ける時何か声がしなかった?」



と僕はふたりに聞いた。すると



「えっ、何か聞こえたの?」



とアバンに言われる。ミロクは



「いや、何も聞こえなかったけど……」



と歯切れの悪い返事をした。どうしたんだろう? なんだか


ミロクの様子がおかしい。



「どうした? ミロク大丈夫?」



と聞くと



「うん。大丈夫だ。さあ、先を急ごう」



と言った。まっすぐ歩きはじめる。草原から森へと進んで


行くと、鳥たちの綺麗な鳴き声がひろがる。風も心地


いい。色々な草花も咲いている。僕たちは並んで歩いて


いる。と不思議な事に気がつく。待って、アバンは


ドラゴン。それも大きな種属なのにさっきから木に


ぶつかることもなく僕たちは横一列で歩いている。


おかしくないか?ふたりにも言う



「ねえ。おかしくない? 僕たちが並んで歩ける森って」



と言うとミロクは



「これがまやかしだ」



と言った。僕はそれでも歩きながら集中させて、周りを


観察すると木が少しずつよけている。そして、


“そっちじゃないのに” と声がする。えっ。とビックリして


立ち止まった。すると、つられてふたりも立ち止まる。



「どうした?」



とミロクが僕に言う。アバンも不思議そうにこちらを


向いている。僕は目を瞑り周りの背景に集中させ、


(僕たちが進む道はどっちだ? )と心の中で言う。


スゥーと暗闇に1本の道が現れた。僕は指差し



「あの道を行こう!!」



と言った。ミロクもアバンも不思議がっているが、僕に


従ってくれた。その道はアバンが通るのにやっとの道


だった。僕たちは僕を先頭にミロク、アバンの順番で先を


進んだ。しばらく進むと一面、湖が現れた。突如、現れた


大きな湖。楕円形の形をしていて、サイドの道を歩けば


向こう岸にある道に辿りつけそうだ。でも、ミロクは



「アバンに乗っていけばあっという間さ」



と言った。僕たちはアバンに乗り上空へ上がろうとした。


すると何かにぶつかり、ドンと地面に落ちてしまった。



「イタタタタタ」



とみんなが、それぞれ打ったところを撫でながら立ち


上がった。そして



「何?何で飛べないの?」



とアバンが言った。ミロクも



「変だよな。あっ、まやかしか」



と言った。

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