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正気を食らう植物ガルトリ

 アバンのあのピンクゴールドの光は、アバンが消えても


使えるのか?コントロールして小さな光でも効き目がある


のか?


答えはこうだ。消えてもピンクゴールドの光は放つことが


できるらしい。大きなアバンはコントロールして小さな光


を出すことはできたと。効き目は実際にかけてみないと


わからないが、試しにミロクが浴びてみると癒される感覚


はあったという。そしてまだ、試していないが今の小さな


アバンでのピンクゴールドの光を使う事ができるか


だった。僕の前にいる小さなアバンが光を操り始める。


どうやって操るのかと聞いたが、アバンは何となく。と


答える。感覚的なものなのだろう。大きい時の アバンの様


にやってもらった。すると洞窟の内部全体が、


光に包まれた。が、一瞬でやめる。どうして? と聞くと、


洞窟の中にあるものたちが大いに反応してしまって大変


なことになるのだと言う。で、今度はコントロールして


もらって、僕とミロクにだけあたるようにしてもらった。


すると、とても穏やかな気持ちになる。平和な気分だ。


ずっと浴びていたい。しばらくしてアバンは光をあてる


のをやめた。そして、考えた。アバンが大きいまま村に


行くのも危険。小さくなることもバラさない方がいい。


今後に何か影響しないでもないからだ。ミロクの魔法も


必要以上にバレるのも良くない。結局、一番シンプルな


方法で村人たちと会うことを、ふたりに提案した。


すると、ミロクが



「何のひねりもないな」



続けて



「一年経ってアイデアも尽きたか」



と僕はディスられる。



「村にそのまま現れる訳にいかないだろう。消えることが


村人たちにバレる訳にもいかないし、僕がそのままついて


いく訳には行かないからミロクに消してもらって一緒に


行って周りを確認して消えて帰るのが良いんじゃないか」



と僕は言った。



「はい、はい」



とミロクはめんどくさそうに返事をした。そして、ミロク


は村との連絡に使っている本に詳細を書いたメモを挟む。


それには、【病人たちの件 2日後の夕方までに、病人を


つれて昨年避難した洞窟に来て欲しい。病人全員に付き


添いは2人まで。必ずこの約束を守って下さい】と書いて


ありミロクの肉球印を押してあった。病人は、ミロクの話


だと5人くらいだったと言った。




 そして当日。ミロクはいつも村人たちに会う時の旅商人


の青年になった。そしてアバンの背中に僕と青年ミロクが


乗りミロクの消える魔法で消えると洞窟を出た。洞窟の


結界をはり、待ち合わせの避難した洞窟へ行く。洞窟に


着き、入ってみるが、まだ誰も来ていない。そしてアバン


とミロクは魔法を解いた。僕はそのまま消えたままだ。


僕は外に出て村人たちが来るのを待っていた。今が何時


だかわからない。夕方は日が暮れることだから、まだまだ


太陽は高い位置にいる。一眠りした方がいいかな?と、僕


は洞窟内に戻る。アバンもミロクもくつろいでいた。



「そのままって、危なくない?」



と聞いたら



「大丈夫。もうすぐ日が落ちてゆくから」



とミロクが言った。僕はまた、洞窟の外に出た。すると、


さっきまで高い位置にあった太陽がもうかなり下の方まで


おりている。そして、村の方の森の奥から馬車の音が


する。少し、音がする方に近づいてみると遠くから大きな


荷馬車がこちらに向かって来ていた。僕は慌てて洞窟に


戻り、ミロクに報告した。ミロクは僕にお礼を言うと洞窟


の外に出て行く。村人たちを確認すると



「おーーい」



と声をかけてこちらへ呼び寄せる。到着した荷馬車を


ミロクは洞窟に入れるとこまで誘導した。そこからは、


ミロクと付き添いの村人の3人で、荷馬車に乗せられて


いる病人達を一人一人、アバンのいる所へ運んだ。ミロク


の言っていた通り5人の病人がアバンの前の床にひかれた


ゴザの上に座っている。中には座っているのもやっとの


ような人もいたりして、これはかなりヤバいと感じる。


すると、付き添いの1人が



「頼む。こいつらを助けてやってくれ」



と言った。もう1人の付き添いの人も



「オレからもお願いするよ。頼むよ」



という。すると、アバンは病人5人にだけあたるように


ピンクゴールドの光をあてる。すると、5人の内2人は


正気を取り戻し、元気になった。しかし、後の3人は一瞬


元気になるが光をあてるのをやめるとしばらくしたらまた


様子がおかしくなっていく。しかし、付き添いの2人が


言うには光をあてると様子が変わるまでの時間が以前より


は遅くなっているように思うと言った。じゃあ、5人の内


の2人は本当に精神的に自分を追い込んでいたのかも


しれない。でも、後の3人は? と思う。僕も自分がなぜか


そんなことをしたのかはわからないが、3人の目をジッと


覗き込んだ。すると、



《邪気にあてられているな》



と久しぶりに聞く僕の中のもう1人の僕という奴が顔を


出した。色々言いたいことはあるが、僕はそいつに


聞いた。



〈それってどう言うこと?〉



《考えられるのは、森に狩りにでも出かけている時に悪い


気を放つもの(それは何かは知らない。こちらの世界の


全てを知っている訳ではないからな)にあてられている。


だから、それを取り除くには何が方法があるはずなんだ


が、オレは知らない。まぁ、こういうのは森の長老と


やらに聞くと教えてくれたりするもんだがな》



と言うとスゥーと意識から消えてしまった。僕は慌てて


ミロクの元に行き、耳元で話しかけた。村人たちに


気づかれないように小声で奴に聞いた事を言った。


すると、ミロクは



「聞きたいことがある」



と元気になった2人の村人達も含め4人に聞いた。



「この人たちがこうなる前の行動はわかるか?」



と言うと、付き添いの1人が



「実はこの3人は一緒に森に狩りに出かけたんだ。帰って


きた日は普通だったんだが、明くる日くらいから少しずつ


いつもの彼らの行動とは違う行動をとり始めて。この3人


はとても活発な奴らだったのに、少しずつ家にこもるよう


になってきて気がついたら少しずつ蝕ま(むしば)れて


いっているように思う」



と言った。するとミロクが



「蝕まれる……」



といい考えこんだ。そして、何かを思い出したように洞窟


内の床の土の部分に石で何かの絵を描き始める。僕は


ジッと見ているとそれは僕の世界で言う食虫植物みたいな


ものだった。そしてミロクはアバンにこう言った。



「すまない。もう少し強めの光を3人にあてて欲しい。


数分でも長く正気な感じに戻してやってくれないか」



といった。するとアバンが黙ってさっきよりも強くでも


3人だけピンポイントで、ピンクゴールドの光を


浴びさせた。するとさっきより元気になったようだ。


すかさず3人にミロクが聞いた。



「すまない。狩りに行った時こういうのに近づいたり


なんか煙のようなものを吸い込んだりしなかったか?」



と聞いた。すると3人ともがウンと頷いた。1人が2つの


絵の内の1つを指差して



「なんか煙みたいなもの出してた。3人で近づいて見た」



と言った。その間もアバンは3人に光をあて続けている。


ミロクの話が終わったらアバンは光をあてるのをやめた。


すると、付き添いの村人の1人が



「どうしてやめるんだ!!」



と怒鳴った。すると、ミロクが、



「アバンは危惧している。ずっと人に光をあて続けたこと


がない。もし、何か違う副作用みたいなものがでたらと


思ってやめたんだ」



とミロクがアバンの代弁をすると



「そうか。怒鳴ったりしてすまなかった」



と言うとミロクは



「3人をお前達も助けてやりたいと思っているんだから


仕方ないさ」



と言った。



「そう言ってもらえると助かるよ」



と村人は言った。アバンは間をあけて定期的に光を


あてる。僕からしたら病人達本人が一番苦しい。でもその


光をあて続けているアバンもまた苦しいと思っていた。


ずっとイタチごっこでキリがない。村人3人の話を聞いて


少し考えこんでいたミロクが口を開いた。



「もしかしたらだから、まだわからないが、村人3人が、


森でガルトリという植物の邪気にあてられている可能性が


高い。これは、邪気をあて正気を奪いそれをエサに生きて


いる。あてられてから強い者でも数日で弱い者だと一日で


少しずつ正気を蝕んでいく。確か元に戻す方法があったは


ずだが、ボクはここまでしか知らないんだ。ちょっと


調べてみる。で、方法を探ってみる。少し時間をくれ。


それからもしもの為にこれを渡しておく。これはこの


ピンクゴールドの光を濃縮してこの中に詰め込んだ」



と言うとミロクは僕の世界のスプレー缶のようなものを


出してきた。でも、僕の知ってる物程、精巧ではなく簡素


な物ではあるが、よくできていると思う。そしてミロクは



「ここを押して。すると一定の光を放つ。それを顔に


あてると楽になると思う」



といい、今してみようと言った。ミロクは3人の内の1人


に顔にスプレーの光を吹きかけた。するとアバンから直接


あててもらうよりは劣るが少し正気が戻る。そして



「すまないがしばらくこれでしのいで欲しい」



といい5人に対して作ってきたらしく10本取り出して


渡した。2人は正気に戻っているので3人で10本という


ことになる。それを付き添いの村人は受け取り、行きは


歩けない程だった、5人の内2人はもう付き添いの人達と


同じように後の3人を支えている。でも3人も自分の足で


歩けるほどの回復はしている。そしてミロクは



「じゃあ、何か進展があったら連絡を入れる」



と言うと



「ありがとう。すまないね、頼んだよ」



と村人たちはいい、荷馬車に乗り、村へ帰っていった。僕


は村人たちを見送りながら他に人がいたりしないか、


ぐるぐると辺りを見回った。もう、すっかり日は暮れて


いる。荷馬車についたランプの火がぼんやりと見えるか


見えないかぐらいになるまで見送ると、僕は洞窟の中へ


戻った。




ミロクがアバンに声をかけていた。



「大丈夫か? 疲れたろう。かなり無理させたんじゃない


か?」



といっていた。すると



「嬉しかったんだ。ぼくの光が、2人の村人を元気に


戻した。でも、悔しくもあったんだ。後の3人を元気に


してやりたいって思ったら」



といい



「それにぼくは大丈夫だよ」



と、続けてアバンが言った。僕はふたりに



「お疲れ様。じゃあ帰る?」



というと、ミロクがコウモリに変化した。そして、


ちょっと見てくるよといい、洞窟から出ていった。


しばらくすると戻ってきて



「じゃあ、帰ろうか」



と言った。僕とミロクはアバンの背中に乗るとミロクは


自分とアバンに消える魔法をかけ洞窟を出た。そして、


いつもの洞窟へと僕は向かった。

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