表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/31

僕の決意そして

 アバンたちのいる異世界に無事戻った僕とミロクを


アバンは喜んでくれた。そして、僕はミロクとアバンに僕


の決意を語った。僕たちはルクとノンに会いにふたりの


横穴へ行く事にした。アバンを小アバンにすると、バラの


アーチをくぐって横穴の小部屋に出た。ベルを鳴らすと


今日はふたり揃ってやってきた。



「おかえりなさい。そしていらっしゃい」



とふたりは言ってくれた。そして僕たちをリビングへ案内


してくれた。ふたりが僕たちにお茶を入れてくれノンが


作ったというお菓子で振舞ってくれた。



「凄いね。ノンはお菓子が作れるんだ」



とアバンが言うと



「ラク先生から習ったんだ。なんでも経験よって。


そしたら面白くてさ。今ではオレの趣味なんだ」



とノンが話してくれた。僕は少し緊張していた。意を


決して話を切り出した。



「あのさ。僕からふたりに話したい事があるんだ」



と言うとルクとノンは僕の方へ向き直した。そしてふたり


は黙って真剣な面持ちで僕の顔をジッと見ている。



「あのね。僕はこの世界の人間じゃないんだ」



と言うとふたりの表情が緩んだ。



「やっぱり、そうだったんだ」



とノンが言った。そして



「ありがとうございます。私たちを信頼してくれたんです


よね」



とルクが言った。えっ!! ぼくは拍子抜けしていた。



「気づいてたの?」



と僕が言うと



「はい。私たちが癒しの棲家にいた頃リラ先生の旦那さん


でラク先生のお父さんにあたるラクドラル先生の考え方や


価値観にミヤくんは凄く似ていたからもしかしたら異世界


の人かもって、ふたりで言っていたんです。でも違うかも


しれないから私たちからは言わない方がいいねって。それ


にミヤくんにはミヤくんの考えがあって事情もあるだろう


からって話していました」



とルクが言った。



「それにラクドラル先生はこちらの世界では猫でしたが、


異世界では人間だったんだって言っていました。


でもどんな人間だったのか名前も覚えていないけど人間の


知識がとても豊富だったんです。だからオレたちの


知らない事もいっぱい知っていました。癒しの棲家の建物


も異世界の物を参考にしたと教えてくれました」



とノンが言う。そうだったんだ。そして僕は付け加えた



「ラクドラル先生はあちらの世界からこちらの世界に


転生。生まれ変わってきたけど、僕は転移。移動してきて


いるんだ。だからもう少ししたらむこうの世界に戻る事に


なる。そしてしばらくみんなに会えなくなるんだ」



と言った。



「えっ!!」



とふたりは驚いている。ラクドラルの様に転生してきたの


だと思っていたらしい。



「また、会えるの?」



とノンが聞いてきた。



「うん。一年後ぐらいになるけど、また会いに来るから」



と言うとふたりはホッとした顔をして



「よかった」



と言ってくれた。するとアバンが



「ふたりは行ってみたいとか思わないの?」



と聞いた。僕はアバン、なんて事を聞くんだ!! って


思った。それが顔に出ていたのか



「オレは行きたいとは思わない。ラクドラル先生がむこう


の猫たちはこちらの猫と違って生きづらいと思うって


言ってたから」



とノンが言うと



「それに、私たちが行くことで何か不都合な事になったり


したら、ミヤくんを困らせることになるから」



とルクが言った。ふたりの優しさに感謝しかない。すると


ミロクが



「ごめん。ふたりにはもう一つ黙っていた事があるんだ。


ボクはこちらとあちらの二重生活なんだ」



と言った。これにはふたりも驚きを隠しきれない。少し


パニックになっているようだ。ふたりが落ち着くまで僕


たちは待ってミロクは事の経緯を話した。そう、ミロクが


どうしてあちらの世界へ行ったのか、どうして僕がこちら


の世界へ来ることになったのかをルクとノンに話した。


ただ、アバンがあちらの世界に行った事があることは


ミロクは伏せていた。僕たちは、ルクとノンがどんな反応


をするかドキドキしながら結果を待った。



「オレ、思うんだよね。そうなる事には理由があるって。


ミロクさんが異世界に行ったのも、ミヤがこっちの世界に


来る事になったのも、ラクドラル先生がこの世界に生まれ


変わったのもそうなる何かオレたちにはわからない理由が


あるんだって。だから、オレたちが癒しの棲家で過ごす


ことになったのも、こうして、ミロクさん、アバンさん、


ミヤに会えて今こうしているのもなにか理由があるって。


でも、それを知ろうとはオレは思わなくて今を楽しんで


大切に生きていこうと思うんだ。だから、このままの関係


でオレはいたい」



とノンが言うと



「私もノンの考えに賛成です。私たちがその理由を知る


必要があれば必ず知るときはくるだろうから。どんなこと


が周りで起こっても私は私の大切だと思う者たちと一緒に


過ごしていきたいと今は思っています。だから今まで通り


よろしくお願いしたいです」



とルクが言った。



「ありがとう。ふたりを信じて話してよかったよ」



と僕が言うと



「こちらこそ、これからもよろしく頼むよ」



とミロクが言った。



「もちろんぼくもだよ」



とアバンも言った。よかった。ふたりがこんなにすんなり


受け入れてくれた事に僕は感謝していた。その後ミロクが



「ボクが向こうに行っている間アバンの事、よろしく頼む


ね」



とルクとノンに言うと



「はい。全力でお守りします」



とふたりが声を揃えて真剣な表情で言った。するとアバン




「いや、いや、そこまでしなくても大丈夫だって」



と困ったような感じで言っていた。そして僕たちは夜遅く


までルクとノンの横穴で色んな話をして盛り上がった。


ルクは僕の世界の植物に興味深々で色々聞いてくる。でも


僕は植物に詳しくないので上手く説明できないでいると、


ミロクがかわりに対応してくれた。ミロクがルクに説明


している植物はほとんどがおばあちゃんが畑で作っている


作物ばかりだった。どれも全部食べれるんだと言うと、


益々ルクの目が輝いている。こちらの食べれる作物とは


違うからだと思った。ノンは僕の世界の猫たちの事を


仕切りに聞いてきた。こちらと比べたら二足歩行をする事


も喋る事も魔法を使う事も三毛猫がたくさんいる事も


ビックリしていた。こちらの世界での猫たちの方が僕から


したら自由だと思うよと言うと、こちらに生まれた事に


ホッとしていた。そして一番驚いていたのが、アバンの様


なドラゴンは全くいないんだと言うと、どうしてだろうと


仕切りに不思議がっていた。




こうして、僕とミロクの事を話した事で僕とミロクは移動


がしやすくなった。そして、弥玖にルクとノンの事を教え


たりしながら、夏休みの終わりが近づいてきた。夏休みの


前半は異世界へミロクと行くことが多かったが、後半に


なってくるとおばあちゃん家の近くの昨年友達になった


子たちと会うことが増えていった。それに弥玖のお守りも


増えていった。




そして、自宅に帰る日が数日後に近づいたある日、ミロク


が僕に一緒に来て欲しいと言ってきた。僕がミロクと共に


異世界に行くと、しばらく僕と会えなくなるからとよにん


が僕のお別れ会をしてくれた。それは、よにんがお気に


入りの素敵な場所があるとアバンの背中に乗りミロクの


消える魔法で消え、その場所に出かけた。その間、今まで


飛んだことのない空路を通りよにんのおすすめだと言うと


場所へ行った。その場所はザボリタ王国方面の山の中に


あるという。とても標高の高い山で人は誰も来ないらしい。


上から見ると森の長老がいた様なポツンと広場が見える。


そこにアバンは降り立った。そしてアバンから降りた僕


以外のよにんはこっちだよと僕を案内してくれた。すると


そこには青色の綺麗な湖がひろがっていた。しかしその湖


はまわりに高い木に囲まれている。なのにとても綺麗な


青色なのだ。湖畔に僕たちは座り湖を眺めていた。すると


日が暮れてきた。するとそれは突然やってきた。夕日で


紅い光が湖面に届くと今まで青色だった湖面が紫色に


変わったそれはとても幻想的で美しい光景だった。



「うわぁ〜凄いね」



と僕が言うと



「これをミヤに見せたかったんだ。凄く綺麗だろう」



とアバンが言った。



「実はこの紫色の湖面が見れるのは色々な条件が揃わない


とダメなんだ。だから今日も賭けだったんだ。でも見れて


本当に良かった」



とミロクが言った。



「この紫色の湖面が見えると幸せになるって言い伝えを


聞いたことがあったんだ」



とノンが言うと



「だから、みんなで見たかったんだ。見れて本当に


良かった」



とルクが言った。



「ありがとう。みんな、僕絶対今日のことは忘れないよ」



と僕が言うとみんなも自分もと口々に言っていた。


そして、一年後また会おうとみんなで約束した。




その数日後、僕は両親と弥玖と自宅に帰る事になった。


おばあちゃんと両親が話をしている間、少し離れた所で


僕は弥玖を抱っこしていた。そして弥玖がミロクを


呼んだ。ミロクは珍しく素直に僕たちの側にやって来た。


そして、僕たちにだけ聞こえる声で弥玖はミロクに



「あっ、ゴメ〜ン。あたし本当は、あなたの妹のカノン


なの。また来年会おうね。ミロクお兄ちゃん♡」



と言った。ミロクは何が起こったのか理解できない


ようで、目をパチパチして固まってしまった。



「おーい、弥哉、弥玖、帰るぞ!!」



と父が呼ぶ。僕は



「ミロク、またね」



と言うが反応がない。弥玖も



「ニャンニャン、バイバイ」



と手を振るがそれでも反応はなかった。おばあちゃんが


ミロクを抱き上げ



「また、おいでね。待ってるよ」



とミロクの右前足を握って振っていたがミロクはまだ


放心状態でおばあちゃんにされるがままだった。僕は


ミロクが心配だったがどうすることもできなかった。



「ねえ。何も今言わなくても良かったんじゃないの」



と両親に聞こえないように弥玖に言うと



「やっぱりこう言うことは、サプライズでしないとね♡」



と楽しそうに弥玖は答えた。ミロク、同情するよ。


一年もモヤモヤして過ごさなければならない事に。


そして一年後が少し恐くもあった。でも、ミロクの怒りを


受け止める覚悟をして小学五年生、11歳の夏休みは


終わった。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

楽しんでいただけたのなら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ