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大きな滝

 僕とミロクは一旦消える魔法を解いた。もちろんミロク


は旅商人の青年のままだ。しかし、アバンにはそのままで


いてもらうことにした。他の動物たちが驚くのとふたりを


連れ去った者たちにバレてはいけないということで。


でも、ここは大きくて立派な滝がある。アバンがそのまま


でも十分にくつろげる空間があるが、アバンは上空で


見守るよ。と言って飛んでいった。僕は早速ミロクに



「ミロク、お知らせ草の葉っぱの色はどうなってる?」



と聞いてみた。すると、ミロクは鞄の中からお知らせ草を


取り出した。



「緑色だぞ!!この近くにいるはずだ」



と言った。1m以内になれば鳴き出すはずだ。滝の目の前


に立った。こんな山奥にこんな立派な滝があるなんて自然


は偉大だなぁと感心していた。するとミロクが



「おい。この滝、変な感じがするぞ」



と言う。僕はえっ。今僕が思った感動はなんだったんだ。


トホホ。僕は



「ミロク、何が変なの?」



と言うと



「うぅーん、上手く言えないけど、立派な滝なのにその


雰囲気というかなんというか、何かが自然じゃないんだ」



と説明が難しいらしい。それはミロクの感覚なのだろう。


そうか、僕にはわからなかった…。そこへ大きな風が


吹く。アバンが降りてきたのだ。



「ねえ。上から見たらそこの滝壺の中に何かあるんだ


けど」



と言う。えっ。滝壺の中に? 僕は驚くばかりだ。僕たちは


アバンに乗せてもらう為また、物陰に隠れて姿を消した


そして、アバンに乗り上空へ上がる。そして滝壺をジッと


見てみる。すると、これは僕にもわかった。滝の飛沫(しぶき)


見えにくくはあるが、何かが動いている。それは人が


歩いているのを上から見ている感覚に似ている。


でも、人なのか、別の生き物なのかはこの距離からでは


わからない。もう一度地上に降り、滝壺のきわから中を


覗くが飛沫(しぶき)で見えない。ミロクは結界がないか


入念に探し始めた。僕はミロクに借りたお知らせ草を手に


色々なところを歩き回る。少しでも何か反応してくれない


かという思いで。しかし、葉っぱは青々とした緑色では


あるが、ほかに何の反応もしなかった。すると、ミロクが


空を見上げいた。これは、アバンに降りてきて欲しい時の


ミロクがアバンと決めた合図だ。すると大きな風が


吹いた。そして



「どうしたの? ミロク」



とアバンの声がした。



「少し上空からこの滝を見たいんだ」



と言い、僕らはまた消える魔法をかけアバンと共に上空へ



上がる。すると、ミロクが



「アバン、ここでとどまって」



と言う。ミロクはジッと滝を見ている。時折、ミロクは


目を瞑ったりしている。



「この滝は天然のものじゃない。人工的に創られている。


それも魔法でね」



とミロクが言った。



「どう言うこと?」



と僕が尋ねた。



「滝に見せることで何かをカモフラージュしているんだ。


隠したい物を隠す為にこの滝を創ってるんだ。」



とミロクが言った。



「あっ。見て!! アレってノンとルクに似てない?」



とアバンが滝壺を見て言った。



「えっ!! どこ? どこ?」



と僕とミロクが言う。



「ほらあそこだよ。一番飛沫(しぶき)が激しいところの


そば。こっちみてない?」



とアバンが言う。僕とミロクはアバンに言われたところを


見ると、そこには本当に猫の姿をしたルクとノンがこちら


を見ている。僕たちは消えているのであちらからは


見えないはずだ。でも、ふたりは無事だという事?


ちょっと待って。さらわれたはずのふたりが何で自由に


歩いているんだ? ふたりの表情まで見えないが、


切羽詰まった感じは見受けられない。



「ねえ。おかしくない? ふたり、拐われたんだよね? 」



と言う僕の言葉に



「本当だ。リラックスしてるように見えるね」



とアバンが言うと



「何かあるな。どうする? ボクたちはこれからどう


でる?」



とミロクが言った。相手の目的がわからない。


あっ、そうだ!! 僕はミロクにある提案をした。すると、



「少し時間がいる」



とミロクが言った。



「どれくらいかかる?」



と僕が言うと



「2、30分かな」



とミロクが言った。そしてミロクは



「ここでちょっと待っててくれ。行ってくる」



と言い消えたまま転移魔法を使って行ってしまった。


こんな時便利だよな。また、転移でアバンの背中の上に


戻ってこれるなんて。まだ、こちらを見上げているルクと


ノンの姿が確認できる。僕はアバンにもう少し滝壺に


近づいて欲しいと頼んだ。アバンはゆっくりと滝壺へ


近づいていく。ある距離までくると見えなくなる。見える


ギリギリの所でとどまってもらったが、表情まではやはり


はっきりは分からなかった。でも、さっきよりは近くに


見える。



「ふたりとも元気そうだね」



とアバンが言った。



「うん、よかったよ。でもどう言うことだろうね」



と僕が言うと



「自作自演かな?」



とアバンが言った。自作自演ねぇ。だとしたらミロクが


言っていたこの壮大な滝の創りものもふたりが作ったと


言うことなのか。でもあそこにいるのはルクとノンだけ


じゃないって事は、



「アバン、ルクとノン以外にもどんな者がいるか見てくれ


る? 僕も確認するから。ひとりで見るよりふたりで見た


ほうが情報がたくさん集まるから。それに自作自演の線も


ありかも」



と言うと



「えっ!! そうなの? ぼく当てずっぽうで言ったのに」



と言った。そう、アバンはたまに何気ない一言がヒントに


なったりする。僕とアバンは、ルクとノン以外にどんな者


がいるか見逃さないように観察した。すると、ミロクが


転移魔法で帰ってきた。



「おかえり」



と、僕とアバンが言った。



「ただいま、思ったより早く見つかったよ」



とミロクが言った。そしてミロクに僕とアバンが観察した


結果も含めて僕の推察も話した。そしてアバンに地上に


降ろしてもらった。ミロクはアバンに薬を飲ませた。


それはミロクが小さくなりたいアバンの為に作った物だ。


前のは消える上に小さくなると言う二つの作用が身体に


負担をかけていたのかもしれないと小さくなるだけの薬を


作り、消えるのは負担の少ない魔法にすることにしたのだ


と言った。そして死角を探しそこで僕とミロクだけ消える


魔法を解いた。アバンはそのまま側にいてもらうことに


した。そして鞄から僕が頼んでいた物を取り出した。


それは、 〝伝言ポッポタン〟 だったがすでに綿毛の状態に


あった。その綿毛は薄い黄色と薄い水色をしていた。


そう、ミロクが行ったのは 〝伝言ポッポタン〟 の群生地。


そこに行けば年中、伝言ポッポタンは手に入るのだと。


花もタンポポの形に似ているが、花の色はとてもカラフル


なのだという。僕はミロクに、A案の方を送ってもらう


ことにした。するとミロクは



「ルクとノンの元へ届け」



と言い薄い黄色の綿毛をフゥーッと吹いた。すると、綿毛


は風に乗りフワフワと滝に向かって飛んでいく。そして、


そのまま滝の中に入っていってしまった。僕は驚いた。


ミロクに



「なんで? あの綿毛は水に濡れても大丈夫なの?」



と言うと



「いや、水には弱いよ。濡れたらそこで終わりだ。目的地


に着くことはない」



「じゃあ、雨の日とかはダメなんだね。夕立ちとか」



と僕が言うとミロクが答えた。



「ああ。そこでおしまいだ。だから、この伝言ポッポタン


は晴れの日にしか使えない。なのにそのまま進んでいった


と言うことはこの目の前にあるのは滝のように見えるが滝


じゃない。まやかしの森と同じさ。それを人工的に


創ってる」



「じゃあ、ぼくたちも進めるのかな?」



とアバンが言うと



「さあ。それはどうだろう? 怪しい者が近づけば何か


仕掛けをしているはずだよ」



とミロクが言う。




「そっか」



とアバンが残念そうに言った。



「こんな事できるのって誰なんだろう」



と僕が言うと、ミロクは



「こんな事が出来るのはあの方だけだと思う……」



と言い黙ってしまった。



「あの方? ミロク知ってるの?」



「ああ。でも実際に会ったことは無い。話に聞いただけ


だ」



とさんにんで話していると誰かの気配を感じた。視線を


そちらにむけるとそこに立っていたのはルクとノン


だった。そしてその横にもうひとりたっている。それは


どこかで見覚えのある。僕とミロクは同時に



「あっ!!」



と思い出した。その人物は僕たちが、薬売りで最終日の


仕事終わりに道ですれ違ったお婆さんと娘さんの娘さんの


方だった。さんにんはこちらに向かってくる。僕たちは


覚悟を決めてさんにんの前に出ていくことにした。

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