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茶白猫ルク

「兄弟ってサ。お互いに相手のことを思っていても


どこか、友だちとも親とも違ってさ、不思議な距離感が


あるんだよね。そうじゃない兄弟もいるだろうけど、これ


以上は踏み込めないっていうか。友だちだと言わなくて


いいやと思えることも兄弟だと距離感が難しくなる。


ほっとけない存在だからかな?」



と僕が言うと



「そうなんだ。友だちなら、もう会わないからいいやって


思えるんだけど、兄弟だとぶつかり合っても、ほっとけ


ない。もういいやって思えないんだ。君にも兄弟がいる


の?」



とノンは聞いてきた。



「うん。兄と妹がね。兄とは考え方も捉え方も違う。でも


兄を否定する気は無いんだ。妹はまだ幼いから可愛いだけ


しかないけどね」



と言うと



「君とは話が合いそうだ。また、オレの家にも遊びに来て


くれよ」



とノンは僕に街にある家の住所を教えてくれた。そして


ノンとしばらく話していると



「君はどんな絵を描くんだ」



と聞かれた。僕は



「実は……」



と言い猫の絵を見せた。一瞬ノンはビックリしたが



「うまいもんだ。本当に君は絵が上手いんだな。今度オレ


の知ってる猫を描いてもらいたいよ」



と言った



「知ってる猫?」



と僕が言うと



「時折、オレの家に遊びにくる猫がいるんだ。茶トラで


尻尾の先がシュって尖ってて白いんだ」



と言った。ん? 何か聞いたことがあるぞ。と僕は頭の中の


記憶を辿る。あっ、アバンの教えてくれた茶白猫の特徴に


あった尻尾の先がシュっと尖っていて白いのと一緒


だった。でも、どうしてだろう? ノンがいる時に茶白猫と


特徴が同じ猫がいるって事は? 僕の頭にハテナが大量に


浮かぶ。そして続けて



「オレの家に来た時にその猫がいたら絵を描いてくれない


か?」



と言った。



「ああ、いいよ。でもどうして?」



と僕が聞くと



「オレがいる時はそいつは来ないんだよ。オレがいない時


に来てるみたいなんだ。オレは一度も会った事ないんだ


けど」



と言う



「どうして会ったことないのにその猫の存在を知ってる


の?」



と僕が言うと



「近所の人が教えてくれてサ」



と言った。やっぱりノンが、たまにそうやって猫になった


りもするのかと思った。でも自分の絵を描かせてどうする


つもりなんだろう。そう思ったがそれ以上は何も聞かな


かった。




 すると、



「おーーい!! 誰かー!!」



と声がする。その声はミロクの声だった。えっ、そこに


いるはずのミロクが丘の下から呼んでいる。僕とノンは


ミロクの声がする方へかけて行った。すると、そこには、


気を失っていると思われる茶白猫が倒れている。


その横には食料が入った布袋が落ちてある。ミロクは


旅商人の青年のままでいる。するとその様子を見たノンが


茶トラ猫になってしまっていた。そして茶白猫に駆け寄り



「兄さん!!兄さん!! 大丈夫? 目を覚ましてよ!!」



と自分の今の状況を気にもせず声をかけている。ミロクは



「彼を休ませる場所はないのか?」



とノンに言った。すると



「この先に住処がある」



とノンは言う。



「案内してくれ」



とミロクは言い、茶白猫を抱き上げノンの案内で丘の上の


大きな木へ向かった。僕は布袋を拾いその後をついて


行った。ノンは慣れた様子で大きな木の結界を解き入り口


を開けた。そして



「中に入って」



と言い僕たちを案内してくれた。その中はとても木の中


だと思えないくらいに綺麗な部屋があった。家具も揃って


おり、もしかすると今のこの世界では考えきれないくらい


に豪華な部屋だった。そしてノンは迷うことなく一室へ


案内する。たぶんそこは茶白猫の部屋なのだろう。部屋に


入るとベッドが置かれておりシンプルだけど、綺麗に整頓


されていた。ベッドにミロクは茶白猫を寝かせると鞄の中


からいつも見る茶色の小瓶の半分のサイズの瓶を、


取り出し、茶白猫の体を起こし少しずつ口に含ませ


飲ませていった。そして横にして寝かせてやるとミロクは


茶白猫の脈をとる。



「大丈夫。今飲ませたのは、回復薬だ。後はよく寝させて


やれ」



とミロクはノンに言った。鼻の色も綺麗なピンクに戻って


きた。そのミロクの言葉と様子を見て茶トラ猫のノンは


安堵の表情を見せた。ミロクは



「何か持病があるのか?」



とノンに聞く。



「いや、何もないと思う。でも、以前会った時より少し


痩せているように思う」



と答える。ミロクはその話を聞くと左手を茶白猫の頭の上


に触れないように置き、目を閉じてゆっくりとスキャン


する様にお尻の方まで動かした。そして目を開けると



「何も大きな病気は無さそうだ。ただ精神的な疲れを強く


感じる。それで食事をあまり取れていなかったのではと


思う」



と言い鞄の中からいつもの茶色の小瓶を取り出す。



「これは、栄養剤と言って食事で栄養を摂るのが難しい時


に飲む薬だ。この量は3回分だから3回に分けて1日1回


飲ましてやってくれ。もちろんちゃんと食べれそうな食事


もとらせてだぞ」



と説明した。すごいな!! ミロク。お医者さんみたいだ。



「うん。わかった。でも今お金がないよ」



とノンが言うとミロクは



「気にするな。これはボクがそうしたいからした事だ。


だから商売じゃない。まあ、今回だけだがな。次回から


は、ちゃんと代金をいただくよ」



と言った。するとノンは



「ありがとうございます」



と言いミロクに深々と頭を下げた。そして、僕とミロクは


また、近いうちに様子を見に来ると言いふたりの元を後に


する事にした。それにしても急な展開でビックリして


いる。あの茶白猫は間違えなくルクだろう。そして、ノン


の尻尾とあの茶白猫の尻尾はソックリだった。兄さんと


呼んでいたし、僕たちの探していた兄弟で間違いない


だろう。それにしても、茶白猫は大丈夫だろうか? 僕は


ミロクに聞いた。ミロクは悩み事が解決すれば良くなると


思うと言った。たぶん、ノンとの事が原因かもしれないと


思った。兄弟で意見が食い違っているような事を言って


いたから。はたから見れば、素直に話し合えば解決するの


にと思うが、当の本人達には難しい。いい方向に進むこと


を祈るばかりだ。僕たちは丘の大きな木から離れる。


そして隠れれそうな所を見つけてそこでミロクに消える


魔法をかけてもらう。そしてまた、丘の上に戻ると凄く


大きな風が吹いた。アバンが上空から降りてきた。そして


アバンの背中に乗るとアバンは上空に舞い上がる。僕たち


は下で起こった出来事をアバンに話した。すると



「ぼくがいたらピンクゴールドの光をあててあげれたのに


ね」



と言った。そうだ、アバンのピンクゴールドの光なら一発


で元気になれるはずだ。でも、アバンの存在をバラす訳


には行かない。ここにドラゴンがいるとわかれば大事(おおごと)


になる。すると



「大丈夫。アバンのピンクゴールドの光を浴びる程、悪く


はないはずだから。あの薬で元気になるはずだ」



とミロクは言った。僕はミロクに



「ねえ。ミロク、お医者さんみたいで凄くカッコ良かった


よ」



と言うと



「一応、その資格は取っている。ただし、猫限定だがな」



とミロクは言った。



「エッーーーー!!」



僕とアバンは上空で大きな声を上げてしまった。



「そんなの聞いてないよ」



とアバンが言うと



「うん。言ってない。だって猫限定だから、お前たちを


みることはできないしな」



と言う。



「えっ。だから薬を作るのが得意なの?」



と僕が聞くと



「まあ。医者の資格がある方が作りやすくはあるが、


なくても作ることはできるぞ。現にそういう猫たちの方が


多いと思う。ボクの場合は、やるからにはとことん追求


したい欲があるから。極めたくなる」



とミロクは言った。ぼくの知らないミロクの一面がまた、


明らかになった。この異世界での三毛猫のポテンシャルの


高さに驚くばかりだ。その後はアバンの空中散歩を満喫


しながらいつもの洞窟に戻ることにした。




 明くる日、茶白猫・ルクと茶トラ猫・ノンが判明した


ことでミロクは最後に残りの一集落に薬を売ってまわる


ことにした。そしてこれで、ルクとノンの件に集中する


ことにしたようだ。僕とミロクは最終日ということで


気合いを入れ直し、アバンはミロクと共にザボリタ王国に


大きいまま消えてきて、ミロクを降ろした後はあの光る木


の上空で待機してくれている。



「じゃあ、行くか」



とミロクは言い、僕たちは最後の薬売りをしに残る集落に


向かった。3つ目ともなるとかなり、本格的に薬売りと


してと言うか接客業としてのスキルが上がりかなり


スムーズに事が終わった。他の集落からの噂などもあり


今までで一番の売上げをあげたとミロクが言っていた。


相変わらず物々交換もあるが、この集落は代金を支払って


くれる家が多かったようだ。まだ、日が明るい内にアバン


の所へ行くことが出来そうだ。何なら茶白猫ルクの様子も


気になる。でも伺って良いものかとミロクと話していた。


すると、前の方からかなりの年配のお婆さんがこちらに


向かって歩いてくる。その横にお婆さんを支えながら


寄り添って歩く娘さんらしい人も一緒だった。片手には


買い物帰りらしく物が入った布袋を持っていた。


ミロクは二人をジッと見ている。



「こんにちは」



と娘さんらしき人が僕らに挨拶してきた。



「こんにちは」



僕とミロクも挨拶するすると、お婆さんは、僕たちを見て


ニコッと微笑み会釈をしてすれ違った。ミロクはジッと


お婆さんを見ている。僕は気になり聞いてみた。



「ミロク、あのお婆さんの事知ってるの?」



「いや、昔、人間としてか別の猫として生活してた頃の


知り合いかと思ったけど違ったみたいだ。他人の空似って


ヤツだな」



と言った。それにここはミロクも一年修行した場所だし、


顔見知りがいてもおかしくはないよなと僕ば思った。


そして



「さあ、アバンの所へ戻るゾ」



とミロクは言った。



「うん」



と僕も言い、ふたりであの光る木へ向かった。

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