ザボリタ王国
僕たちはアバンに弥玖の事を話した。と言ってもミロク
がアバンに伝えた。アバンは驚いていた。この世界から
転生者が僕の世界にいる事を。そしてアバンは弥玖の子供
たちを引き取る事も承諾し、捜索についても自分にも何か
協力できないかと言った。やはり、アバンは懐が深い。
僕たちが、今回この異世界に来ると数日経っていたが、
虹色の光の事はまだ少し騒がれていた。神だと言うものも
あれば光を放つドラゴンだというものもあると聞いた。
それなのにアバンに協力させるのは少し抵抗があった。
でも、アバンはヤル気満々だ。それにアバンの力をかり
ないとザボリタ王国まで移動できない。そう思った。
ん? ちょっと待て。移動? ミロクのバラのアーチは異世界
に転移できるのにどうしてこの世界での転移はダメだって
僕は思っていたんだろう。あっ、そう言えば、そういう事
をミロクは一度も話したことがない。やっぱり無理なの
かな? と思うが、恐る恐る聞いてみた。
「ねえ、ミロク。ミロクはここからザボリタ王国までの
移動ってアバンと行けないとしたらどうやって行くの?」
と聞いた。すると
「ボク、ひとりだと転移かな。でも、アバンやミヤを
つれて行くとなると、アバンでの移動が最も早いかな」
と言った。
「ん? ミロクは転移できるの?」
「ああ。でも、ボクだけしか出来ない」
「どうして?」
「昔、一度、ボク以外の者と一緒に転移魔法を使って
みたんだ。そしたらボクだけが移動できたけど、そいつは
一緒には移動できなかった。とても、近い距離での実験
だったんだ。そして、元の位置に歩いて戻っている時
その道すがらそいつを見つけたほんの少しだけ移動はして
いたけど」
「そうなんだ。それで転移魔法は使わなくなったの?」
「ああ」
とミロクは言った。ミロクにも不得意な分野があるんだと
思った。
「じゃあ、バラのアーチでの移動は?」
「それは出来る。2つの対のアーチを作れば、そして、
ココと行きたい所に置けば移動できる初歩だから。移動
しても時差もない」
「えっー、なんでそれしないの?」
「だって異動先に一度行かないと設置できないだろう。
初めての場所はムリ」
「えっ、初めての場所って転移でも行けないの?」
「あっ!!」
とミロクが言う。気がついたらしい。初めての場所は転移
魔法で行き、バラのアーチをセットする。するとそれで僕
たちの行き来も可能。そして、ミロクがアーチを片付けて
転移魔法で戻ってくれば回収終了。ということにミロクは
気がついたらしい。
「ハァーー」
と言いミロクはかなりの間凹んでいた。アバンはミロクに
「気にするなよ。移動はぼく、大好きだよ。だって空
飛べるし、ミロクとミヤと旅行した気分になれるから」
と言っていた。ミロクが凹みから立ち上がるのにはかなり
時間がかかった。という事はこれでさんにんでの移動が
可能になった。早速、ミロクはザボリタ王国に行った。
ザボリタ王国では滞在許可証がいる。それがあれば1ヶ月
程度の滞在が可能になる。それ以上はその都度、
更新しないといけない。ミロクは、自分と僕の滞在許可証
の申請をした。ミロクは旅商人として僕は旅人して。僕の
滞在許可証もミロクが僕に変身して申請してくれた。
そして数日後許可がおりた。これでザボリタ王国で拠点を
置いて活動出来る。色々細かいルールはあるみたい
だけど、これで住む場所を探す事が出来る。そして僕と
ミロクはザボリタ王国へバラのアーチを使って移動した。
そしてバラのアーチを回収し、住居を探す為ザボリタ王国
に入った。ザボリタ王国はミロクも一年過ごしたことの
ある思い出のある街だという。弥玖と同じ頃に過ごした
かもとミロクは言っていた。この国は猫に対して友好的だ
とミロクは言っていた。しかし、それは15、6年前の事
だとミロクは言った。僕たちは住居を街の中心部ではなく
弥玖たちが過ごしていたという村におくことにした。
ザボリタ王国は中心に城がある。城を中心に円状に道が
広がっている。いわば蜘蛛の巣の様な造り方。で、その街
を囲む塀がありその周りに森が6つと山が4つあり、
果樹園や畑があり、村が3ヶ所ある。そしてそれも塀に
囲まれている。これがザボリタ王国だ。森や山を塀で
囲まことで自分たちの領地をはっきりと区切っている
のだ。僕たちはまず中心部へ行く。そして国運営の旅人・
旅商人の僕の世界でいう不動産屋へ行く。で、ある村で
貸し出されている建物を借りることにした。その建物の鍵
を受け取り契約と1ヶ月の支払いを済ませると僕たちは
その村に行った。ザボリタ王国の村は3つある。
国の入り口を入って左右に1つずつ後奥に1つ、3ヶ所
ある。入り口を入って左側の村に住居を借りた。その村は
また、3つの集落にわかれている。1つの集落に2、30
人住んでいる。村の両サイドは森。奥に山がある。一番山
に近い集落に弥玖は住んでいたというので、その集落の
建物を借りた。僕の世界のログハウス風の建物だがかなり
年季が入っている。僕たちは村の長に会いに行く。1ヶ月
借りる事といつもいないかもしれないが、よろしくお願い
しますと。すると、自由に過ごしてください。
と言われた。そして建物に入った。もうすぐに使えるよう
に準備されていた。そして建物内の倉庫の様な部屋が
ある。そこにバラのアーチをセットした。ミロクは
そのままアーチをくぐった。そして、しばらくするとまた
戻ってきたが、アバンの気配を感じる。
「アバンいるの?」
と僕が聞くと
「うん、いるよ」
と言った。たぶん部屋の中をクルクルまわっているの
だろう。声をかけても返事がない時があった。
僕たちは、アバンはミニアバンで消えたまま、僕は旅人。
ミロクは旅商人で、僕とミロクは旅の途中で意気投合して
一緒に旅をすることにした。で、この1ヶ月はここを拠点
にこの国で仕入れとか僕の場合は骨休めで少しここに滞在
するという設定にした。
まずは村を探索。猫がいないか探る。ミロクは猫と
喋れる。魔法を使えない猫とも話は出来る。アバンは他の
集落にも猫がいないか、偵察に行ってくれている。僕は
村人にここに15、6年くらい経つ猫はいないかと
聞いた。どうしてだと聞かれたので各地の猫の絵を描いて
まわっていると言った。若い猫はよく見るが、その年代の
子が見たいと言うと変わった奴だと言われた。そして村人
の何人かに自分のとこの猫がそのくらいの歳だと言われ
見せてもらう。僕はその猫の絵を描く。すると村人がその
絵を、覗き込んで感心している。
「うまいもんだ。お前は画家か?」
「いや、趣味で描いてる」
「勿体ない」
と言われた。僕は絵が大好きでよく小さい頃はミロクの絵
を描くこともあった。自宅にいる時も近所の野良猫を書く
こともあった。僕が会わせてもらった猫たちは、みんな
茶トラだったが名前は弥玖が言っていた 〝ノン〟 では
なかった。 〝ノン〟 と小さい声で読んだが反応しない。
違うのかなと思い、絵を描いた横にその子の特徴を書き、
聞いた名前を書いていく。それと誰の猫かも。そして、
1つずつ潰していった。そして暗くなる前に仮家へ戻る。
とふたりはもう帰ってきていた。アバンは姿をみせた。
解除薬を飲んでいたのだ。僕たちは報告しあった。僕は
ふたりに今日出会った猫たちの絵を見せた。すると
「ほんと、うまいな。ボクを描いていた頃よりかなり成長
してるよ」
とミロクが言う。
「ほんとすごいよ」
とアバンが言った。が、 〝ノン〟 ではないようだと言うと
「あえて、気づかないフリをしたのかもしれない」
とミロクが言う。アバンは2つの村に行ってみた。1つ目
の村には猫は5匹程しかいないと言った。もう一つの村も
10匹程度だという。でも、みんな白黒か茶トラだと
いう。1匹だけ茶白がいたが一緒にいた猫は茶トラでは
なく白黒のハチ猫だったと。
もう、二匹は一緒にいないのだろうか? と思った。




