僕たちの本当の解決
アバンは
「ごめん、疲れたからもう寝るよ」
といい寝床へ向かう。するとミロクが
「今日は、ボクも一緒にアバンのとこで寝るよ」
と言う。僕も
「僕も一緒に寝る」
と言うとアバンが
「うれしいな。みんなで一緒に寝られるなんて」
と嬉しそうにしていた。その姿を見て少しホッとする。
いつものアバンだったから。そう、今日はとにかく、
ゆっくり休もう。僕たちはアバンの寝床へ行った。
明くる日。僕はアバンの部屋で目を覚ます。ミロクは僕
の横でスゥー、スゥーと寝息をたてている。アバンもまだ
寝ているようだ。ぼぉーっとしていると
「ミヤ?」
と僕を呼ぶ声がした。アバンが目覚めた。
「おはよう、アバン。気分はどう?」
と僕が言うと
「おはよう。ゆっくり寝たからスッキリしたよ」
と言った。僕はアバンの元に行き、いろんな方向から
アバンを見る。僕の目にはいつものアバンのように
感じる。
「何?何してるの?」
とアバンに言われる。
「うん。いつもと違うとこがないか確認?!」
と言うと
「大丈夫だよ」
と言う。ミロクがゴソゴソとしだして目を覚ます。
「おはよう、ミロク」
とアバンが言うと、ミロクの目がシャキンとあいた。
「アバン、体、大丈夫? 変なとこない? 苦しいとか。
おかしいとか」
と早口でミロクがアバンに言った。
「落ち着きなよ。ぼくは元気だよ」
というアバンにミロクはホッと胸を撫で下ろす。僕たちは
広間へ行く。と村からの連絡の本がピカピカ光っている。
これは村からの連絡が入っているということだ。ミロクは
慌てて本をとり挟んであるメモを取り出す。
「おい、村からだ。やっぱり虹色の光が一晩でいろんな
ところで見えたから問題というか話題になっている
らしい。しばらくは洞窟から出ないほうがいいと連絡を
くれた。それとアバン。村のみんなからありがとうって
サ」
と言った。アバンは
「えへへっ」
と嬉しそうに照れていた。僕は
「よかったね、アバン」
と言うと
「うん」
と笑顔で答えてくれた。ミロクとアバンは村に送るメモを
書いている。アバンからの言葉をミロクが代筆している
ようだ。見るからにいつものアバン。どこにも異変は
なさそうだ。でも、どうしたらもう、危機を乗り越えた
ってわかるんだろう。すると、さっきまでそこでアバンと
いたミロクが
「大変だぁーー!!」
と言い、広間に戻ってきた。その手には、球根を持って
いる。
「ねえ、その球根って」
と僕が言うとかなり興奮状態のミロクが
「コウリンランが…………」
と言う。
「コウリンランがどうしたの?」
と言うと
「アバンに摂取した虹色のエキスは採取する時に入れた
入れ物の半分の量だったんだ。だから球根まで採取した
のは1株も使わなかったんだ。でも、さっき研究室に
行ったら全部。5株、全部枯れてるんだ!! それに球根
まで腐りはじめてる」
「じゃあ、七色のエキスは?」
と言うと
「あっ!! まだ見てない。見てくる!!」
といい研究室に戻った。研究室の方からミロクの発狂
にも似た声がする。僕とアバンは顔を見合わせる。
「ちょっと行ってくる」
と言い、僕はミロクの研究室へ。すると、床に崩れ落ちた
ミロクがいる。
「どうしたの? 大丈夫?」
と聞くと
「こ、これをみてくれ…」
と茶色の小瓶をうなだれたミロクが僕に差し出す。蓋が
開いている。中を覗くが何も入っていない。でも、小瓶
には ‘コウリンラン 赤’ と書いてある。もう一度、中を覗く
けど何もない。その横で他の小瓶を全部開けて中を確認
しているミロクが
「無い」
「無い」
「無い」
と涙声のミロクの手放した空瓶がコロコロと床を転がって
いる。そう、全部なくなっている。ショックを受けている
ミロクを横に僕は
「あっ! もう、ツボギもガルトリも全部消滅したから必要
なくなって消えたんじゃないの?って事は。ミロク!!
アバン助かったんだよ!! もう消滅しないんじゃない
の!! ヤッターー!!!! よかった、アバンは助かった
んだ!!!!」
と僕が言うと
「えっ!!!!」
と凹んでいたミロクが
「そっか!!そうなんだ、ヤッターー!!!!」
とあんだけ凹んでいたミロクは研究室を飛び出して、
「アバーン!!!!」
と言いアバンのいる広間へ走っていった。僕はドアを
閉めミロクの後を追いかけた。すると、広間でアバンに
抱きつくミロクがいる。アバンが
「どうしたの? ミロク?」
と言っていた。今度はミロクはうれし泣きで号泣して
いる。僕が事情を話すとアバンはいつも通りのアバンで
「うん。今朝、夢にドラゴンの国の神様と森の神様と
猫の国の神様だという三神が現れて、『ありがとう、
これで救われた。感謝しています』って言われたから、
あっ終わったんだって思って、ぼくはどうなりますか?
って聞いたら『これからも幸せに暮らして下さい』って
言われたよ」
とアッケラカンと答えた。
「えっーーーー!!」
「アバン、それ早く言ってよーー」
と僕たちは言った。アバンは
「ごめん、ごめん」
と笑いながら言った。ミロクは
「よかった、よかった」
とアバンに抱きつきながら何度も言っていた。これで本当
の意味でやっと終わった。本当に良かった!! 僕は心から
安堵した。
僕とミロクは僕の世界に戻ることにした。僕たちは悩んで
いた。どうせならアバンも連れていきたい。でも、あっち
には弥玖がいる。ぼくに味方してくれているとしても
ドラゴンを会わせる訳にはいかない。消えているとしても
気づかれたら身も蓋も無い。僕たちは考えたあげく、
アバンには残ってもらう事にした。
「アバン、すぐに帰ってくるからね」
とミロクは言い
「アバン、僕もすぐ戻ってきたいけど、色々あって…
これはまたミロクに聞いて。すぐに戻ってこれないかも
しれないけど、必ずまた来るからね」
と僕が言うと
「うん。一緒に行けないのは残念だけど待ってるよ、
ミヤ」
とアバンは言ってくれた。
「うん」
と僕は言い、ミロクは
「じゃあ、行ってくるね」
と言い僕とミロクは僕の世界に戻った。倉庫の二階に
出てきた。そこから、そぉーっと一階に降り裏から森に
入る。僕はちゃんと11歳の僕になっている。ミロクに
ついていき森を抜けるとおばあちゃん家の畑が見えた。
「ただいま」
と言い僕は家に入った。僕たちはちゃんとその日の夕方に
戻ってきた。手を洗い、うがいをし、顔を洗い、居間に
行くと
「にいに〜〜」
と弥玖がよってきた。抱き上げると耳元で
「おかえり」
と言った。一瞬ビクッとする。やっぱり、流暢な喋りの
弥玖には慣れない。
「ただいま、弥玖」
と言った。ミロクは弥玖を警戒していて近づかない。弥玖
が近づくとミロクはスゥーと逃げている。
「弥哉は今日何してたんだ?」
と父が聞く。
「うん。川で遊んでた」
と言うと
「気をつけてよ。川は危ないから。入らないでよ」
と母が言う
「うん、わかった」
と言い続けて
「おばあちゃんの手伝いしてくる」
と僕は台所に向かおうとしたら
「あたちもいく〜」
と弥玖がついてこようとした。父が
「弥玖はパパと遊ぼうね〜」
と言い抱き上げる。その後も僕たちは夕飯を食べ、お風呂
に入って寝た。
僕は夜中に目が覚める。目を擦り僕はトイレに
行きたくなり部屋を出た。用を足しトイレから出ると
ミロクが扉の前に座っていた。
「うゎー」
僕はビックリして声をだしてしまった。僕はミロクの頭を
撫でると思念で
「ごめん、ごめん。ビックリさせたよな」
とミロクが言う。
「ちょっと、ビックリしただけだから大丈夫」
とそこへ
「ふたりで何してるの?」
と声がしてビクッとする。声の方に顔を向けるとそこに
弥玖がいた。僕は小声で
「何してるんだよ」
と言うと
「目が覚めたら、お兄ちゃんがいなかったから」
と言った。ミロクは弥玖を警戒している。
「何だよ、お前。ボクに何か文句でもあるのか?」
とミロクが言う。あれ? ふと気がつく。弥玖が一緒だと
ミロクに触ってなくても喋れるのは何でだろう? 最初の時
もそうだった。僕とふたりの時はミロクとこっちで直接
喋ることは出来ないのに、弥玖が一緒だと普通に喋れる。
僕の疑問をよそにふたりの様子がピリピリしているように
思われ心配だ。
「あのさ、弥玖はミロクに何か用があるんじゃないの?」
と僕はこの場のピリピリに耐えられず言った。
「うん。どう切り出していいのか、わからなくて言えな
かったの。頼みたい事があるんだ」
と言う。僕は驚いた。当てずっぽうで言った言葉が
当たってる。
「なんだ? ボクに頼みたいことって?」
とミロクは弥玖にぶっきらぼうに言った。




