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妹の弥玖(みく)

【僕、夏休みにおばあちゃん家の三毛猫と異世界に行ってきました】の続編です。

楽しんでもらえたら嬉しいです。

「にいに、はやく」



と妹の弥玖(みく)が僕を呼ぶ。



「おい、気をつけろよ。転ぶぞ」



と、ダルそうに言うと、



弥哉(みや)、早く弥玖(みく)のところに行ってやれ」



と後ろから父が言った。



「わかったよ」



と僕は言い、僕の前を楽しそうに走る妹の後を追った。


チラッと後ろを振りかえると、身重の母を気遣う名目で


父はベッタリと母に寄り添っている。そう、母は4人目を


妊娠したのだ。僕には今、何ヶ月とかはわからない。


でも、母のお腹は少し目立ちはじめたらしいけど、


それでも服の上からでは僕にはわからない。なので、母の


ペースで歩き、休憩しながらおばあちゃん家へと歩いて


きていた。



「家でゆっくりしときなよ」



と僕は言ったのに



「おばあちゃんちは、空気もいいし、もう四人目だから


大丈夫よ」



と母は行く気満々だった。おばあちゃんは、父のお母さん


だから母からしたらお姑さんなはずなのによく電話して


いるし、なんだか父より母との方が本当の親子のように


仲がいい。昨年、行けなかったのもとても残念がって


いた。だから、今年は絶対行くといい、やってきた。


こんな大勢で行ったらおばあちゃんは喜ぶけど、僕の計画


はことごとく壊れるじゃないか。


昨年の夏休み、僕は父に連れられおばあちゃん家にやって


きた。で、父は帰宅し、おばあちゃん家でひとり気ままな


夏を過ごすつもりだった。でも、僕はおばあちゃん家で


飼っているオスの三毛猫のミロクの行動に、好奇心を


かりたてられた。僕が、三毛猫ミロクの後を追って行く


と異世界についてしまったのだ。そこでミロクの友達


ドラゴンのアバンと出会う。アバンが村人達に退治される


のを助けて欲しいとミロクに頼まれ、アイデアを出し合い


のりきったように思えたが、その後もすったもんだが


あったが最終的にはなんとか落ち着いた。


『また来いよ』とふたりが言ってくれたので楽しみに


していたのに。この状態では、僕はミロクと共に異世界に


行くのは難しい。どうしたもんだろう。



「はぁーー」



と僕は深くため息をつきながら、弥玖(みく)が、離れて


いかないように手をつないで歩いていた。




 昨年よりかなり時間をかけて森の中のポツンとある


おばあちゃん家へ到着した。すると、畑で作業をしていた


おばあちゃんが



「よく来たね。美緒さん、大丈夫かい? 大変だった


だろう。弥玖(みく)弥哉(みや)もよく来たね。


みんな、暑かっただろう。さぁ、中に入って。


すぐに冷たい物用意するから」



といい、僕たちは家の中に入った。居間でくつろいで


いるとおばあちゃんに僕は呼ばれた。台所にいくと、


スイカを切ってくれている。



「うわぁーー。スイカだ。僕好きなんだ!!」



と言うとおばあちゃんは



「知ってるよ。あんた達みんな好きでしょう。だから用意


しといたよ」



と言い



「これ、みんなのとこに持っていってくれる?」



と言った。



「うん」



といい、僕は大きなお盆にそのまま入ったスイカをもって


居間に行く。その後をおばあちゃんが、取り分ける皿や


おしぼりや塩を入れたお盆を持ってついてくる。


居間に行くとみんな大喜びだ。取り皿に入れみんなで


スイカにかじりついた。



「うんまぁーーーーい」



とみんな、笑顔になった。


兄ちゃん残念だなぁと僕は思った。兄ちゃんは今年も部活


で来れない。中3最後の夏だから友達と遊びたいのもある


のかもしれない。兄ちゃんに



弥哉(みや)、お前もばあちゃんとこに行けるのは


来年ぐらいまでだな。中学になったらムリだな」



と言われた。


僕は自分次第だと思うと思ったが何も言わなかった。


まあ、兄ちゃんは家でこの夏を満喫するのだろう。


と、いっても母の実家が近いから向こうのおばあちゃんが


毎日来るって言っていたけど……。


みんなが好きなこともあり、アッというまにスイカは


僕たちのお腹の中に消えてしまった。僕はミロクを探した。


でも、見当たらない。それに弥玖(みく)をつれてだと、


あまりチョロチョロも出来ない。


やっぱりアバンの所かな?と思っていると、


ヒョイッとミロクが現れた。



「ミロク、久しぶり!! 元気だったか?」



という僕にミロクは



「ニャーー」



と答えた。やはり、弥玖(みく)が一緒だから返事は


しないかと思い、スッとミロクの頭を撫でた。すると



「よく来たな!!」



と声がした。何、何?何が起こった?


僕は、驚きのあまり声が出ず固まった。


驚いて手を離した。すると何も聞こえない。もしかしたら


と思い、手をミロクの頭にのせてみると



「驚いただろう? ボクの進化を」



と言った。スゲー、どうなってるんだと興味深々になり、


ミロクを撫でながら心の中でミロクに話しかけた。


すると会話ができる。でも、手を離すとそれは出来ない。


僕以外の人でも出来るのかと聞いたらそれはムリだと思う


と答えた。すると、ミロクの尻尾を触っていた


弥玖(みく)が突然、流暢に話し始めた。



「やっぱり、ミロクってあのミロクだったんだ。


なんでお兄ちゃんとそんな事やってるの?


昨年何かあった?」



といった。僕はびっくりしすぎて何も言えないでいる。


頭の中はパニックを起こしている。すると、ミロクは



「ちょっと来い」



と言うと、使われてない和室へ連れて行く。


周りに誰もいないのを確認して中に入り戸を閉めた。


するとミロクは普通に話し始める。



「お前、 何者だ!!」



弥玖(みく)にいった。



「私は弥玖(みく)よ。弥哉(みや)兄の妹。でもミロクの事も知ってるの。


あたしが喋れるようになってから会うのは初めてだけど、


まだあたしが喋れないときに会った時はまさか、


あのミロクだとは夢にも思わなかったわ。


同じ名前で三毛猫のオスで… 。でも、この世界で三毛猫


なんて数えきれないほどいるし、そんなそぶり、微塵も


みせなかったからわからなかった。それにこの体になって


見分けるの難しいのよね」



と言った。



「見分ける?って何」



と僕が言うと



「うーーん。能力があるかないか?」



弥玖(みく)が言った。



「なんで、ボクの事知ってるんだ?」



と言うミロクに



「それは思い出してよ。魔法使いのミロクさん」



弥玖(みく)は言った。ばっ、ばれてるって事は、


弥玖(みく)は異世界人? 記憶を残して転生したの?


いろいろ頭を駆け巡るけどわからない。僕は少し落ち着く


ように、深呼吸を何度かして弥玖(みく)に疑問を


ぶつけた。



弥玖(みく)はいつから今の状態なの?」



と言う僕に



「生まれた時から。気がついたらこの体だった。


でもどうしてそうなってるのかはわからない。でもみんな


の言ってる事も理解できた。でも喋れないし、自分の


思うように動けない。めんどくさいわね。


でも、楽しいわ、気楽で。それに今の家族はみんな大好き


だし」



と言う弥玖(みく)の言葉に正直、僕は嬉しかった。


そして弥玖(みく)は続けた



「それにこの記憶ももう少しで消えるかもしれないし、


消えないかもしれない。4歳のあたしも気に入ってる。


モードが切り替わるだけよ。今のか4歳のあたしかに」



と言った。すると、弥玖(みく)は急に



「にいに、おしっこ」



と言った。エッーー。今?? そう思って抱きあげ、部屋を


出ようとした時



「おーーい。弥哉(みや)弥玖(みく)どこにいる?」



と父の声がした。戸を開けると父がいた。



「ここにいたのか」



と言う父に



「父さん、弥玖(みく)トイレだって」



と言って抱いていた弥玖(みく)を父に渡した。


父は弥玖(みく)を受け取り、慌ててトイレへ向かった。

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