光ファイバーお七
その日は家に帰って満月を見た。
たくさんの猛獣なんかこりごりだ。正直かなわないから、早く寝る。
家でネットフリックスを見よう。
朝方になると、女がいた。
彼女はなんと昨日の名無しのゴンベエちゃんだ。なにゆえ?
白い髪の毛がなびいている。かわゆ。
とりあえずコーヒーを淹れる。
女の子だけれど、別にコーヒーをいやではないよな?
はいどうぞ。
「おいしい」
おおそれはよかった。
「私の名前はもとめ」
女の子は安代城求という名前らしい。もっとも偽名かもしれないが。
どういう塩梅だ。昨日交戦したというのに。
昨日の敵は今日の友か?
そういうと、彼女はふるふると頭を振った。
「おれは彼女の姉。昨日戦ったやつはあたしの妹だ。」
あ、あなたはお姉さん⁉ びっくりした。
あ、そんな、いやまさか、にわかには信じられない。
なんで瓜二つなの? ああ双子なのか、なるほど。
そのまま二人でコーヒーをすする。
「髪の毛に色を塗るか。色染めする機械|》はあるかい?」
そのまま彼女は家にある、何色でも染め上げられる髪染めを使った。
それは素粒子のレベルで髪の色を変えることができる。まるで虹色のようにすべての色をカラーリングできた。
その姉さんは左を青、右を白に染めた。
なかなか今風できれいだ。
もとめの髪はきれいだった。
髪はとてもきれいだ。
「おれの髪の毛は一本一本が光ファイバーのようだ」
「いいんじゃない、光ファイバーみたいで」
なかなか素敵だ。
「触ってみる?」
はにゃ? いいの? ロリポップ野郎って言われない?
「一宿一飯の恩義だにゃ、どうぞ」
「ああ、気持ちいいよ。さらさらしている。うん。これはいい。まるで孔雀の羽だ」
「うふふ、ありがとう」
そうやって髪をもんでいるとその触ったところが黒っぽく変色するのだ。ああ、これはやばい。
「やばい、俺はやばい道を走っている……。光ファイバーお七、俺は部屋で二度寝する。しばらく会うことはないだろう」
「光ファイバーお七ってなんだよ。新しいじゃん」
「命名権は俺にある。少しは感謝するんだな、セブンスレデイ」
「名前変わっているし。私はいちおう15歳よ」
「7歳でもなく17歳でもなく15歳か。なるほど。魅惑の年齢だな」
「この最低ロリコン。あなたの家族に言い放ってやるわ」
「まあまあ。コーヒーにシナモンでも淹れて落ち着き給え」
「ああ疲れた。あんたの会話は吐き気を催す邪悪だわ。外の空気を吸ってくる」
「ひどい言い草だな。私は傷ついたぞ。スマホは持っているか?」
「今の時代、テレパシー通信でしょ。髪の毛が受信装置の役目になってくれるし」
「そうだが」
「じゃあね、行ってくる」
僕は一人家でぽつねんとしている。
この状況、ぴえんでぱおんだ。
振り向くと、さっきの彼女がいた。