第7話 ホスト
新宿歌舞伎町にあるビルの6階。エレベーターの扉が開くと、そこはホストクラブCLUB響。
今日は、バースデーイベント。重厚感のある扉を黒服が開ける。暗がりの店内に、トップライトに照らされた一際目立つキラキラと輝くシャンパンタワー。シャンパンコールの掛け声が鳴り止まない。
「流星!お誕生日おめでとう!」
店の皆から誕生日を祝われる。
「ありがとうございます!」
僕は、鬱を乗り越えてCLUB響のホストになった。
VIPの麗華さんのテーブルに着く。
「おめでとう、流星!乾杯!」
ピンク色のドンペリが入っているバカラのグラスをカチン鳴らし乾杯する。
今日は、バースデーイベントという事もあって、麗華さんは、長い髪を盛ってラメが入りにし、胸の谷間が見えるセミタイトの白いドレスに身を包んでいた。
「プレゼントは欲しがってたオメガの腕時計にしたわよ」とプレゼントを差し出す。
「嬉しい!麗華さん、今日も綺麗だよ。ありがとう!」
麗華さんは、太客だ。店年齢29歳。歌舞伎町でホステスをしている。それ以上の情報は御法度。お客様のプライベートを聞かないのがルールの夜の街。
「流星の女の子みたいな可愛らしい顔も、華奢な体型も好き、私が流星をNo.1にしてあげる」
同伴や、アフターが多くなってきた頃に麗華さんが言った言葉。
まだ、No.1ではないけれど、目指そうと思っている。
僕は、すぐ戻ってくるからと席を立ち、次のテーブルへ。
大きなケーキに花火を刺してプレゼントをしてくれり、100本の真紅のバラの花束を頂いたり、ネックレスや指輪等ありとあらゆるプレゼントを貰った。
今日1日は、僕が主役だ。キャストも含め、皆が僕の為に動いてくれている。
売り上げも気になるが、テーブルを回りお客様を楽しませるのが優先。せわしなくテーブルを回って、その度にシャンパンコールが鳴った。
まるで宝石箱の様な空間。煌びやかな世界。永遠にこのままだったらいいのに・・・。
そして、あっという間にラストソングの時間。
真っ暗な店内に、ミラーボールが回る。スポットライトを浴びた僕が、コツコツと足音を立てて歩き、ステージに向かう。店中の全員が僕に注目する。
Aci Black Cherryの「Prologue End」を感謝の気持ちを込めて歌い上げる。
酸いも甘いも、虚言も嘘も、ここは全て許される。人間の縮図なのだ・・・。
そして今日も、夜の街は眠らない。