第6話 RAIN
鬱になってからの僕はユリちゃんが心の支えになっていた。
いや、違うな・・・。
本当は出会った頃から、ユリちゃんは心の支えになっていたんだと思う。
「鬱になって大学辞めた」送信
ベットに横になりながらユリちゃんにRAINを送った。
「どうしたん?なんか辛い事あった?」
直ぐに返信が来る。
「彼女が自殺して、鬱になった」送信
しばらく沈黙の後
「それは、とても辛かったね・・・彼女の事はご愁傷さまでした」
「でも、だいぶ立ち直ってきた」送信
「それなら良かったけど、あんまり無理しないでね」
「ありがとう」送信
「最近、外に出られる様になってきた」送信
「良かったね。今日仕事に行く途中で金木犀の花が咲いていたんやけど、ええ香りがしたよ」
「僕も今日散歩に行った時に見たよ。いい匂いだったね」送信
「ユリちゃんお誕生日おめでとう!」送信
「ありがとう!恥ずかしいわぁ」
「何歳になったの?」送信
「女性にそういう事を聞いたらあかんの!笑」
「今、昼夜逆転してるんだけど、夜のバイトをしようかなって思ってる」送信
「ユズが大丈夫ならやってみるのもいいかもね。気分転換にもなるやろし」
「うん。頑張るよ」送信
僕は友達や、家族には言えない事も、ユリちゃんにはRAINを通して素直に言えた。ユリちゃんの存在が、僕を癒していった。
バイトをしようと思ったのは、服薬して安定していたというのもあるが、社会に適合出来てない負い目があったからかもしれない。
夜の闇の中、部屋で1人そんな事を考えていた・・・。
窓から見えたのは、下弦の月。