54.サティアの策略
「ランジェリカ様、そろそろ新しい男の調達が必要でございます」
ビキニ姿の男達にオイルマッサージを受けていたランジェリカに、別のビキニ男が報告に現れた。うっとりと気持ち良く体をほぐされていたランジェリカの顔が渋くなる。
「ああ、面倒だわ。何人ぐらい必要なの?」
「はい、数十名が予定より早く廃人となりましたので、それと同等は必要かと……」
「分かったわ。今夜行くの?」
「はい、お願い致します」
ランジェリカは再び枕に顔を埋めると、オイルマッサージを受け始めた。
「ここね、この村でいいのね?」
その夜、工場がある森から離れたひとつの村にやって来たランジェリカ達。そしてその村が見下ろせる高台にやって来ると、ランジェリカは静かに魔法を唱えた。
「快の旋律・魅了」
ランジェリカから妖艶な波動が村中に広がる。
そしてしばらくすると村の家々のドアが開き、若い男達がよろよろと出て来た。
それを見て泣きながら必死に止める妻や子供達。それを振り切るように男達はある方向へと歩いて行く。
「さあ、戻るわよ」
ランジェリカは男達が用意した御輿のような乗り物に乗ると、工場がある森の中へと帰って行った。
「さて、どうするか……」
ふたりをティレスタの宿まで運んだクレストが考えた。
「ああん、クレスト先生ぃ……」
担がれながらも終始喘いでいたマリアが、目をとろんとさせてクレストに迫る。
「マ、マリア先生……、う、嬉しいですけど、こういうのはちゃんと意識を持って、合意の上でですね……、!!」
マリアはクレストの顔に抱き着き、その大きな胸を擦り付けた。
「ううん、ああ……、ああああっ!!!」
マリアが胸から全身に広がる快感に色っぽい声を上げる。
更に視界の利かなくなったクレストの手をアーニャが持ち、自分のビキニの中に入れて揉み始めた。
(う、うぐっ!! こ、これはアーニャの小さな柔らかい膨らみ!? いたいけな少女の膨らみが、て、手の中にいいい!!!)
「んん、ふにゃああ、んにゃあああああ!!!」
円を描くようにして手を動かすアーニャ。そして耳に響く幼い喘ぎ声。
「ちょ、ちょっとぶだりどおぼ、じょじょうぎでぃぼどっで!!(ちょ、ちょっとふたりとも、正気に戻って!!)」
クレストが嬉しさと罪悪感に苛まれていると、突如ふたりの動きが止まった。
「あれ、私……、えっ、えええっ!!! ちょっと、せ、先生、何、してるんですか!!!」
バン!!!!
突如響くマリアの叫び声。
そして感じる顔面への激痛。
マリアの張り手を食らったクレストはそのまま壁まで吹き飛び、束の間の天国から一瞬で地獄へ落とされた。
「ア、アーニャちゃんにまでこんなことを!!」
そう言ってマリアはずれていたアーニャのビキニをすぐに戻す。マリアが叫ぶ。
「クレスト先生!! これは一体どういうことですか。説明して下さい!!!」
数分後。
その説明を受けたマリアはひとりひたすらクレストに謝り続けた。
「さて、じゃあ、改めて工場突入の計画を考えましょうか。私に考えがあります」
顔の半分が真っ赤に腫れ上がったクレストがふたりに言った。
「さあ、あなた達。私の工場で働けることを感謝しなさい! そして私に尽くすのよ、私を愛して崇めるのよおお!!!」
ランジェリカは新しくやって来た男達に向かって言った。無言の男達。ランジェリカが続ける。
「さあ、その暑苦しい服をお脱ぎ。ここは裸の楽園。そんな服は脱いでしまいなさい!!」
「……」
無言の男達。
ここに来てランジェリカがその異変に気付く。
「あなた達、……どうしたの?」
そう言ってひとりの男に近付いたランジェリカを、連れて来られた男が思いきり殴りつけた。
ドン!!
「きゃあ!!!」
殴られてその場に倒れるランジェリカ。周りの護衛の男が驚きすぐに男の前に立つ。
「お前、何をするんだ!!!」
ランジェリカの護衛の男が叫ぶ。
しかし連れて来られた男達はそんな声を無視するように自由に動き始めると、体に隠した武器を取り出して言った。
「ああ、臭せえところだ。とっとと仕事終わらせて帰るぞ」
「な、なにを言っている、お前達は!?」
ランジェリカは慌てふためきながら叫ぶ。
(魅了が効いていない。どういうことなの?)
そうこうしている間にも武器を持った男達は、丸腰の半裸の男達を襲い始めた。
「ぐわああああ!!」
次々と斬られるランジェリカの男達。武器になる物など一切ない工場内。そして秘薬製造の為に気力、体力、精力共に吸われた工場の他の男達にもそれに抗う力はなかった。ランジェリカが叫ぶ。
「戦え、戦え、お前達っ!!!」
ランジェリカは護衛の男達に必死に叫ぶ。武器を持った数少ない護衛の男達がその命に従い応戦を始める。
「こんな、こんなこと……」
しかし連れて来られた男達は、どう言う訳か全員剣の達人級レベル。護衛を任されているとは言え、もとは村や街の一般人だったランジェリカの男達。とても彼らに敵うはずもなかった。
「さーて、この女がその魔物ってやつか。おいおい、意外といい女じゃねえか。たまんねえ」
少しの取り巻きを残し工場の隅へ追い詰められたランジェリカ。男達の卑猥な視線を受けながらも、必死に魅了の魔法を掛け続ける。
(どうして、どうしてかからないの……!!)
ランジェリカが全身から汗を流して魔法を唱えていると、工場の入り口から女の声が響いた。
「無理よ。無理。あなたの魅了は掛からないわよ」
「誰っ?」
ランジェリカがその声がする方を見る。そして女と一緒にいる男を見て驚いて叫んだ。
「レ、レスター!!!」
それはサウスランド王国の新国王レスターと、その女サティアであった。レスターが言う。
「ご無沙汰だな、ランジェリカ」
レスターは横にいるサティアの腰に手を回しながら、怯えるランジェリカに言った。ランジェリカが怒りの表情を浮かべて叫ぶ。
「お前か!! お前の仕業か!! 金も払わないくせに、それでも国王か!!!」
レスターが返す。
「国王だ。国王の命にて、この違法工場の取り締まりに来た。観念しろ」
「く、くそっ!!!」
ランジェリカは小さな声で必死に魔法を唱える。
「快の旋律・魅了!!」
しかし平然とするレスター。隣にいるサティアが言う。
「無理よ。魅了は掛からない。だって、ここにいるすべての男、私のものだもん」
それを聞いたランジェリカの顔が青くなる。
(魅了を、掛けられたか、先に……)
魅了に掛かったものは原則、他者の魅了に掛からない。ただ、そこに大きな魔力差があれば上書きすることもできるが、レスターや連れてきた男に魅了が掛からないと言うことはランジェリカの魔力はサティアに遠く及ばないことを意味していた。
レスターが続けて言う。
「そして彼らは国王軍の精鋭隊だ。諦めろ」
「くそ、くそっ……」
ドンドン、バタン!
ランジェリカが悔しがっている間に倒される自分の護衛達。たったひとりになったランジェリカの顔が恐怖の色に染まる。レスターが近付きながら言う。
「この工場は違法だな。今日より我がサウスランドの管理下とする。安心しろ。後は俺がしっかりと運営してやる」
「き、貴様、我を騙したな!!!」
ランジェリカは今更ながら嵌められたことを理解した。
そしてレスターの隣にいる女、間違いなく同じリリム。ただ上位種のクイーンリリムである自分よりさらに強い種族。そんなものは聞いたことがない。
ランジェリカがひとり考えているとサティアが笑みを浮かべて言った。
「おいで、ゴンザレス」
「うごごごごごっ!!!」
サティアが声を掛けると、工場内にひとりの巨大な男が入って来た。レスターより大きな巨漢。全身筋肉の塊で、頭は坊主、そして顔はたくさんの脂汗で光っている。サティアが言う。
「この子ねえ、ちょっと魔法に失敗しちゃってさあ。もともと性欲の強い子だったんだけど、それがすんごく強化されちゃって。とにかく女のことしか考えてないの。女の拷問用の子なんだけど、あなた、好きでしょ? こういうの」
「き、貴様、一体何を……」
「ゴンザレス、好きなだけ犯してあげて。彼女、好き者よ」
「うごごごごごっ!!!」
ゴンザレスは大きな声を上げながら恐怖に包まれるランジェリカに向かって行った。
「いやあ、やめてえええ!!!」
バン!!
「きゃあ!!」
ゴンザレスはランジェリカのブロンドの髪を掴むと、その横顔を殴りつけた。悲鳴を上げるランジェリカ。そして手を振り解き背を向けて逃げ始めると、ゴンザレスはそれに興奮し真っ赤な顔になって追いかけ始めた。
「きゃはははっ、いいざま!! クリーンリリムが男に悲鳴を上げるなんて!!」
レスターは大きな声で笑うサティアを抱きしめて、その首を舐め始める。
「だめぇ。ちょっと、まだおあずけよ。レスター。ここじゃ嫌っ」
サティアはレスターの首を指で撫でつつ甘えた声で言う。レスターがサティアに言う。
「じゃ、じゃあ今すぐ王都に帰ろう。な、いいだろ?」
レスターは聞き分けのない子供のような顔をして言った。サティアが答える。
「そうね、ここの稼働にはまだ時間が掛かるし。いいわ、戻りましょ。そして……」
そう言いながらサティアは手の甲をレスターの前に差し出す。そしてそれを躊躇いなく皆の間で舐め始めるレスター。
そしてふたりは配下の者にここの処理を命じると、そのまま体をべったりとくっつけながら工場を去って行った。
「いや、いや、やめてよ、やめて……」
取り残されたランジェリカがゴンザレスから必死に逃げる。ゴンザレスはそれを逃げるウサギの様に興奮しながら追いかけた。
一方、レスター達とは別の道で工場に向かっていたクレスト達が、準備を整え再び工場へ辿り着いた。クレストがマリアとアーニャに言う。
「ふたりとも準備はいいか?」
「んんあああ、ク、クレスト先生っ、私に、何の準備をしろって……」
頬を赤くし体をクレストに擦り付けてマリアが言う。
「ク、クレスト。触ってにゃ、ねえ、アーニャを触ってよおお。もう我慢できないにゃぁ……」
アーニャもクレストの手を持って自分の体に触れさせようとする。慌ててクレストが言う。
「いやいや、待て待て! だからちょっとだけ我慢しろって、い、言っただろ!! さ、行くぞ!!」
「ああん、待つにゃあぁ、クレストおお……」
(ちょっと強く掛けすぎたかな……)
クレストはそう思いながらフェンリルと共に工場へと入って行った。
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