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しばらく待っていたら、小野先輩は来てくれた。試合後だというのに、本当に来てくれた。小野先輩はいつどこから見ても、やっぱり素敵だなぁ。彼は私の前に立ち、「やあ、待ったかな」と爽やかに聞いてくれた。呼び出してしまったのは私なのに、待たせていないか私の心配もしてくれるなんて……。
それと同時に胸の鼓動は高鳴る。
「あの、急に呼び出したりして、すみません。」
「ああ、いいよ。」
「優勝おめでとうございます!」
「あ、見てくれてたんだ。ありがと。」
「ああの、格好良かったです!すごく、」
先輩に告白するときのイメージは何度も頭の中で練習をしたから、きちんと言えるはずなのに、うまく言いたい言葉が出てこない。(言うんだ由夢!何のためにここまで先輩を呼び出したのよ!)
「あ、あの!小野先輩、私、先輩のことが好きです!」
やっとの思いで小野先輩に打ち明けた言葉は、意外に大きく響いてしまった。でもこれなら彼にも私の声は間違いなく届いただろう。やがて少しの沈黙の中、彼はゆっくりと口を開いた。
「君で何人目かな。」
「……はい?」
「君みたいに平凡な子から何度も告白されてるけど、いちいち名前も覚えられなくてさ」
今、私は彼に侮辱されているのか?なんだか彼が何を言っているのか、理解するのが追い付かない。彼は髪を華麗にかきあげて、ふっと笑った。
「どいつもこいつも同じことやるけどさ、君も俺に告白して、少しでも付き合えると思ったわけ?」
「え……そんなことは!ただ私は先輩に気持ちを伝えたくて……」
「みんな身の程を知っているなら、この俺に告白するなんてありえないよな。俺みたいなレベルになれば、彼女にしたい人なんて選び放題なわけ。だから今俺に彼女がいないのは、俺にふさわしい女がいないから。そんなことも君たちはわからないわけ?」
そんな……、あの爽やかで優しくてイケメンな先輩が、こんなにひどいことを平気で言う人だったなんて……、私の心を一体どこまで傷つければ気が済むのか。
「そのレベルで俺に告白しようなんて、100年早いな。俺に告白したかったら、少しは美人になる努力でもしてくるんだな。」
彼は散々毒を吐き続けて「じゃあな」と面白おかしく言い残し、私のもとから去っていった。小野先輩のありえないくらい自信に満ち溢れて、女の子たちを侮辱する言葉に、思考停止してしまった。言葉が出てこない。