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まじわらないハーモニー  作者: 時雨
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高校生のころに実際に書いた小説を、28歳になった私がもう一度書いてみようかなあと思いました。。。まだスマホやラインがない高校生のお話です。


 「キャー!ナイスシュート!」

ゴールに入った瞬間に、体育館は一気に黄色い声に包まれる。ゴールを通り抜けてバウンドするボールの音も響き渡る中、私は「小野先輩かっこいい!」と思わず叫んでいた。この暑い中、こんなにも女子が集まるのは他でもない、学年一モテる男、小野哲也先輩を応援しに来たからだ。小野先輩が所属する男子バスケ部は、他にも人気な人はいるけれど、小野先輩は圧倒的人気を誇る、わが校の英雄なのだ。しかも今日は高校生にとって貴重な土曜日。それにも関わらず、女子たちは小野先輩目当てに体育館に一直線なのだ。どこの女子も小野先輩を見つめてうっとりしている。タオルで汗をぬぐって、スポーツドリンクを一気に飲み干す姿も男らしくて素敵。実は小野先輩のファンクラブまである。高校にファンクラブがあるなんて、心底びっくりしたが、それほど小野先輩に近づくことは容易いことではない。常に周りの目を気にしなければならないのだ。そのせいもあり、小野先輩に告白する子は続々とやってくるが、彼には高校生活で一度も彼女を作ったことがないらしい。噂だから、影でこっそり付き合っている可能性もあるが……。当然私も小野先輩に話しかけたことすらない。小野先輩は高校3年生の受験生なので、今年の夏の試合が終わったら、部活を引退しなくてはならない。そうなってしまえば、ますます彼を見つめることも難しくなってしまう。だから私は決心したのだ。今日の試合で、小野先輩のチームが勝ったら、私のこの思いを伝えようと。

 小野先輩が素晴らしいシュートを決めて、再び会場が沸き上がった。私はそれを見て大興奮してしまい、親友の満に抱き着いた。


「やったー!小野先輩のチームが勝ったよー!」

「やったね由夢!最後の試合で小野先輩が無事に勝てたねぇ」

「うん!これで……これで私……」

「OK、頑張ってきてよ由夢!」


満が私の背中を軽く押し、幸運を祈るという指言葉を私にくれた。ありがとうと目でアピールして私は体育館をあとにした。


 二つに結んだ長い三つ編みが、風に乗って揺れる。私は小さいころからお転婆で、やんちゃで元気いっぱいの女の子だったから、小野先輩に振り向いてもらうためには、おしとやかで清楚な女の子にならないとダメだと思い、高校生になってから、イメチェンをしてみた。だけど中学生のころまでは髪を短くしていたから、ここまで伸びるのに1年はかかった。高校2年生になって、ここまで三つ編みができるようになったのだ。この長い髪は今では私の自慢の一つ。小野先輩にきれいな髪だとほめられたくて、シャンプーも少し高めのボタニカルに変えてみた。


(ふう、これでよし。いいぞぉ由夢!あんたはやればできるわ!)心を落ち着かせるために、自分に言い聞かせて、誰にも見られないように、小野先輩の下駄箱に手紙を置いた。手紙にはこう書いた。「話があります。〇〇に来てください。橋本由愛。」


手紙を置いて私は一目散に早足でその場をあとにした。小野先輩に告白するシーンは頭の中で何度も練習をしたんだ。私ならできる!そう信じて今日は直球勝負をするのだ。


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