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金策最高!

 鉱山採掘を始めてから十数日が経った。

 最初は馬を借りていたので長居は出来なかったため、鍛冶屋に渡す分の鉱石と売る分の鉱石を採掘し、フォルテシアに戻っていた。二回目の鉱石を換金した時、お金にも余裕ができた。残った鉱石は武器や装飾のグレードアップに使う。本体の強化もできるなんて。最高だね、金策。


 二回の移動によって、私は学習した。馬を借りると何日も鉱山に居座ることはできない。なら、不定期でも商人や鉱山で働く人の馬車に乗せてもらえばいいのだ。これで好きな時に帰れる。

 自分たちの馬は今回貯まった鉱石を換金した後に探そうかな。


「ふう……しかし吾輩は労働をするために仲間になったわけじゃないでありますよ」

「飽きちゃうからたまに冒険もしてるじゃん」


 そう、ただ毎日採掘をするのでは飽きてしまう。いや、冒険をする欲があふれ出てしまう。なので、二人には定期的に冒険に出かけるという条件で採掘をしてもらっているのだ。


「何の成果も、得られてないであります!!」

「ねー、お肉も無限にあるわけじゃないし、熊肉も飽きてきたし……」

「むむむ……確かに魔獣と戦えてないか……」


 時折現れる石のゴーレムも、私のパンチで割れるし、魔獣と戦う、という経験を詰めていない気がする。

 これは大問題だ。いざというときに戦えなかったら元も子もない。あと私も戦いたい。掘れば掘るほどお金が増えていくという作業は最高に楽しいのだが、それはそれとして魔獣と戦いたいよ。


「んじゃあ冒険しに行く? 食料調達も兼ねて」

「どうせなら確実に何かしらの成果が得られる冒険をしたいであります!」

「どうやってよ」

「反対側には鉱山で働いている人たちがいるであります! こういう時の情報収集は聞き込みに決まっているでありますよ!」


 確かにここの反対側には鉱山で働いている人たちがいる、その人たちはずっとこの鉱山に住んでいるのだ、魔獣の目撃情報の一つや二つくらいあってもおかしくない。


「なるほどね。それじゃあ……」

「吾輩が聞き込み調査に行ってくるであります!!」

「えっ!?」


 ポコの驚きの声に我に返る。えっ、あいつ一人で聞き込みに行くつもりなの? いや全然かまわないけどさ、私たちも別のことやりたいなーくらいには思ってたのに。

 あと、問題は鉱石の収納場所だ。大量に採掘しても、運べる人がいなければそれはただの石ころだ。魔力を含んだ石を大量に転がすのも危ない。


「ちょっと! 誰が鉱石集めるのさ!」

「戻ってきたら全部しまうでありますよー!!」


 どんどん遠くなっていく声に脱力する。隊長らしいことをしたいのだろう、なら、今回は隊長に任せようか。

 鉱石が大量に転がって集まる程度の魔力では何も心配は要らないだろう。


「行っちまいやがったよおい」

「どうするの?」

「採掘するしかないでしょ。あ、どうせだしレア鉱石探そうよ」

「いいねそれ!」


 レア鉱石、この鉱山で採掘できる鉱石は鉄鉱石とミネナライト鉱石くらいだ。ミネナライト鉱石は鉄鉱石の上位互換のような存在だ。これと鉄鉱石を混ぜるとコストを抑えながらミネナライト鉱石単体で加工するよりも堅くなるとか。かくいう私のナックルもミネナライト鉱石を混ぜ込み強化されている。つよつよだ。

 ミネナライト鉱石は重要なのだが、レア鉱石とは少し違う。この鉱山のレア鉱石は深い青色の透き通った石だ。鉱石というよりも、宝石だが。

 とにかく、そのような宝石が高値で取引されているのだ。短時間で探し出せれば丸儲け、という寸法だ。冒険を前に疲れ切ってしまっては意味がない、楽して稼ごうね。


「えーっと、埋まっている鉱石を掘るときはヒビの入っている壁を崩すように、だったよね??」

「そうだね、なるべく山を崩さないようにピッケルを振り下ろさないと」


 鉱山とは言われているが、地中に埋まっている鉱石の採掘はあまり行われていない。いや行われてはいるのだが、あまり推奨されていないのだ。急遽鉱石が必要になったときや、採掘場所の拡張くらいにしか掘られない。

 特に珍しい鉱石はなかなか壁から出てこない。鉱石の成長が遅いため、壁を貫通してこないのだ。だから、若干膨らんでいる壁を掘って手に入れる必要がある。正直プロじゃないので膨らんでる壁とかよくわからない。


 元々洞窟の入口あたりで採掘をしていたのだが、ピンとくる壁がなかったので少しだけ洞窟の中に入った。暗いが魔術でどうにかなる。

 そんな洞窟で、ヒビの入った壁を見つけた。早速掘ろうか。と言っても、簡単に見つかるものではないけどね。ちょっとした遊び心だ。


「記念すべきひと振り目、いかせていただきます!」

「やっちゃえ! えっちゃん!」

「そぉい!」


 ピッケルを振り下ろす。ガキンとヒビが広がり、壁の一部が崩れる。

 思ったよりも脆いな、中に空洞でもあったのかな? なんて思っていたが、中から現れた光に目を疑う。


「おぅ……」

「ぅぇ……?」


 崩れた壁の中から出てきたのは、青く光る宝石だった。

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