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ご存知ないのですか!?(まあわたしもよく知らないけどね)

 紹介状と武器を渡された私達は、お城まで歩いた。

 お城……フォルテシア城の入口付近まで行くと、兵士に止められてしまう。


「何者だ」

「一応紹介状があるんでこれ見てください」


 紹介状を兵士に渡す。

 内容を見た兵士は疑いながらもそこで待っていろと言い城内に入っていった。本物かどうか確認をしているのだろう。

 やがて奥から兵士が戻ってくる。


「要件を聞かせろ。上の者に伝える」

「いえ、伝言があるわけじゃなくて……デクセス? の討伐隊に参加させてほしいんです。素材を取ってきてほしいと言われまして」


 これは嘘ではない。武器を加工する素材を手に入れることが第一目的だが、値段を安くするから必要以上の素材も持ち帰ってほしいとも言われたのだ。

 だから、今の私達の立場は鍛冶屋から素材収集を依頼された人間。城にはコネがあるのだろう、多少の融通は利くらしい。


「なに? ……ついてこい」


 私が腰につけていたアイアンナックルと、ポコが背中にしょっていたマジックボウを見た兵士は、魔獣用の武器を持っているからかすんなり城内に通してくれた。


「おい、門の警備はどうした」


 城内のとある一室。そこにはたくさんの人が集まっていた。

 全員武器を持っている。巨大なハンマーや大きな槍、大剣など様々な武器だ。武器屋で見たあの素の状態の武器ではない。魔獣の鱗や牙、爪、角などで加工された武器だ。


「お客様だ。城下町の武器屋からの依頼で討伐隊に同行したいんだとよ。もう一般の募集は終わってるが、人数は多い方がいいだろ?」


 一般の募集をしているのか。というか、基本が一般の募集なのかもしれない。魔獣を倒して生活をする。旅をしなくてもそういうことを仕事にしている人はいるのかもしれない。


「まあな。どうせ数人のチームの集合体だ、後から加わっても問題ないさ」


 私達のように、誰かと協力して狩りをするのだろう。

 だが、それは先に決まっていた相手とだ。ここにいる全員がチームプレイをするわけではない。


「よく集まってくれた狩人達よ。これよりデクセスの討伐に向かうわけだが、出発前に改めて確認をしようと思う」


 なんか、心躍るね。こう、魔獣狩りをしに行くんだと実感する。私もポコも、重々しい空気というか、屈強な男たちの中に混ざっていることにより緊張で声が出ない。

 デクセスの解説が行われる。私もフォルテシア城への移動中に確認した。デクセスは、巨大トカゲの魔獣だ。特徴は大きな爪なのだが、飛びぬけて爪が大きいだとか、そういうわけではない。他にも爪が巨大な魔獣は多く存在する。

 魔獣の中では珍しく群れで行動する魔獣で、比較的よく発見される。尻尾と爪に気を付ければ、初心者でも狩ることができる魔獣だそうだ。


 解説と共に脳内で事前に知っていた情報を照らし合わせていたら、解説が終わった。


「現地に到着したら、各自即座に狩りを開始するように。では乗り込め!」


 城の裏口に出ると、大量の馬車が止められていた。そこに狩人達が颯爽と乗り込んでいく。私達は元々同行する予定ではなかったので、荷物が積んである馬車に乗り込むことになった。

 窓から外の景色を見る。二度目の馬車だが、今回はゆっくりできる。平和だ……揺れはあるがそこまでではない。まったりこの時間を楽しもう。


「緊張しちゃったよー」

「ほんとにね。狩人……っていうのかな? あの人たちがつけてた防具もすごかったよね。鱗とかが加工されてたりさ」

「魔力障壁を高めたら安全だからねー。そのうちもっと強い装備も欲しいねー」


 魔力障壁。聞きなれない単語がポコの口から出てきた。

 なにそれ、なにその重要そうなワード。


「待って、防御魔力って?」

「え、ご存じない!?」

「煽ってない?」

「あはは、まあわたしもそこまで詳しいわけじゃないんだけどね」


 じゃあ、知らないんですかー? ぷぷぷっ、みたいな反応やめてください。わたくしのような田舎者には都会人の常識は毒なのですよ。


「魔力障壁っていうのは、わたしがバリアを張った時みたいな魔力の壁だよ。魔獣みたいな特別な生き物からとれる素材で防具を作れば、魔力が強化されて外からの攻撃を防いでくれるの。強い魔獣ほど強化されるから、武器と同じように防具も加工するべきなんだー」

「生存率が上がるってことか……」

「魔力障壁は魔獣にもあるから、何度も攻撃して魔力を削らないと刃が通らないよ。ラピットスはそもそも魔力が少ないから刃が通りやすいんだってさ」


 そういえば、魔獣の本に魔力を削る云々が書いてあった気がする。事前に知識が無いと何言ってるかわかんないよ……。

 魔獣との戦闘をする前に、かなり重要な知識を得てしまった。知らないまま戦ってたら戦闘中にポコに言われて知ることになっていたのだろうか。


「じゃあ、とにかく攻撃を当てることを考えて戦わないとか……」

「わたしが弓で削って、薄くなったところをえっちゃんが叩く、って感じ?」

「そうなるね。連携難しそぉー」


 私ももちろん魔力を削る攻撃はするが、削るのならばポコの弓が丁度いいだろう。模擬戦闘の時に消費した魔力は、国から支給されたポーションで回復していたし問題ない。

 魔力を回復するポーション。これも大事になってきそうだ。それこそ、魔力障壁を回復させるのにも必要になってくるはずだ。

 そこはポコの錬金術に期待しつつ、私は目的地である森を見ながら武器に手を掛けた。殴るのだから魔獣と近距離の戦闘になる。緊張するのはいいが恐れてはいけない。


 私は改めて覚悟を決めた。ハッキリと相手が魔獣と認識した状態での初めての戦い。絶対勝とう。

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