おにく1/2
「美味しい……やっぱり鳥の肉は美味しい……」
今私は馬車の荷台で、荷台内で死んでいたソニックバードを解体して食べている。
鳥肉は脂っこくないから無限に食べれるよね……それに固いかと思ったけど柔らかいし。最高。魔物じゃなくてよかった。
「んーおいしー!」
「肉を焼くのはいいけど、馬車ごとこんがりは勘弁してくれよ?」
「気を付けます。あ、食べます?」
「食べるけども」
ソニックバードの死体はモーゴンが食べてくれるだろう。
牛なのに肉食……そこはドラゴンの要素が大きいのかな?
「にしても弓がこんなに変な武器だったなんて。もっと、普通に射って終わりだと思ってた」
「弓だけじゃなく、剣とかの武器も魔獣用は特殊だよ? どの武器が自分に合うか、試さないとわからないから。わたしも魔術だけじゃなく武器があった方がいいよねー」
「ならこういう弓とかがいいんじゃない? 錬金術の応用がしやすそうだし」
「そうだねぇ、杖だけじゃ魔術は遠くに飛ばせないし。遠距離攻撃の武器がいいね」
ポコが遠距離攻撃、私が近接攻撃。
遠距離攻撃と言えばどのような武器が思いつくだろうか。まず弓、そしてボウガン、次に銃。このくらいかな。
弓とボウガンは似ているので先程のような戦闘になるが、銃はどうだろうか。
異国で発明された銃。話によれば、指を少し動かすだけで鉄の塊を発射できるのだとか。
その他にも、魔力を弾として撃つことができる銃もあるとか。実際に見たことはないが、そうとうヘンテコな武器だろう。
「まあ、わたしも詳しいわけじゃないんだけどねっ!」
「何も知らないね私達。まあ、身の丈に合わないことをしなければ何とかなるでしょ」
「そうそう。あっ、あれ城下町じゃない?」
「おおっ見えてきた見えてきた。なにあの建物でっか……」
田舎者にはポコのいた街でさえ栄えてるなという印象だったのに、城のある街ともなれば理解が追い付かない。え、あのお城ってどうやって作ったの。
そんな期待と恐怖を抱えながら、私は城下町フォルテシアに向かう馬車に揺られるのだった。
* * *
商人のおじさんと私達は無関係なので、街の入り口付近で降ろしてもらった。
持ち物検査を受け、街に入る。思ったのだが、この場合変な持ち物といったらどのようなものになるのだろうか。ダガーやナイフは普通に持っている人が多いだろうし、それこそ大きな剣とか?
またはどのような人が外からやってきたかなどを偉い人に報告する、みたいな。
そうなると旅人と魔術師が街に来たと報告をするのかもしれない。
「やることリストから考えると……まずは武器。その後に転移クリスタルかな」
「でも、武器を買えるだけのお金はあるの?」
「…………うん、ないね。まずいね。まずいよこれ!」
お金ないじゃん! いや生活ができるだけのお金はあるけど、武器なんて高価なものを新調できる額なんて持ってない。
「お金……あ、毛皮と角は?」
「それだっ、早速売りに行こう……と、その前に武器の値段だけでも確認しないとね」
武器屋を探すが場所がわからない。なので鍛冶屋に向かう。黒い煙が上がっていて、とても分かりやすかった。
鍛冶屋の前まで移動すると、真っ赤に燃える釜? のようなものや金属の台が置かれている作業場があった。いかにも鍛冶屋といったところ。道具の名前までは知らないのでどうやって作るのか私気になります。
「あ、隣に武器屋があるよ!」
「ほんとだ、よく考えたら当然か」
完成したらすぐに売りに出せるのだから、武器屋を隣にした方が楽だろう。または、鍛冶屋が武器屋と鍛冶の両方をしているとか。
じゃあ早速武器屋にお邪魔し……んん? なにやら鍛冶屋に大きな皮と尖った何かを持ち込んでいる人がいるぞ。
「おう爺さん、ブルファングスの皮と牙だ。これで武器の強化ができるか?」
「皮は装備じゃろう。牙を武器の加工に使うが、構わんな?」
「ああ、ほらよ」
鍛冶屋にいたおじいさんに、ゴツゴツした鎧を着た人が大きな剣を渡している。
ああ、あれが鍛冶屋のやることか。セルコンさんが鍛冶屋と武器屋の両方の名前を上げた理由が分かった。素材があれば持ち込んで武器を作ってもらったり強くしてもらえるのだ。
「ん? どうしたんだいお二人さん」
あのおじいさんに話しかけようか迷っていると、水色の服を着たお兄さんが声を掛けてきた。
石……いや、金属を運んでいるのだろうか。
「えっと、武器が欲しいので鍛冶屋さんに頼もうかと……」
「それなら武器を買って、それを強化してもらった方がいいよ。武器は僕の店で売ってるから、よかったら見て行ってね」
「武器屋さんだ! えっちゃん、丁度いいよ!」
武器屋、隣のお店か。
確かに今ある素材で武器を作ってくれと言われても、困るだろうな。金属が無いのだから。
元となる武器を先に購入して、それをさらに加工して武器にする。おそらくこのような手順なのだろう。
「そうだね。じゃあ、見ていきます」
「よかった、案内するよ」
武器屋のお兄さんに案内され、店内に入る。私に合った武器、私に合った装備。それはこの先、長い時間を掛けて完成するのだろう。なら、私の相棒はここから始まるのだ。




