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ソロモン校長の七十二柱学校(打ち止め)  作者: シャー神族のヴェノジス・デ×3
第?章 ????編
64/88

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ふと、瞼が開く。すると、見覚えのある個室の中で目覚め、俺は上半身を起こす。

 縦式に開く機械のノートに黒光りのテーブル、機械で光る電灯、魔界に存在しない文化物。ここは、度々謎の人間界へ召喚される作家の部屋。俺の物語が小説に書かれ、それが売り物にされている謎の世界だ。つまり、俺の物語や運命を操作する作家や、それを読む者が存在する地でもある。俺はいつの間にかこの世界へ召喚され、目覚める度にこのベッドで起きる。

「今度はなんだ……」

例のごとく、カタリキヨ レアがいつもの席に座り、機械ノートに向かって、小説内に起きる運命の文章を書いている。

 カタリキヨ レア曰く、奴ら作家には『書いているときに感じる優しい背後霊』と、『書いてないときに感じる怖い悪霊』が居るという。書いている間はどうやら俺が召喚されるらしい。見守っていろとでも言いたいのか? だから一人だと心細いから、他の作家を集めて書いているだとか。だから、以前に召喚された時より、機械ノートが三つから五つに増えている。つまり人も増えているということだろう。

 そして、ツルギガミチ アヤバとクサムラ アリサが書く小説の主人公とこの部屋で出会った。二人の作家もカタリキヨ レアを挟んで執筆に没頭している。

「機械ノートと人が増えてる……」

度々召喚されて初めて、作家とみられる男性二人を見た。一人は筋肉モリモリと、もう一人は脂肪分たっぷり。その二人も同様に機械ノートの前に座り、同様の作業をしている。

 合計五人の作家がこの部屋に集っている。おそらく作家が書いているということは、前に出会った女性主人公二人や、新たなに召喚される者もこの謎の人間界に召喚されているはずだ。

「まっ、まずはカタリキヨ レアの小説を見てみるか……。この先の運命に何が書かれている」

俺たち善魔生徒会の物語や激闘、あれこれ全て、カタリキヨ レアの文章に無意識に従っている。この作家が書いた文章が、俺たちの現実として起きるというわけだ。

 前は俺が瀕死の時、ウァサゴ犬にトドメさされそうになったのを、事前に俺はこの先の文章を読んでしまった。その文章がありのままに現実と化し、俺は勝利を掴んだ。運命を読んだから勝ったのではなく、運命に強制的に従われるままになった。運命の文章には意識すら逆らうことが出来なかった。まさに台本通りに事は進んでしまった。全て作家の操作された運命に。

 ベッドから降り、堂々とカタリキヨ レアの背後に立つ。レアは全ての指で、機械のボタンを無駄のない動きで打っていく。打たれる度に高速で文字が縦列に画面に現れ、あっという間に文章の群れを成す。

 作家が感じる霊は、あくまで優しさが伝わるだけで存在そのものは全く見えていない。声や物音ですら感じない。だから運命の文章を事前に読むことができる。これで実質未来予知しているようなものだ。意識は固定されて未来を変えることができないが。

「……っ! メ、メナリクが魔界になど……!?」

アプロディーテが急いで魔界の聖域に降り、暗殺部の元部員アムドゥなんとかがメナリクが住む国に着陸だと、報せを受けたところで俺の記憶が終わった。目覚めたら謎の人間界に。報せを受ける前はメナリクは人間界に居た。なのに、運命の先は魔界に引きずり込まれている。アムドゥなんとかめ、よくもメナリクを魔界へ連行したな。

「許せん……! だが、メナリクが魔界に連行されたのでは、もはや国盗りは意味がないな……」

偽王国を乗っ取り、人間界と魔界の間にある世界の壁を排除し、俺が人間界に行ってメナリクを護るという計画はもう使えない。メナリクがヤロベアムの手元に渡った以上、俺が天界の王子として裏歴史の魔王ヤロベアムを倒さなければならない。メナリクには、魔界のような劣悪な地獄かんきょうは来ないでほしかったが、仕方あるまい。なぜなら、連行したのは悪魔アムドゥなんとかだが、そういうふうに運命をそうさせたのは作家カタリキヨ レアなのだから。

「……とりあえず、今は一早くここに出たい。どうすれば元の世界へ帰れる」

毎度のこと意味が不明なのだが、カタリキヨ レアが書く小説のキャラクターの俺が、カタリキヨ レアがいる謎の人間界へ召喚されなくてはならないのだ。他の作家やキャラクターらもそうだ。なぜ作家と読者が住む世界へ、キャラクターが召喚されるのだ。この世界の意図はいったい……。

 瞼を閉じても帰れない。このカタリキヨ レアが書き終えるまでは俺はこの世界に残りそうだ。

 とっ、そのとき。背後の扉が開かれた。咄嗟に振り向くと、青紫色の長髪に大きな櫛と小さな王冠を付けた女剣士と、黄金のビキニアーマーで大きな乳の肌をさらけ出す女騎士が入室してきた。

「おっ! レハベアムー!」

「ワユ・アースサノに、セロコック・スキールニリ・ストゥルルソンだな」

「私の名前覚えてくれてたんだね。レッハー」

「久しぶりのようで久しぶりではない感覚だが、また会えて助かった」

ツルギガミチ アヤバが書く小説の主人公ワユ・アースサノに、クサムラ アリサが書く小説の主人公セロコック・スキールニリ・ストゥルルソンだ。この二人は見た目的に印象や個性がかなり強い。

「ああ、ところで作家が二人増えたようだ。ということはつまり、新たに二人の者がこの世界に召喚されている可能性がある」

ワユにスキールニリは既に召喚されていたんだ。当然、初めて見る男作家二人を目視しているはず。となればこの考察は誰にでも行きつく。二人は頷き、スキールニリが言葉を発した。

「ああ、実は廊下でそのような痕跡があったのだ」

「なに?」

「私たちもついさっき召喚されちゃったんだけどね、とりあえずスキールニリと外に出ようと思ったんだ。そしたら、玄関の床にこれが落ちてたんだ」

ワユが拾ったという物を掌に広げ、俺に差した。その手には、青い布とマグナムがあった。

「落とし物というわけか」

「ああ、もしかしたら、男作家二人に関連した、新たな召喚された者が既に外にいるかもしれない」

この部屋にやってきた男作家二人に連なるキャラクター二人は、外に調査しに出かけた可能性を見る限り、玄関に私物を落としたようだ。ワユやスキールニリはその後に召喚だったということか。

「では俺たちも早速調査しに行こう。俺もこの謎の人間界に興味がある」

ワユやスキールニリは以前に外に出かけていたようだが、何気に俺は初めてだ。いったい、謎の人間界には何があるのだろうか。俺が行きたい人間界とは何が違うのか、この調査で真相を掴みたいところだ。

「うん行こ行こ!」

ほぼ初めて出会う俺たちだが、ワユは隔たりなく自然に明るく元気に振る舞う。先頭に立って扉を開け、無邪気に先走って廊下を走る。続いてスキールニリと俺も廊下を渡り、外に出た。

「これが……人間界」

カタリキヨ レアら作家が住んでいる家の外からは、目の前に歩道や車道があり、人や動物も極々当たり前のように歩道を通っている。周りには家が立ち並び、得体のしれない機械たちが住宅街の風景に当たり前のように溶け込んでいる。日当たりもよく、活力に満ちた平和な住宅街だ。

 だが、通行人や犬、猫、鳥、何から何まで生き物は、俺たちを一切見ない。いや、見えていない。ただでさえスキールニリの鎧は注目を浴びやすいビキニアーマーだ。それすら浴びないとなると、やはり作家だけならず謎の人間界の住民は俺たちを見えていない。

「ふぁあああああ、なんか良い平和そうな街だね。なんかこう、異世界感というか」

ワユの語彙力の無さには少々笑えるが、なんとも言い難い気持ちはよく分かる。俺のような人間界を知っている者と、人間界を知らない者、そもそも人間界に住んでいる者の見方は三百六十度違うように見えるはずだ。

「俺たち異世界人が見たらこの風景は、元の世界と投影したら異世界に感じるだろう。だが、この世界に住む人たちは、当たり前の風景にしか見えない」

「……私には、ここがミズガルズにしか見えない」

スキールニリの発言に、俺とワユははてな気味に反応する。

「水ガルズ?」

「それはいったいなんだ」

「ああすまない。ミズガルズは、異世界風に言えば人間界という意味だ。そう、人間のお前たちのことだ」

異世界に立ち寄れば異世界風という言葉ほど分かりやすい言語はない。スキールニリが住む世界特有の言葉があるということか。

「なるほど。確かに俺は人間だ」

「逆に人間以外何者でもないね私」

「だが、どうやら私が知るミズガルズと、ここのミズガルズは何かが違う」

「ああ。全くの共感だ。俺が知る人間界とは、違う雰囲気がある」

そもそも、この俺が人間界に召喚されるはずがない。獄立ゲーティア高等学校の卒業証書を持っていない時点で、この俺が人間界に行けるはずがない。なのにされている。小説とされている世界の運命を書く作家がいる以上、ここは異なる人間界だ。スキールニリも、元の居場所で人間界ミズガルズを知っているようだが、謎の人間界ミズガルズとは異なる雰囲気があると察している。

「……ん? そういえば一つ気になることがある」

異なる人間界というワードで、俺の中に一つの疑問が生じる。

「なにぃ?」

「……俺がいた世界では、人間界は魔法や能力が使えないと教えられた。だが、ここはさっきも言った通り俺が知る人間界とは似て非なる部分がある。ここは異なる人間界だ。では、この地で魔法を詠唱すると発動するのか、という疑問だ」

女神王アプロディーテは人間界は魔法や能力という概念が存在しないため、それらは発動しない。そのため銃を持たない人間は非力なため悪魔の恰好の餌にされる。が、ここは魔界からやってくる悪魔が存在しない世界。更にはカタリキヨ レアが書く小説内の人間界は、所詮舞台の設定でしかない。となるとこの異なる人間界では、魔法や能力は発動できるか否や、非常に気になる。

「なるほど。つまり、レハベアムや私が知る人間界と異なる人間界。魔法や能力の発動の有無で、異なる部分を知れるということだな」

「ああ」

「えっ、魔法? レハベアム魔法使えるの?!」

魔法というファンタジックなワードに、胸を躍らせて眩しい期待の瞳で俺にギラギラと睨みつける。

「まあな」

では早速、いつも通りに右手にレメゲトンを出す感覚を頭の中で搾る。すると、右手に魔法陣が出現。魔法陣からレメゲトンが右手に落ち、それを掴んだ。

「ええええすっごおおおおい!」

ワユは魔法陣から魔術書レメゲトンを召喚したシーンを、まるで疑似的ファンタジー劇場でも見たかのように楽しそうに驚く。

 レメゲトンの出現による魔法陣の時点で、もう答えは知ったようなものだが、念のため魔法の詠唱までしてみよう。ついでに、紙ドクロの群れを飛ばし、先に人間界を調査した可能性がある二人の行方まで調べてみたい。

「我は、太陽の道にて死した三百六十星の屍なり。魂兵の憎悪を受け入れよ」

詠唱は完了した。するとレメゲトンから紙が散らばり、紙々が自動的に紙ドクロと化した。

「おおおおおおおおめっちゃカッコイイ……」

魔法の成功に、ワユは純粋な子供のようにはしゃぎ感動している。

 やはり、ここ謎の人間界は、俺やスキールニリが知る人間界とは異なっていることが判明した。作家がいるこの謎の人間界は、小説内の人間界と異なっている。

「やはりか。ここは、作家と読者が存在する人間界。俺たちのような小説内から謎の力で召喚されたキャラクターからすれば、言うならばここは読者世界というわけか」

小説の中の人間界と、読者が住む人間界。二つの世界が異なるのは息を吸うように当然だ。見た目だけがそっくりで、概念や自然の掟までは完全に異なっている。所詮、小説内の人間界は幻想現実ローファンタジー

「読者世界……なるほど、我々キャラクターが住む小説世界と、我らを読む読者が住む読者世界に分かれるというわけか」

数ある小説世界の住民が、読者世界に召喚された。この読者世界で、誰が何を読んだ。何を誰が呼んだのだ。小説の運命を書く作家の意図は如何に。

「まあいい。そのうち読者世界の真相は後に掴んでやるとして、今は男作家二人から召喚された小説世界の者を探してみよう」

七十二体の紙ドクロは上空に飛んで行き、各々が左右前後と散らばった。

「レハベアム、あの魔法はいったい?」

「第三部『アルス・パウリナ』。あの紙ドクロの視神経は俺本体と繋がっている。紙ドクロが視た映像は俺の脳に直接送り込まれるから、人を探すのに向いているんだ」

もっとも、この魔法は攻撃性能のためにあるのだが、要は使いよう。遠隔操作・監視ができ、群れにもなれるため、人を探すのにも向いている。持続時間は魔力が尽きるまで。

「へええええ凄い便利ぃぃぃぃ。いいなぁ魔法使い。超カッコイイじゃん……!」

「まあな」

さっきからワユが俺にキラキラとした瞳で見つめてくるが、ワユやスキールニリは腰に剣を差している。ということはこの二人は戦う力は持っている。俺はこの二人はよく知らないが、小説の主人公となっている二人はさぞかし強いのだろう。

「……っ!」

ここで俺は見てはいけないものを見てしまい、咄嗟に左手に魔法陣からダーインスレイヴを召喚し、構える。俺の臨戦態勢開始に、二人は驚く。

「け、剣……! しかも魔剣のデザインだわ……! 魔剣士とかかっこよすぎる……!」

「ど、どうしたんだレハベアム」

「……早速聞くが、二人は強いか?」

訂正するが、俺が見たのではなく、飛ばした遠くの紙ドクロが上空から視た映像が、俺に送られた。でなければ二人はその危険なモノを見て警戒はしていない。

「強い?」

「え、まあ、私は剣聖の資格持ってるし、それなりに強いと思うよ?」

「レハベアム、どういうことだ。きちんと説明しろ」

「……魔獣がこの先にいる。しかも大きい……!」

作家の家から左歩道ずっと奥の都会に、禍々しい異形のモンスターが、異空間ホールから現れた。全身は黒色の肌に染まっており、膨れ上がった腹に口が生え、頭には一つ目しかない。その周囲にいる人間たちは、その魔獣の突然の襲来や形相に慄き、必死に逃げている。その地は平穏が一気に覆された。

 小説の人間界とは異なるだけあって、読者の人間界に魔獣が現れるとは思いもしなかった。ここは、獣が現れるのが自然の掟なのか? だがその割にはここは平穏な雰囲気があった。まるで、突如と飛来してきた宇宙人のようだ。それに怯える人間たちの反応もごく自然。明らかにおかしい。

「ギョエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

獣の雄叫びが遠くの空間まで響き渡る。ワユやスキールニリは雄叫びに驚くよりも先に、柄を掴み、剣身を抜いた。

「……なるほどねぇ。そぉぉぉいうこと」

無邪気で呑気な表情から一変、真剣な真顔に切り替わり、臨戦態勢の鋭い表情に。緊張感はあるが、非常にリラックスした心持だ。

 ワユが持つ刀は、鞘や柄が黄金色だが、刀身も黄金色に染まっている。だが、ただの高価そうな黄金刀ではない。精錬に磨けられた闘気のオーラに満ちている。

「強くないか強いかと聞かれたら、悪いが私は強くない。その代わりだが、私は強すぎる。頼りにしてくれて構わない」

対してスキールニリが持つ細剣は、黄金色のビキニアーマーや鞘、柄も同様に剣身も同じ色に染まっている。だが、剣身には冷気が覆っている。指でも伸ばせば凍り付きそうだ。

「レハベアムが持ってる魔剣。まるで私の世界のアイツみたいに邪悪に満ちている。何より使い手自身の怖い殺気も覆っている。なのに、使い手は優しい雰囲気。二つの事が矛盾してる。ねえ、レハベアムはいったい何者なの?」

俺のダーインスレイヴを魔剣を見破るとは、やはり只者ではないということか。ワユにスキールニリと今から魔獣と戦うとなると、二人の戦闘能力に期待が高まる。

「それを言うなら、お前らも何者だ。だがまあ、今はそんなことどうでもいい。獣を倒すぞ!」

謎の人間界、読者世界。突如と現れた魔獣に人間たちが怯え、恐怖に染まっている。人が助けを求めるのであれば、俺はその声に応じるのが俺流だ。どうやら、この二人もそのようだ。

「ええ」

「ああ!」

俺を先頭に歩道の左へ走り、魔獣の居場所へ向かう。その間、小説から召喚されし者二人の追跡から予定変更し、紙ドクロたちを魔獣の元へ集結させる。魔獣の射程距離に着いた紙ドクロ順から闇のレーザーを放つ。

「くらえ、闇をたっぷりと」

腹口獣の周囲はあっという間に紙ドクロに囲まれ、七十二本のレーザーが全方位から集中砲火を受ける。

「ギュガアアアアアアアアアアグウウウウウウ……!」

闇のレーザーは部位や体内を貫き、腹口獣の反応を見る限りダメージは受けている。だが、口腔には炎が漏れ、それを吐いた。火炎放射は紙ドクロたちを焼き尽くし、焼却してしまった。

「ちっ、炎か」

対してワユとスキールニリは、戦局地での腹口獣と紙ドクロたちの戦いを見れないから、何が起こっているのは分からず、端から見れば俺が虚しく独り言を呟いているようにしか。

「ねえ、何喋ってるの?」

「言ったろう。紙ドクロたちの視神経は俺に中継されている。紙ドクロたちでレーザーを出して攻撃しているが、炎で焼かれてしまった」

「えっ!? あの紙で作ったドクロ、レーザーまで出すの?! もうどんだけカッコイイのよ……!」

「相手は炎を出すのか」

針のように細い剣身から冷気を出すスキールニリの独り言。その時は俺の闇が火を無効化すればいいから、弱点は守れそうだ。

「問題ない。俺に魔力が続く限り、紙ドクロは無尽蔵。いくら焼こうが紙はいくらでも復活する」

右手のレメゲトンを開くと、抜けた部分のページが再生され、再度紙ドクロとして放つ。紙ドクロは浮遊し、俺たちよりも早く魔獣へ急ぎ現場へ直行した。

 火炎を放つ獣だが、魔法攻撃は緩めない。要は火炎の範囲外からレーザーを放てばいいこと。紙ドクロたちは獣から距離を保ちつつ、一斉レーザー射撃だ。紙ドクロたちは口を開け、腹口獣に狙い定めてレーザーを放つ。無数の全方位レーザーに流石の魔獣も対処できないか、行動をしなくなった。

 が、その時。ダメージに耐えながら、腹を上に向け、今度は上空へ大きな火炎玉を放った。雲を貫いた火炎玉はそのまま大空へ昇った。

「ま、まさか……!」

遠い戦場へ走行中でもこちらから確認できた。とても巨大な火炎玉だった。なぜ火炎玉を飛ばしたのか、意味のない行動ではない。計算された動きだった。

 雲の上に大きな爆発音が発生。すると、大きい火の粉が雲を貫き、地上へ降ってきた。言うならば業火の豪雨。雨粒以上の巨大な火の粉が大量に降り、紙ドクロたちを一斉焼却。辺りのビルや建物までも焼いていく。

「小賢しい魔獣め。知性もあるのか」

魔獣が立つ辺りの広い環境はまさに地獄の火炎。黒い煙が空を汚していき、もはや人が住めない環境と化した。

 俺たちが走行中のこの住宅街は不幸中の幸いか業火の豪雨外。だが、早く魔獣を倒さなければこの街も危ない。又、辛うじて、一体だけ紙ドクロが業火から逃げられたことで、まだ中継は繋がっている。常に監視を続け、魔獣の行動を見張らなくては。

「っ……! な、なんだ今のは……!」

突如として、中継に奇妙なものが映った。ピンク色の弾道が横に真っすぐ魔獣に伸び、そのまま魔獣の腹に命中。すると、魔獣の顔にある瞳が瞼で閉ざされ、眠ってしまった。

「なぜ眠ったんだ。能力か!」

ただの弾道でも無ければ、魔獣が眠くなっただけではない。意図的な弾道により、着弾した魔獣が眠らされた行為だ。

「まだだ、能力者が二人だ……!」

眠らされた魔獣を正面に、槍状の蒼い炎が現れた。蒼炎の突進は腹部に強烈に激突。魔獣はその衝撃に強く吹っ飛ばされてしまった。

「能力者が二人? そ、それってもしかして……」

ワユは能力者二人について察した。おそらく、一番目に読者世界へ召喚された者二人だろう。

「ああ、期待大だ。まずはそいつらに落ち会おう」

青い布とマグナムの落とし物を届けるついでに、召喚された者たちと出会い、彼らにもあれこれ話を聞こう。





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