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ソロモン校長の七十二柱学校(打ち止め)  作者: シャー神族のヴェノジス・デ×3
第死章 淫魔護衛編
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死十九話 探索

「ねぇねぇっ! レハが早速全裸になって一階の入浴室にいるってよっ!」

「えっ! じゃあ聖なるベールが消えたってわけ?」

「そうなのよっ! つまり今なら犯せるわっ!」

「行きましょ行きましょうっ!」

「やっと人間の味が知れるのね……!」

サキュバス専門学校の一階にある入浴室に俺の出現情報を流し、人間の性器と精子が大好物なサキュバス共、およそ三億人を入浴室に集中させる。

 三億人の若きサキュバスが集う学校ゆえ、一個一個の室内が物凄く広く、入浴室は全員がまとめて入れる場所だ。そこでサキュバス共は毎日己の身体を泡でゴシゴシと洗い、清潔を保っているようだが、人間単身に三億のサキュバスを集中砲火させれば人間の身体はあっという間に全て吸い込まれてしまうであろう。当然死ぬ。が、それが良く、とにかく全サキュバス生徒を入浴室に集めまくる。

 すると、いつも賑やかで騒々しい廊下や教室がまるで、世界が滅ぶ一歩手前のような静寂な空間と化す。誰一人として余計な者などいない、自由な時間だ。

「さて、と。馬鹿な女共は全員いなくなったな」

十二階の螺旋階段前にて本物の俺と、剣先が真四角になっている、処刑執行用の剣を持つアンリデウスが降り立ち、廊下の殺風景を見る。ちなみに入浴室に出現したという俺とは、第三部『アルス・パウリナ』で作った紙ベアムのことで、いわゆる偽の俺。つまり三億人のサキュバス共は紙でできた偽物の俺に性欲を爆発させていることになる。本当に馬鹿な女共だ。紙製の偽物にまんまと騙されて、初めてのエッチ相手が紙だとは。

「この私さえも可愛い生徒らを騙すことになるなんて……ごめんね皆」

アスモデウスの仇を討ちたいアンリデウスは、この学校の侵入者を倒すために俺に協力。いや、俺が協力させられているというべきか。

「サキュバスたちをなるべく混乱させないように、アスモデウスの殺害や侵入者のことは教えないでよかったな。サイレンして報せれば、生徒たちは一斉に混乱して、侵入者の暴走は勿論、追跡も難しかっただろうし」

ちなみにアスモデウスが殺されたことや、男の侵入者がいるという情報はサキュバスたちに一切流していない。この大事件を大至急報せたら、サキュバスたちは大混乱し、侵入者も驚いて他のサキュバスにナイフを差し出しかねない。余計に被害が広がるだけ。ならば敢えて情報を伏せて、サキュバス共を一旦全員どかして、疑似的に避難させる。見事に偽物の俺の情報に踊らされて、率先して入浴室に直行してくれた。サキュバスの統一思考を利用し、偽物の俺に誘発させ、全員が一つの場所に集まったおかげで、侵入者による被害の拡大は抑えられ、俺たちは探しやすくなる。あとはこの広大な学校内に潜む侵入者を探すだけだ。

「ただ、侵入者はアスモに精液を残したまま立ち去った。自ら侵入したよって教えている自殺行為よ。これを皆に報せないっていう大胆な行動は侵入者も予想外のはず。きっと動きも相当敏感になっているはず」

施設や建物内で何者かが殺されたら、普通は警報を鳴らして皆に重大な危険性を報せるだろう。同時に避難を呼びかけてその危険性から必死に逃げさせる。しかし集団かつ超緊急時のため、皆は困惑し混乱。慎重な動きができなくなる。それを防ぐため、大胆に警報無しでサキュバス共を疑似的に避難させたのだ。当然、侵入者も警報覚悟で隠れて隙を伺っていたはず。なのに警報が出ていない。何かしらの罠や策が転じられていると警戒するのは必然。ここからは俺たちと侵入者との読み合い合戦だ。

「侵入者は俺の後を誰にも気づかれずに追い、俺たちが生徒会室に入ったあとに廊下に残ったアスモデウスが侵入者に音もなく犯され、殺された。この事実から推測するに、奴は音や気配を殺して動くのが得意。更に誰一人として侵入者の姿を見ていない。とすると姿すら隠すことができる能力者と見た」

前に暗殺部の透明人間ならぬ透明悪魔がいたことや、グラシャのような空間そのものに溶け込む能力がいることから、それらに類似した音や気配、姿を消す能力を持っている能力がある可能性がある。

「どうやって探すの?」

俺の背後に追いながらでさえ感知できなかったほどの隠れるのが大得意な奴。しかし俺の闇にかかれば朝飯前だ。

「俺のレメゲトンには第四部『アルス・アルマデル・サロモニス』という、闇を地形に広げる魔法がある。その闇に触れた者は光以外の魔法や能力を封じることができる」

右手にレメゲトンを召喚し、第四部を詠唱する。

「我は、太陽を囲いし星座十二将の皇帝なり。我が支配を受け入れ、光を閉ざせよ」

左足底に魔法陣が出現し、闇の水が噴射した。床に落ちると、生き物のように勝手に床の奥へ進みながら、床を上からコーティングし、どんどんと侵食させていく。

「悪いがこの学校ごと闇に包ませる。闇の洪水をさせれば姿を消す能力者も、化けの皮がはがされて見つかる」

「え、でもコーティングしたらこの学校はずっと黒いまま?」

「魔法を解除すれば問題ない。それにこの魔法をずっと維持させている間にも魔力が切れてしまう。侵入者さえ捕らえれば第四部の魔法は消すから安心しろ」

「よかった……にしてもなかなか不気味な魔法ね」

「闇だからな。さて、じゃあ次は遠隔監視だ。我は、太陽の道にて死した三百六十星の屍なり。魂兵の憎悪を受け入れよ」

次は第三部『アルス・パウリナ』による遠隔監視、遠隔射撃且つ集団・単独共に大幅に動ける紙ドクロ軍団の放出。詠唱したところでレメゲトンから七百二千万ページの紙を分離させ、各々がドクロ状に折りたたまれる。分離した者順から窓の外や廊下の奥に行かせ、三億人スペースもなんのその広大な学校内の各場所へ向かわせる。

「これは?」

「紙ドクロ。それぞれが自動的に分析し適切な行動をしてくれる魔法。この広大な学校内全土にこいつらを拡散させ、侵入者を探す。もし見つければ口からレーザービームを発射して軽く怪我を負わせて行動力を低下させる。その後に俺たち直々が捕らえる作戦で行く」

いくら広すぎる学校内といえども、まず要塞からは出られないし、こっちはいわば一億ページ分の兵力と視野を持つ。俺の魔力が尽きるのも時間の問題だが、闇の洪水から逃げることは不可能だ。時機に見つかる。

「さて、じゃあ俺も行動に移すか」

左手にダーインスレイヴを召喚させ、魔法に任せっきりではなく魔術師が自ら動く。もし侵入者が見つかれば既に行動している俺との距離が近くなるかもしれない。俺は一刻も早くその侵入者を捕らえ、その真相を見てみたいんだ。

「じゃあ私も」

行動を共にするときたアンリデウスに俺は否定。

「それはダメだ」

「どうしてよ」

「いいか、侵入者は俺の後を追って十三階の生徒会室前まで来た。奴の狙いは分からないが、もし俺が欲しい例の物と被っていたら、そいつに奪われてしまう。俺としても痛手だしアンリデウスも真の目的も叶えられないだろう。ここはいわば守りだ。アンリデウスがどいたら生徒会室はがら空きだ」

魔物を寄こすにせよアスモデウスを殺したにせよ、暗殺部の行動はセクハラ行為が目的ではないのは明白。それに暗殺者は十三階の生徒会室前まで足を踏み入れた。もし、俺と同じく天界の王子の冠を目的に侵入したとしたら、生徒会室に続く螺旋階段は守ってもらう必要がある。

「俺は侵入者に近づくために動く。アンリデウスは生徒会室を守るために動くな。分かったか」

それにアンリデウスには血の繋がりを殺された憎しみがある。その処刑執行用の剣ですぐにでも死刑下しかねない。捕らえて奴の目的を吐かせるために俺が倒さなければならない。

「……分かったわ。でも、絶対に捕らえてね」

渋々頷き、納得させることに成功。

「どのみち俺の闇からは逃げられない。が、油断はしないよう気を付ける」

闇は水の勢いで学校全体を飲み込んでいる。そのうえ要塞内で外に漏れる心配もない。七百二千万の監視も渡らせている。むしろ要塞の外へ逃げられる方がよっぽど難しい。

「ではあとは任せたぞ」

とりあえず右の廊下へ進み、無計画に学校内を走り回る。

 現在、七百二千万の紙ドクロは各々が行動し、細かく隅なく視線を飛ばし、厳重な警戒網を張っている。姿を消す能力者がいようが、床や壁に張った闇が能力を打ち消し、どのみち姿を現すのは時間の問題。追い詰められたのは男の侵入者だ。単体とは限らない。複数いようが的を増やすだけだ。

「……? あ、あれは……」

一時の方向、奥の壁に深緑色の固形物が貼られている。走るのを辞めて近寄り、この目で確かめる。その形状は、四角縦長の物体でそれが三つ横に並んでおり、黒いテープに巻かれて固定されている。先端から黄と赤がついた線が生え、真ん中の物体に付属しているメタリックな装飾したものに繋がっている。そして、その下で赤い点滅を繰り返している。

「これは……機械?」

如何にも機械そうな怪しい物だ。少なくとも魔界の生産品ではない。機械といったら人間界のイメージが強いが、そういえば暗殺部との戦闘で奴らは銃を持っていた。銃やこの手の機械そうな物は人間界から密輸している品だ。しかしこの機械の効果は俺も知らない。迂闊に触ると危なそうだ。このサキュバス専門学校なら何でも知っている生徒会長に来てもらって、聞いたら話は早いが、かと言って螺旋階段の前から退かせるわけにもいかない。

「試しに突いてみるか」

それに暗殺部部員が仕掛けたかもしれない実に怪しい物である以上、無視するわけにもいかないし、何より好奇心がある。この触れてはいけなさそうな機械に触れるといったいどうなるのか。

 ダーインスレイヴを上げ、剣先で恐る恐る突いてみる。ゆっくりとゆっくりと近づけさせ、そして突いた。だが、何も反応を示さず、何の変哲もないただの機械物だ。

「……なんだこれ」

好奇心が一気に冷めたその瞬間、赤い点滅が急に黄に変わり点滅が止まった。その僅か零点七秒後、機械物が内側から破裂した瞬間を見過ごさず、咄嗟に剣身から瞬時に硬めた血を放ち、身を防御。一秒になると機械物が爆発したが、鉄の盾にはならずとも硬めた血の分散で辛うじて身の防御には成功。しかしその爆風に飛ばされ、後ろの壁に激突。更に血の破片までも飛び散り、身を守るどころか所々に肉体に刺さってしまう。

「ぶふああ……!」

爆発の衝撃で大きく学校が激震。建築として多大なダメージを負った。

「……ちっ。これを機に機械が嫌いになった。機械に触るような機会はもうないだろう」

肉体に刺さった血の破片を溶かし、血管内に流し血を戻す。傷口はとりあえず血で防ぐとして、この機械は爆発を目的とした物なのか。

「だ、大丈夫レハベアムっ?! なんか凄い爆発したけど!」

螺旋階段を守るアンリデウスが遠くから大声を上げて俺を心配する。爆発が発生してもなおピタリと螺旋階段前から動かないのは優秀だ。

「気をつけろっ! 人間界の爆弾が仕掛けられている。最悪学校が崩壊するっていうことも視野に入れとけ」

侵入した暗殺部部員の仕業とみて間違いない。わざわざこの生徒が起爆装置を貼り付けることはない。

「そ、それはダメだわ……!」

学校の誇りを持つサキュバスたちにとって学校が崩壊するという事件は心理的に大ダメージだ。

「ん、ま、まさか……!」

ここで俺は咄嗟に嫌な予感がし、全フロアにいる紙ドクロの視野を脳内に映す。すると、主に全階の廊下の壁にさっきのような形状をする起爆装置が各地に貼られている。侵入者の目的は学校を破壊することか。

「これはまずい……! 第四部の闇で爆弾を包み込ませても、爆風や火炎ぐらいは闇で無効化できるが、衝撃波は無効化できない」

一階の床まで闇が進んだことから、ほぼ全床に闇が行き届いた。これで各地に散らばる爆弾を包むことはできる。だが、第四部の闇は魔法や能力の前では強く出れるが、銃や爆弾のような物理的な攻撃には滅法弱く、耐久が低い。爆弾が生み出す爆風や火炎は消すことはできるだろうが、衝撃波そのものは簡単に砕け散る。

「だが、やらないよりはマシだ。でなければ学校が崩壊する。粘土状なら爆破は軽減できるぞ」

幸い、第四部の闇は液体と物体の形質変化を持つ。その間の性質を持つ粘土であれば、衝撃波を柔らかく受け止めてくれる。百パーセントまではいかないが、学校へのダメージは軽減できる。

「我は、太陽を囲いし星座十二将の皇帝なり。我が支配を受け入れ、光を閉ざせよ」

ダーインスレイヴを床に刺し、レメゲトンの第四部を開き、再度詠唱。空けた左手で闇床に置き、学校全土を支配する闇床を物体から粘質にさせる。

「大きく魔力を使うが、今は学校を壊させはしない!」

今崩壊すれば、一階入浴室に群がる全裸のサキュバス共に致命傷を負わす。それに暗殺部の企みや目的が達成されられるのは俺としても嫌だ。だからありったけの魔力を闇床に流し込む。全ての闇床が粘質になるまでには、第四部の闇が学校全土を支配する時間と同様にかかる。今すぐにできるわけではない。更に起爆装置阻止させるために、第三部の監視による対象の位置確認と第四部の闇の操作、しかも対象は複数。これを一度に行う必要があり、魔力消費はえげつないことになる。ただでさえ尽きる前に完璧に遂行できるか怪しいところだ。

 俺の左手を中心に闇床は泥状になり、闇床を伝って広がっていく。

「レハベアム! こ、これはいったい……!」

「アンリデウスっ! 一旦十三階に逃げていろっ! 爆破物を闇の泥で包み込ませる」

闇泥では足場が非常に悪い。行動力を限りなく失わせてしまう。アンリデウスの足元まで泥が広がれば危うい。もし失敗して爆破しても一番安全なのは十三階だ。

「分かった、この学校の存亡は今あなたにかかっているからっ!」

アンリデウスが俺に託し、急いで螺旋階段を上がる。

「さて、全力で魔力を注ぐか」

操作する分の魔力を残しつつ蛇口から一気に魔力を放出。とにかく闇床を泥状に変えて、急いで各場所へ闇泥を流す。各壁に貼り付けられた爆弾の威力を抑えてみせる。

「……届け、隅々までっ!」

三億人のサキュバスが集う超巨大な学校内。およそドーム三つ分ぐらいの広さだが、要は数ある起爆装置全て闇泥が届けばいい。全土を覆い、侵入者を探すのは後だ。既に起爆装置の場所は、紙ドクロの視野に入れている。あとは起爆装置の元に闇泥が間に合えばいい。

「よし、全て届いた……っ!」

この広大な学校内に仕掛けられた無数の起爆装置。既に紙ドクロによってロックオン済み。そして闇泥が来てくれた。あとは闇泥で起爆装置を包めば。

 しかし、九階の南方面に貼り付けられた起爆装置が破裂し、爆発。その場にいた紙ドクロが燃やされ、視野が途切れてしまった。思いっきり爆音が十二階まで鳴り響く。

「ちっ、侵入者め、魔法の行動に驚いて起爆させたな」

消火活動は後で闇で行うとして、闇水から泥に変形して、起爆装置に向かう意味を感づいた侵入者はもう早速起爆させるようだ。更なる起爆は学校が持ちこたえるとは思えない。急いで闇泥で包み込ませなくては。

 次々と学校内に仕掛けられた爆弾が爆破していく。十二階より下の階が爆破の衝撃で振動があまりにも強い。だが、辛うじて包むのに間に合った闇泥がクッションになり、壁や周囲の床は壊れてしまうものの、なんとか部分破壊に収め、爆破は弱めることに成功した。

「……よし、間に合わなかった爆破もあるが少ない……! 確実に受け止めている」

各地に散らばる紙ドクロの視野にはしっかりと、爆破阻止を捉えている。所々には爆破が成功させてしまったが、闇泥が受け止めた部分の方が多い。

 しかし、ここで魔力が尽き、第三部の紙ドクロと第四部の闇泥が消失してしまった。上からコーティングしていた闇が消え、元の床が姿を現す。

「しまった。魔力が……」

まだ全ての爆弾が完全に処理できたわけではない。魔力が消えてしまえば、爆発を抑えられない。今一度大きい爆発が学校を襲ってしまう。

「まずい、爆発が起きる……!」

俺が恐れていた爆発が下の階にて発生。振動はかなり遠いから、おそらく一階だ。

「ちっ、散々爆破させて……だが、どうやら最後の爆発だったようだな」

連続した爆破の嵐だったが、一階にて起きたであろう爆発後の静寂さから見るに、起爆装置は全ての階で役割を果たしたらしい。

 一応、学校は持ちこたえてくれた。少なくとも闇泥で衝撃を受けなければ学校は崩壊したであろう。それでも傷だらけだが、なんとか修羅場は切り抜けられたようだ。

「さて、魔力が消えた今、どうやって音も気配もなく侵入できた男を見つけ出すか」

元々は第四部の闇を張り巡り、その能力者の化けの皮を剥がしてから見つけ出すつもりだったのだが、魔力が消えた今、自力で見つけ出すのは難しそうだ。

 ここで立ち上がり、床に刺したダーインスレイヴの柄を握る。――そのとき、冷たい突風が俺の右肩を襲う。瞬時に右へ目を向けるも、冷たい風が通るだけで廊下の奥には何もない。いや、何もないのがおかしい。ただでさえ火事一歩手前の学校に冷たい風が来るはずがない。これは殺気だ。殺気を放つ見えない者が俺に襲い掛かる。

 咄嗟にダーインスレイヴを振るうと、何もないところから現れた宙に浮いたナイフと衝突。剣身同士が当たり鈍いチャンバラ音が鳴り響く。

「……どうやら如何にも暗殺者って奴だな」

俺の目の前にはナイフを持つ透明な悪魔がいる。

「音も気配もなく近寄る俺によく攻撃できたな、噂の人間」

男の低い声だ。しかも自ら音も気配もなく近寄ると言ったことから、こいつがアスモデウスを殺した張本人だ。

「気配は抑えても殺気を抑えるのは下手のようだな」

「でなければ瞬時に攻撃できなかったな。これには見事だと言わざるを得ない」

「お前、今全裸だな?」

男というより雄の臭い匂いがこいつからプンプン漂う。

「身軽だし、何よりこんな雌の匂いが充満してりゃ、そりゃスッポンポンになりたい」

思えばこいつはアスモデウス殺害後、ありとあらゆる場所に爆弾を仕掛けたのだ。全裸で身軽なうえ身動きは素早い。仕掛ける速さや襲い掛かってくる速さは一流だ。

「俺も男だが、これだけは言えるな。お前は男として非常に最低野郎だ。犯し挙句殺し、透明だからと言って全裸になって女子高校内を動き回り、更には爆破させようとした」

「最低野郎? 悪魔に対してそれは褒め言葉だ。今更何を言ってやがる」

「それもそうだった。だが、この俺がきっちりと処罰を下してやる。死ぬよりも辛い罰を……!」

「やれるものならやってみろ」

透明悪魔が一時的に俺の剣身から離れ、ナイフを隠した。完全に背景に同化しており、何より音や気配すらない。俺が指摘した殺気の漏れも感じず、まるで本当に一人の空間にいるようだ。

 対する俺は魔力がなく、このダーインスレイヴ剣一本のみ。しかし相手は何も防具を身に着けていない状態だ。この魔剣の切れ味を一発浴びれさせれば勝負はつく。

 気を静かにし、命を狙われても静水のように落ち着く。

「――そこだっ!」

背後へ振り向き様に高速にダーインスレイヴを振るう。一閃したが、斬ったのはくう。暗殺者には命中しなかった。不味い、攻撃後の隙を突かれてしまう。

 だが、俺は敢えて攻撃の隙を自ら作りにきた。あたかも敵の存在に見抜いたように叫び、わざと空振りをし、隙を作ることで暗殺者の攻撃を誘発。誘発させた相手のナイフが俺の身に届く間、僅か零点一秒後、左側から振るうナイフが作る風を肌で察知させ、

「まんまと騙されたな」

右手の指で風を帯びるナイフの剣身を挟むことに成功。

「な、なにっ! 俺の瞬殺を見抜いただと。振るうときにできる風で?!」

「悪いが俺は悪魔に負けるわけにはいかないんだ」

暗殺者のナイフを指の圧で挟み、斬撃を固定。その間に左手で持つダーインスレイヴを振るい、透明な悪魔を斬る。

「ぐふあああっ!」

確かに肉を斬った手応えに血を吸い取ったのを確認。身体が倒れた音も確認した。してやったり。

「ん? 肉以外にも何か斬ったな」

同時に布らしき物も斬ったような感覚がした。暗殺者を見ると素肌が現れたのだが、腹から下半身だけが肌を露出し、上半身は未だに透明なままだ。そして素足には薄透明な布が落ち、その布が床と同化していた。

「……透明になる能力と言うより、透明マントなのか」

まさかの透明マントを着て身を同化させていたのか。確かにこれならば納得がいく。こいつは爆弾を持ち運びしていたわけだが、素の透明悪魔であれば袋やナイフまでも隠し切れず、他の視点からすれば物だけが動いているように見える。しかし透明マントであれば内側に隠すことで、物までもが誰にも見れなくなる。

「……ち、くしょおう……まさかの任務失敗になるとは……」

「悪いがまだ殺さない。たっぷりとお前に聞きたいことがある」

~詳しく教えてっ! 『ソロモン校長の七十二柱学校』のあれこれ~

●レメゲトンの魔法、第一部『ゴエティア』

→七十二本の柱のように太い槍を放つ魔法。魔法でありながら物理ダメージであるため、魔法無効化のような壁に強く、殺傷力は非常に高い。レハベアムの代表的な魔法

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