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ソロモン校長の七十二柱学校(打ち止め)  作者: シャー神族のヴェノジス・デ×3
第二章 不死鳥護衛編
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二十話 狙い

キンコンカンコーン、とチャイムが鳴る。

「よおし、今日はここまで」

一時限目の生体が最も苦しく死ぬ方法(理科)が終了し、十分の休憩タイムが始まった。

 俺の脳内には紙ドクロによる一年A組の教室内の映像が映し出されている。着目点は常にフェニックスだ。ウァサゴの言う通り、授業中は魔の手が来ない。ある意味授業中が安全か。なぜなら暗殺部の部員も授業を受けているから。しかし休憩タイムは皆ががら空きの状態だ。いつ何時狙われるか不明だ。念のため休憩の間は紙ドクロを十体ぐらい派遣させておくか。

 右手にレメゲトンを召喚させ、九枚のページを分離させ、紙ドクロにさせる。浮く九体の紙ドクロは隣の窓から出て、A組に向かう。

 すると、フェニックスが椅子から立ち上がり、A組を出た。そして迷わずにトイレの中へと入る。紙ドクロ一体と残り九体は合流し、トイレに入ったフェニックスを追いかけるが。フェニックスは個室に入った。ここで俺はあの女の発言を思い出す。

『そ、その……せめてトイレ中は覗かないでください……』

『そ、そうですよレハさん。それは絶対にダメです。覗いたら怒りますよ』

『それもそうだわ。破廉恥。風紀が乱れるじゃない』

まあ、覗いたらフェニックスにストレスがかかり、下手したらまた暴走してしまうかもしれない。それに個室の中だ。いくらスナイパーと言えども狙うことは不可能であろう。念のため十体の紙ドクロはトイレ出入口の上に配置させ、女子トイレに入ろうとする生徒全てレーザービームで威嚇しよう。殺しはしない。

「きゃああああああああああああああああああああああああああああっ!」

そのときだ。フェニックスの叫び声が俺の脳内に響く。

「……!?フェニックス……いったい何が」

十体のうち五体の紙ドクロをトイレの中にいれ、上から個室を覗く。すると、内側の扉には細長い銃口があり、座るフェニックスに向けていた。

「な、なにい!? なんで銃口が」

女子トイレの中にはフェニックス以外誰もいない。しかも叫び声は後からなった。すでに銃口があればトイレに入った瞬間驚くはずだ。これはつまりどういうことだ。

 とりあえずまずは、個室の上に浮く五体の紙ドクロを使い、銃口に向けてレーザービームを放つ。しかし銃口は内側へ素早く引かれ、そして消えていった。

「消えただと……?」

なぜ消えたのだ。外側には銃口はおろか銃本体の姿さえないんだぞ。とはいえ危なかった。フェニックスが叫ばなければ射殺されていた。いや撃たれても死なないが、なんにせよ助かってよかった。

 フェニックスは急いでトイレから出て、廊下へ身を放り投げた。俺もH組から出て、すぐさまフェニックスのところへ向かう。

「レ、レハベアムさん……!」

「フェニックス、大丈夫か」

フェニックスも俺のところへ走り寄り、怪我が無いか聞いてみる。

「は、はい大丈夫です……で、でも……こ、こわかった……」

「いったい何だったんだあの銃口は」

「わ、分かりません……ただ、内側の扉に黒いモヤモヤが突然と出て、そこから細長い銃口が出てきたんです……」

「黒いモヤモヤ?」

その黒いモヤモヤが分からないが、とにかくそこから銃口が出て、フェニックスを狙ったというのは俺の脳内にしっかりと映し出されていた。ただあの細長い銃口は狙撃銃の形状。つまり通学時に狙ってきたスナイパーだ。

「どうやらそのスナイパーも能力者のようだな……」

撃つ方角を自在に変えられる能力だと思っていたが、何もないところから黒いモヤモヤを出し、そこから狙う能力だったというのか。これではフェニックスの休まる場所がない。いくら生徒会室でも狙われてしまうぞ。

「……とにかくフェニックス。もうトイレに逃げ込むな。かえって危険に巻き込まれるぞ」

「わ、分かりました……で、でも教室も怖いです……」

「大丈夫だ。教室なら俺が見張っている。不審な輩が居たらすぐさま俺が狙撃してやる」

「ありがとうございます……」

腕時計を見るともうすぐ八分だ。あと二分後に二時限目が始まる。

「じゃあ、俺は戻るぞ」

「はい……そ、その……よろしくお願いいたします」

「任せろ」

俺はH組に戻ろうとした。フェニックスは表情を暗くしてかなり不安そうに俺に背を向け、A組に戻っていった。

「やあ、何をしてたの?」

H組へ戻ると、ご機嫌そうにバルバトスが迎えに来やがった。

「なんでもない」

「そういやレハは生徒会に入ったんだから、あれだね、大変だね」

「そうだな」

「ってことで今日の晩飯食べていいかな」

「なんでその話になる。悪いが既に先客がいるんだ。また今度だ」

「えええじゃあ私も混ざる!」

「お前まで用意していたら、森の動物たち全員狩らなくてはならないからダメだ」

ウァサゴにシトリーの食いっぷりは凄かったな。それでもバルバトスに劣るが悪魔の食欲は伊達ではない。

「そっかあ。でも約束だよ」

「ああいいからさっさと戻れ。授業が始まるぞ」

「ああああ強盗(数学)かあ。なんで強盗と数学が一緒なんだろうね?」

「悪魔のお前がそれを言ったら意味がないだろ」

そして程なくて二時限目は終了を迎えた。

「じゃあ、宿題渡しておくぞ。金曜までやっておくように」

「えええ宿題かよおお」

「めんでぇぇなんすけど」

強盗(数学)の教師は出ていき、そのプリントを受け取った。この強盗(数学)の問題、大金持ちの人間が純正のダイヤモンドを十個買いらげた状態で財布を盗み、その中に入っている金額を答えよ、と書かれているのだが、内容が鬼畜すぎる。肝心の数字が書かれていないではないか。財布を盗むまでその人が持っているお金の金額を知りようがないぞ。いったいこの問題の答えはなんなんだ。

 まあそんなことよりも、脳内の映像に集中する。二時限目も特に異変や怪しい動作は無かった。全ての生徒もそうだ。あのクラスの中に暗殺部部員はいないようだ。

 そしてフェニックスは俺の言うことを信じ、教室で待機していた。だがブルブルと身体が微動し震えている。暗殺に怯えているのだな。

「報告はしておくか……」

椅子から立ちあがり、廊下に出る。そして胸ポケットから白い生徒手帳を取り出し、ウァサゴの名前を突く。すると白い生徒手帳が微動し送信している。

『もしもし?』

ウァサゴの声がした。俺は生徒手帳を耳に当て、話す。

「スナイパーについてだが、一時限目の終わりで一つ明らかになったことがある」

『え、なになに?』

「フェニックスはトイレの個室の中で、一度暗殺されるところだったんだ。その暗殺内容が、フェニックス曰く、扉の内側に黒いモヤモヤが突然と現れ、そこから狙撃銃が出てきた、らしい」

『黒いモヤモヤ……うーんそれって霧ってこと?』

「俺にも分からない。が確かなのは、奴は撃つ方角を変えられるのではなく、その突然現れる黒いモヤモヤから狙撃ができる、というわけだ。つまりそのスナイパーも能力者だ」

『厄介ね……その黒いモヤモヤの正体を確かめられたらいいんだけど……それに突然性で場所を選ばないってことなのよね。だとしたらフェニックスちゃんの休める場所ってないってことじゃない』

「ああ、だから生徒会室でも危険だ」

『そうね……でもこの学校の中で一番マシで安全なのは生徒会室よ。一応そこに避難させましょ』

「そうだな……」

『その黒いモヤモヤ、私なら分かるかもしれません』

ここでウァサゴではなくシトリーの声がした。

『シトリー? ほんとそれ』

今一緒に居るのだな。シトリーが分かるのなら話は早い。

「なんだ」

「裏空間です」

「裏……」

『空間?どういうこと?』

裏空間とは、シトリーが操る空間魔法の用語で、生体が住むこの表空間と住まない裏空間がある。裏空間は表空間の環境と同じなのだが、一切の生体が住まないから、シトリーはそれを利用して悪魔を食す森の鬼門をくぐり抜け、城に侵入したことがある。

『裏空間は主に幽霊が住む空間で、霧がドス黒いんです。で、私のような空間を操る魔術師が表と裏の空間を繋げると、黒い霧が表に溢れ出てしまうんです』

「……つまり、スナイパーは裏空間から狙撃している、と?」

『その通りです。話が早いですね』

その黒いモヤモヤは裏空間ならではの霧で、表と繋がってしまった場合霧が表に溢れ出しまう。つまり、スナイパーは裏空間から、銃口だけを表空間に出し、狙撃している。その際に霧が出てしまう。というわけか。紙ドクロの群れでスナイパーが見つからない理由は。スナイパーが裏空間で潜んでいるから、だったのか。

『でも気を付けてください。恐らくですが……レハさんの推測はきっと外れています』

「外れている? なにが」

『スナイパーが空間を操る能力者だということです』

「それはどういうことだ」

『魔術師なら分かるはずです。魔術師は魔術書があって魔術師と名乗れます。そして、魔術書以外の武器を扱うのには慣れが必要ですし、何より魔術書で攻撃した方が早いです。私と同じ空間を行き来できる魔術師が狙撃銃を扱えるとは到底思えません』

「……なるほど。それもそうだな」

剣士が剣を持たず狙撃銃を持って剣士と名乗る奴はいない。また、剣より狙撃銃の腕の方が確かなら、同様に剣士と名乗る奴もいない。スナイパー以外の者が狙撃銃を扱うのには時間は掛かるのは違いない。専門職には専門の知恵と武器があって、専門職と名乗れるものだ。よほど器用ではない限りな。

『私の予想では、空間を行き来できる魔術師とスナイパーがコンビを組んで、狙撃しているのだと思います』

「分かった。では今日の昼休みに、俺の紙ドクロを裏空間に送り、スナイパーと魔術師を倒す」

『はい。でも用心してください。きっと暗殺部は私が空間魔術師だというを今日の朝でバレたはず。恐らくスナイパーを守るために相手も対策はするでしょう』

『大丈夫。私も同行するから安心して。目の前の敵を倒すのは得意よ』

「俺は遠くの敵を倒すのが得意だ。じゃあ昼休みにフェニックスを生徒会室に迎えてから、裏空間を探索する」

「オッケイ分かった」

生徒手帳を閉ざし、会話を閉じる。腕時計の時間を確認すると、九分が経過し、残り数秒で次のチャイムが鳴る。急いで教室に戻らなくては。



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