第七話 伝言
1月9日 23時14分 廃墟ビル3階
3階はこの廃墟ビルの最上階だ。3階にないとすれば屋上しかないのだろう。もし、屋上に何にもなければ一哉地獄にでもは行くだろう。勝手に一人で行けばいいのに巻き込むあたり底のない悪意を感じる。
3階へ続く階段を見下ろす。下には暗闇が広がり、無形の怪物が今にでも飛び出てきて自分を飲み込んですべての人の記憶から消し去ってしまう。そんな気がしてならなかった。サイレンが段々と近づいて焦る中、サイレンの動きがやがて止まってしまった。下から頭をかき回すような音と共に雑多な足音が廃墟ビルの中を駆け回っていく。
急がねばならない気持ちになりながらも自分が今やっている事がそこまで大げさな事なのかに疑問を持ち始めた。実際、警察がここまで動いている現状を見ると自分のしている事が何かしらの事であると裏付けている。その事実が自分を震わせる。恐怖によるものなのかもしれないが、一体この先に何が待っているのかという期待が膨らんでいる。学校で決断した時点でもうどうにもならなかったのかもしれない。
辺りを見渡すと一室だけだが小さな灯りが主張している。颯爽とその部屋へ駆け込む。灯りの原因のノートパソコンが机の上に置いてあった。液晶を覗くと何やら一哉からの伝言が残してあった。昔は紙でメモを残すのが主流ポイが現代ではハイテクに変わってしまったんだ。
メモはこう記されてあった。
「君がこれを読んでいる、という事は私はすでに死んでいる可能性が高いことになる。もし、生きていたらそれは私の管理の問題だな。さて、巻き込んでおいて圧がましいかもしれないが頼みごとがある。これを読み終えたらこのパソコンを完膚なきまでに破壊してくれ。いろいろと大事な資料がここに入ってて、日本や世界を変えた死別性健忘症が解決できるかもしれないんだ。
ここまで来て命令ばかり聞いているだけじゃ君がかわいそうなのも確かだ。現状も知らないままだと、意義が見えないだろう。そんな君にいくつかの資料を残した。君がどうして死んだ人の事を覚えていられるか、そもそも死別性健忘症とは何なのか、最後になんで死別性健忘症が生まれたのかが分かる資料だ。読み終わったらちゃんと約束は果たしてくれよ」
勝手に押し付けておいて、またお願い事ときた。迷惑な話だ。そして、資料を全部読む時間も余裕も持ち合わせてない、着実と足音は近づいてきてる。急いでドアを閉めて鍵をかけてドアの近くにステンレス製の物入れを横にしてドアを塞いだ。これで時間は稼げるだろう。
そして何より資料の中身が気になる。この状況から察するに読める資料には限りがある。よくて一つの資料だけだ。
ここで選択肢です。
1、何故自分が死んだ人の記憶を覚えているのかが分かる資料を読む (第8話へ)
2、死別性健忘症に関する資料を読む (第9話へ)
3、死別性健忘症が生まれた経緯の資料を読む (第10話へ)




